強いチームには強い――。北九州を例えればそういう言葉も浮かんでくる。指揮官が代わればサッカーのスタイルは当然に変わってくるが、伝統として受け継がれているものがあるとすれば、その一つには強豪への強さを挙げることができる。
思い起こせば少なくともJFL時代にまで遡れる。J2昇格が懸かった2009年のJFL終盤戦、苦しい試合ながらPKやCKなどで決定機を得てV・ファーレン長崎、SAGAWA SHIGA FCなどの強豪勢から勝点を奪取。リーグ戦1勝に終わった2010年のJ2でも大分から勝点1を手にし、2011年シーズンでは今やJ1のチームとなったF東京、徳島、鳥栖を下した。火花を散らすような強いハートで強豪に挑み、金星を掴み取る。それが北九州の根底にあるものだ。昨季は残念ながら胸を張れるほどの結果は手にできていないが、スピリットは今なお選手にも応援に枯らす声にも生き続けている。明日の対戦は問答無用の強豪、磐田だ。北九州のエースストライカー・池元友樹はきりっとして立ち、「いい選手、実績のある選手がいるのでどこまで通用するか試したい。その中で積極的にゴールに向かう姿勢を出しながら結果を出したい」と勇ましく話す。強豪に正面から挑む。スピリットが再燃の時を迎えた。
さて、その北九州が個の実力差、個の持つ経験値で勝る磐田から勝点を手にするために、どのような手が考えられるだろうか。参考となるのは前節で磐田と当たった群馬の戦い方だ。群馬は前半、縦方向のボールをシンプルに、スピーディーに前線に送りいくつかのチャンスを作り出した。磐田のディフェンスはそのスピードに後手になり、修正が効いたのは後半になってからだった。
群馬が見せたスピードを持つ攻撃は北九州も目指そうとしているが、まだ完成途上にある。最終ラインとボランチのパス交換から抜け出せなかったり、ハーフウェイラインを越えるあたりでイージーミスでボールを失ったりと、持てるべきスピードがポテンシャルのままになっている。ただひとたびボールが繋がれば脅威を与えることはできている。カギはサイドバックの上下動で、前節の長崎戦の前半では星原健太が高い位置へと顔を出すシーンが何度かあり、一つは得点に直結した。リスクを負いつつもサイドバックが上がる瞬間を作ることで、ボールを回すエリアも高くでき、前線に当てるボールを拾える確率も上がってくる。
今週も北九州はいくつかの組み合わせで紅白戦を試行。やはりまだミスは潰しきれていない印象を抱いたがサイドバックを絡めたスピーディーな攻撃が繰り出され、紅白戦ながらゴールも生まれていたことは吉報だ。「粘り強く守備をしないといけないし、ボールを失わないように運ぶことが大事」(小手川宏基)、「(長崎戦の)前半は蹴ったボールを拾えていたしセカンドも取れていたが、後半は単発に終わった。意図したボールを繋げるようにしないと」(冨士祐樹)とミス潰しへの共通意識はある。あとは試合でどこまでセーフティーかつアグレッシブに運ぶことができるか。練習からの成果を発揮したい。
対する磐田は湘南に次ぐ2位。上位に位置しているもののここまで楽な展開で勝点を伸ばしてきたわけではない。繋ぐチームあり、カウンターあり、前から来るチームありと色とりどりのJ2にまだ十分な対応ができていないということかもしれない。もっともシャムスカ監督は個の力で圧倒するのではなく、細かなスカウティングとシミュレーションでゲームに臨んでいるようであり、力任せではないフットボールは見ごたえがある。リスペクトが勝りすぎてしまえば立ち上がりで群馬戦のように押し込まれてしまうが、そこは百戦錬磨のシャムスカイズムというべきか、最終的にはゲーム内での修正が効いている。
今節も相手がスカウティング以上のパフォーマンスで臨めば――上述のとおり北九州が強豪に真価を発揮してくれば――入りは難しくなるだろう。それは北九州にとっては突きどころ、磐田にとっては耐えどころの時間とはなる。立ち上がりの数十分をどうマネジメントするかはゲーム序盤の注目点であり、その後の修正をどう図ってくるかも含めて磐田の戦い方は90分を通じて目が離せない。
初対戦となる北九州と磐田。駒野友一、ポポ、前田遼一らを擁する磐田が圧倒する試合になるか。それとも北九州がスピリットを再び燃え上がらせ、勝点3をその手に収めるか。タイムアップのホイッスルまで勝者が分からないのも、実力と結果が必ずしも釣り合わないJ2フットボールの魅力。金星を信じ、勝利の瞬間を信じて、本城に足を運んでほしいと願う。
以上
2014.04.12 Reported by 上田真之介
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