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【J1:第7節 神戸 vs 徳島】レポート:マルキーニョスがJ1通算得点2位タイとなる139得点目を挙げ、神戸が快勝。徳島はシュート12本も無得点、J1初勝利ならず(14.04.13)

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徳島戦の前日。記者たちに囲まれた神戸のマルキーニョスは、三浦知良(横浜FC)のJ1通算得点2位タイ(139得点)に並ぶ可能性についてこう話していた。「監督やチームメイト、フィジカルコーチやスタッフなど今まで自分を支えてきてくれた周りの人のおかげ。(徳島戦で)決められるかどうかはわからないけれど、どこかの試合で決められればいいとは思っている」。奇しくも“キング・カズ”がJ1通算139得点目を挙げたのは2005年の神戸在籍時。何かしら運命的な雰囲気が漂う中、J1初の“海峡ダービー”は始まった。

この日の徳島は、前節・川崎F戦の3−4−3から4−4−2にシステムを変え、2トップには裏への飛び出しに定評がある津田知宏と高さのある高崎寛之を配した。
一方の神戸は、3−0と快勝した前節の大宮戦の4−2−3−1からシステム変更なし。左サイドハーフを小川慶治朗から松村亮に代え、左サイドバックに高橋峻希、右サイドバックに奥井諒が入るなど多少のマイナーチェンジを施して臨んだ。

前半、主導権を握ったのは神戸だった。開始早々に奥井とペドロ・ジュニオールが徳島の左サイドを崩し、わずか25秒ほどで神戸がファーストシュートを放つ。7分過ぎには高橋が中央のマルキーニョスへ鋭いスルーパスを通し、それをマルキーニョスがミドルシュート。12分過ぎにはシンプリシオから奥井へスルーパスが通り、奥井のグラウンダーのクロスをマルキーニョスがスルーし、そこへ松村が走り込んでシュートという決定的なシーンも演出した。中央突破だけではなく、両サイドから効果的に攻め立てる展開だった。
その状況の中で、26分にシンプリシオの技ありループで先制。だが、その後は徳島にカウンターで数的有利な場面を作られたり、34分過ぎにはGK山本海人のミスパスを徳島の高崎に奪われてピンチを招くなど、らしくないプレーが続いた。

そんな悪い流れを払拭したのがマルキーニョスのJ1通算139得点目だった。
徳島のセンターバック青山隼に神戸の森岡亮太がプレッシャーを掛けると、青山がそれを反転してかわす。その瞬間、青山との間合いを詰めていたマルキーニョスがボールを奪い、そのままドリブルでペナルティーエリアへ侵入。最後はGK松井謙弥をフェイントで交わして無人の徳島ゴールへとボールを流し込んだ。このシーンについて、徳島の小林伸二監督はこう言い残している。「マルキーニョスは“相手のセンターバックは自分のことが見えていない、もしくは見ていない”と判断したと思う。あの場面でFWがとぼけていたら(青山は)ひと呼吸置いて取られないと思いますけれど、森岡と青山の1対1の関係で、青山は自分を見ていないというのをマルキーニョスは見ていたと思うんですよね。そういう判断が(徳島と神戸の選手で)違ったと思う」
一瞬のスキを逃さず、それをしっかりゴールへとつなげる。日本で14年にわたって結果を残してきた男のすごさが垣間みられたゴールだったと言える。

2−0で迎えた後半。序盤は徳島がリズムをつかんだ。ボランチの濱田武と小島秀仁が高い位置でボールを左右に散らしながらゲームをコントロール。54分過ぎには那須川将大のドリブルから最後は津田がシュートを放つなど惜しいシーンも作った。
だが、この試合の3点目を奪ったのは神戸のチョン・ウヨンだった。68分にチョン・ウヨンが放ったミドルシュートがイレギュラーし、GK松井に当たってボールはゴールの中へ。徳島にとってはリズムをつかみかけていた時間帯での追加失点だっただけに、アンラッキーと言わざるを得ない。
ただ、徳島の選手たちは試合をあきらめるわけではなく、最後まで攻め続けた。75分頃にはクレイトン ドミンゲスがドリブルでペナルティーエリア内に侵入し、GKの脇を抜く見事なシュートを放つが惜しくも枠外。79分には高さのあるドウグラスを投入し、波状攻撃を仕掛けた。徳島が後半に放ったシュートは9本。最後まで1点を取りにいく姿勢に対して、試合後には詰めかけた徳島サポーターからも大きな拍手が送られていた。

これで神戸は2試合連続3−0の完封勝ち。首位の広島と勝点2差、2位の鹿島と勝点1差で、しっかりと3位をキープした。偉大な記録を樹立したマルキーニョスは「(J1通算得点2位タイについて)そこの意識はあまりなかったですね。楽しんでやることを意識してやりました。神戸にとって何より大事なことは2位(試合終了時点での暫定)という順位につけていること。その方が重要だと思いますし、仲間や監督のやっていることが間違っていないという証明にもなるので」と明るい表情を浮かべた。元日本代表の中山雅史さんの持つJ1通算得点1位まであと18得点だが、これに関してマルキーニョスは「今すぐサッカーを辞めない限り可能性はあると思うので、いつか(1位に)なれたらいいなとは思います。でも、第一に欲しいのは神戸のタイトルです」と、自分の記録は二の次という姿勢を崩さない。彼が居る限り、神戸は最大の目標に向けて決して“ブレない”だろう。そしてそれが達成できた瞬間、彼はどんな表情を浮かべ、何を語るだろうか。

次節はヤマザキナビスコカップのF東京戦(4/16@ノエスタ)を挟んで、2位・鹿島との大一番(4/19@カシマ)。マルキーニョスにとっては、1シーズン21ゴールのキャリアハイを打ち立て、JリーグMVPを受賞した2008年当時の“古巣”との対決となる。

以上

2014.04.13 Reported by 白井邦彦
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