徳島は1−1の同点に追いつかれるまではプラン通りだっただろう。浦和のシステムに合わせて5−4−1で戦い、ガッチリと引いて守りを固めた。シュートまで持っていかせなければいいという戦い方であり、浦和の前半のシュート数が2本だったことを考えれば、それは成功していたと言っていい。
先制点も準備してきたものが実った形だった。花井聖がCKを蹴る直前、窪田良はファーサイドから外をぐるりと回ってマークを外し、ペナルティエリア中央でタイミング良くフリーになっていた。「練習前に話していた通りにできて良かった」と窪田。徳島は流れの中からチャンスを作れる雰囲気ではなかったので、浦和としてはセットプレーに気を付けなければいけなかったものの、ここは相手のサインプレーを褒めるべきだろう。
早い時間帯に先制点を奪えてシナリオ通りにゲームを進めていた徳島だったが、前半32分に失点。ただ、CKのニアで弾道を変えるパターンは守備泣かせで、こちらも相手を褒めた方がいいプレーだった。
そして浦和は50分に逆転するが、この場面では矢島慎也のシュート精度が光った。徳島の寄せが甘かったという見方もあるかもしれないが、引いてゴール前を固めているため、2列目から飛び込んでくる選手にはなかなか対応し切れない。徳島の集中が切れていたわけではない。矢島の技術が素晴らしかったと割り切るしかない。
ここまではどちらかと言えば相手を称えた方がいいゴールシーンが続いた。だが、これから先は失点の仕方を反省しなければいけない形が続く。
まずは徳島の同点シーン。浦和はCKからカウンターを受けてしまうが、ルーズボールの処理を誤ったことから小暮大器に独走を許した。不用意に突っ込んでいくのはリスクが大きいと去年学んだはずだったが、また繰り返してしまった。
続く徳島の逆転シーンでも浦和はまずい守備を見せる。まずは坪井慶介。手前でバウンドしたボールを頭で処理しようとして後ろに逸らしてしまい、クロスまでもっていかれた。次は青木拓矢。ゴール前にセンターバックがいないことに気づいて素早くカバーにいった判断は素晴らしかったが、最後のクロス対応でジャンプが届かず、頭を越されてしまった。
ミスが2つ続けば、やはり失点の危険性は大きくなる。また、この2つのミスほど目立つものではなかったが、濱田水輝の対応についても触れておきたい。実は一連のプレーは、濱田がドウグラスとゴールキックを競ったところから始まっている。本人は「ヘディングで弾けていれば防げていた」と振り返ったが、それはまだいい。問題はその後だ。
空中戦の後、ドウグラスは次のプレーに向けてスプリントしているにもかかわらず、濱田は最後までジョグで流している。後ろは枚数が揃っているので大丈夫だろうと思ったのかもしれないが、DFとして”だろう運転”は危険だ。結果的にゴールを決めたのは、最初に濱田と競っていたドウグラスなのだ。厳しいようだが、「こいつがいれば失点しない」という印象を与えたいと言うのであれば、細部まで詰めていく必要がある。期限付き移籍から戻ってきた濱田は成長を感じさせているだけに、ここは少しもったいない対応だった。
これで徳島が3─2でリード。ここから浦和が2点を奪って再逆転することになるが、今度は徳島の守備に問題が見られた。浦和は槙野智章を投入したことで左サイドからの攻撃が活性化。その槙野の仕掛けをまったく止められなかったのも問題だが、それ以上に問題だったのはペナルティエリア内の対応だ。人数は十分揃っているはずなのにクロスをあっさりと通してしまうのだ。
「当然クロスしかないのに、次を見ていくとマークが外れている。組織の中で個人の話になりますが、そこをもう1つ外さないこと。今までは、ひょっとしたら外しても、入らないことがあったのかもしれません。でも、外すとボールが合って、それがゴールに入るというのが、我々が今J1で苦しんでいる壁だと思います」。小林伸二監督が指摘したように、マークできる状況で簡単に相手を見失っていると、J1のレベルでは失点を免れない。
両チームともメンバーを大きく入れ替えて臨んだ一戦は、良いところと悪いところがはっきり出た試合になったが、課題と収穫が明確に出たことは今後の糧になっていくはずだ。
以上
2014.04.17 Reported by 神谷正明
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