「間違いなくいい試合をした」。試合後の記者会見でF東京のマッシモフィッカデンティ監督は開口一番でこう話した。終始なごやかな雰囲気で進んだ会見では「3カ月前から選手たちといくつかのことを試しているのですが、そのメカニズムが浸透してきたと感じます。今日も高い位置からプレッシングをかけて相手に自由にさせなかったと思います」と軽やかなコメントが続く。言葉の端々から、2日前の広島戦も含めて確かな手応えをつかんだことがうかがえた。
逆に神戸の安達亮監督の会見は重たい空気の中で進む。「攻撃でボールを持つことはできたが、崩す部分がもう少し足りなかった。メンバーを変えてやってみたが、いいコンビネーションができていなかった」「点を取らなければ試合に勝てない」「彼としては信じられないミスでやられてしまった」など課題コメントが並んだ。
その雰囲気が示す通り、結果は0−3でF東京の完勝。F東京のハイプレスが機能し、神戸のポゼッションサッカーがやや封印されたような内容となった。
直近のリーグ戦から神戸は4人、F東京は7人を代えて試合に臨んだ。神戸は主軸のマルキーニョスとシンプリシオを控えに回し、橋本英郎を左サイドバックで起用するなど長いシーズンを見据えた試みも見られた。
F東京は前線にエドゥーを置き、その両サイドに渡邉千真と武藤嘉紀のアタッカー2枚、その後ろに東慶悟と羽生直剛を配す布陣。カウンターがハマりそうな攻撃的なメンバー構成だった。
実際、F東京は立ち上がりからスピードのある攻撃を仕掛けた。前半開始18秒には右サイドバックの松田陸がライン際を駆け上がりクロスを上げると、2分過ぎには左サイドバックの太田宏介から前線のエドゥーへ精度の高いクロスが供給される。4分過ぎにはエドゥーが前でボールを奪い、CKへ結び付けるシーンも見られた。
この勢いにやや後手に回ってしまった神戸だが、6分過ぎには橋本からのロングフィード1本でペドロジュニオールがGKと1対1に。17分ごろには河本裕之からペドロジュニオール、そしてアーリークロスを田代有三がヘディングシュートを放つ惜しいシーンも見られた。決定的なチャンスの数ではほぼ互角。そんな展開の中で、先制に成功したのはF東京だった。
35分。エドゥーのクロスを神戸の河本がヘディングでクリアし、そのこぼれ球をF東京の武藤が拾ってミドルシュート。これが神戸のゴールマウスに吸い込まれた。
そして1点を返したい神戸だったが、後半の48分にミスから追加失点を献上してしまう。最終ラインでボール回しを試みる神戸の河本に、F東京の武藤が厳しいプレッシングをかけ、河本のヨコパスに武藤が触れる。勢いの失われたボールをエドゥーが拾って、そのままゴール前に持ち込んで豪快に蹴り込んでゴールを決めた。試合後、河本はこのシーンについて「ゲームを壊してしまったので申し訳ない。僕のミスで試合が決まってしまった」と厳しい表情を浮かべた。神戸にとっては重くのしかかる1点となった。
その後、神戸が積極的に仕掛けてまず1点を狙っていく。56分には森岡亮太がバイタルエリア付近から豪快なミドルを放つが、これはゴールポストに嫌われる。59分にはマルキーニョスとシンプリシオを同時投入し、やや前掛かりにシフトしてゴールへ向かった。
だが、F東京も米本拓司、河野広貴、平山相太らを次々とピッチへ送り出し、ハードワークを緩めず。いい流れをキープした状態で迎えた89分に、平山がドリブルからのミドルシュートで試合を決める3点目を奪った。
この結果、F東京が勝点を7に伸ばし、予選グループAで暫定首位に浮上。神戸は前節のG大阪戦に続く完封負けで最下位のまま。神戸の森岡は「決めるところを決めていなかったので、流れが相手に行ってしまった。(中略)代わった選手は試合勘という部分ではまだまだだとは思うんですけれど、内容として一つ変われば逆の結果もあり得た。そこはメンバーに関係なく求めていければなと思う」とこのゲームを振り返った。
確かに前半のビッグチャンスを決めて入れば結果は違ったかもしれない。ただ、このゲームに関しては、7人を入れ替えてなお監督の要求を高いレベルで体現したF東京の選手たちを褒めるべきだろう。
神戸は中2日で鹿島とのJ1リーグ上位決戦を迎える。この流れをリーグ戦に持ち込まないように気をつけたい。逆にF東京はこのいい流れをC大阪との大一番へつなげたい。
以上
2014.04.17 Reported by 白井邦彦
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