オフシーズンの大分・別府キャンプ中、ラモス瑠偉監督について、ある選手がこんなことを言っていて、とても頷かされたことを覚えている。
「良い意味でそのまんま。嘘偽りのない、情熱的な人だと思う。やればほめてくれるし、ダメなら怒られる。すごく(指導が)わかりやすいです」
ラモス監督はよく怒る。開幕の讃岐戦のように勝った試合の後でも、怒る。でも、感情そのままに怒っているわけではない。常套句の1つに、次のような言葉がある。
「選手たちを褒めてあげてください」
たとえば讃岐戦とは違い、第4節・湘南戦は負けゲームだったが、ラモス監督はそう言ってずっと白い歯を見せていた。
トレーニングで見せてきたことができなければ、ミスを恐れて受け身になっていれば、できるはずのことに“チャレンジ”していなければ、ラモス監督は叱咤する。反対に、できることにチャレンジし、勇敢に戦うことができれば、選手たちの奮闘を称えるのだ。やるべきことをやって敗れたのであれば、真摯に力の差を受け止め、怒らない。
ラモス監督は「プロ意識」を注入するところから始めている。プロ意識にあふれた選手を集め、若手を心身ともに育てようとする姿勢も強い。実際、紅白戦などはAチーム、Bチームともに常に激しく厳しく、練習後には毎日のように自主的な話し合いが行われるようにもなった。積極的な守備、1対1で負けないこと、球際で逃げないこと、最後まで諦めないこと。そんなサッカーの本質を教え込み、首位の湘南とも善戦を見せたように、どんな相手とも戦えるようになった。「技術をカバーするのはプロ意識だよ」。それがラモス監督の信念だ。選手が入れ替われば当たり前のことかもしれないし、言葉にすると抽象的だが、岐阜に最も欠けていたものは、徐々に表れているように思う。
もちろんプロである以上は結果が全てである。特に今季の岐阜は、強くて魅力あるチームに変わるため、結果が求められる。しかし取材をするに、それを誰より理解し、誰より湘南戦の敗戦を悔やんでいるのも、おそらくラモス監督だ。ことあるごとに「ベルマーレ戦」を例に出し、この試合あたりからは、必然的な勝利をつかめるようになるため、“繋ぐサッカー”というスタイルを確立させることにもチャレンジしている。
そして、迎えた第7節・横浜FC戦。開幕2連勝以来となる勝利を収め、勝ち星を3勝1分3敗の五分に戻してみせた。
思えば別府キャンプ中、酷寒続きの冬空に、ラモス監督の声(主に怒号)が鳴り止むことはなかった。あの時も「チャレンジ」という言葉を繰り返し、その熱き指導はホテルに戻っても及んでいたという。誰も悪くない大雪にも怒っていたが、それは選手たちがチャレンジするに最適な環境ではなかったからで、誰よりも選手を思いやっていることがうかがえたものだ。選手のノビシロとチームの可能性を信じているからこそ、戦い、怒り、微笑む――。そんな指揮官のほとばしる熱量は、確実に着実に、選手たちの体内に流れてきていることだろう。
以上
2014.04.13 Reported by 村本 裕太
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