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【J1:第7節 名古屋 vs 浦和】プレビュー:3連敗は避けたい名古屋はそれでも攻撃を貫くか。前節の大敗から出直すべく、好調・浦和相手の“追試”に向かう。(14.04.12)

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広島相手の5失点の大敗から中5日。ホームで浦和を迎え撃つ名古屋にとって、今節はさながら“追試”である。広島と浦和のスタイルはともに現浦和のペトロヴィッチ監督が築いたもの。その完成度においても浦和は広島に引けを取らず、攻撃における縦の速さはむしろ上だ。前節の反省を活かし、連敗を止めることができるか。名古屋はそうした点で、チームの修正力・対応力が問われるのである。

これまで攻撃を重視し、攻撃でのポゼッションで守備の負担を軽減していた名古屋だったが、今回もあくまで考え方は攻撃のための守備、そして守備を助ける攻撃だ。浦和戦にあたっての心構えとして、西野朗監督は次のように語っている。
「5失点しているところは捉えないといけない。ミスから自滅しているところもある。広島戦は1−3の状態から相手にすべてを与えてしまった、そこが一番のポイントだった。広島戦の前半はボールが動いていたが、それも自エンド(自陣)ばかり。それでは怖くない。もう少し前でできれば、圧力はかけられる。浦和戦でもポゼッションの有効性は変わらない。ただどのエリアで、どうスイッチを入れていけるか。それを共有していかないといけないでしょう。そこでタフな、スピリットを出した戦い方をしないと守備に徐々に負担がかかってきてしまう」
そのためのメンバー構成は広島戦と大きく変わるところはなさそうだが、前節で矢田旭がリーグデビューを果たしたサイドハーフは変更の可能性も。守備面の貢献を考えればそれまでのファーストチョイスだった枝村匠馬が出番を得るだろう。その分、リードを追う展開の切り札として、矢野貴章の右サイドバック起用もオプションとして用意されている模様で、「スクランブルになれば。今はDFラインをいろいろなことでカバーしていかなければいけない」と、指揮官も認めている。

だが指揮官以上に、名古屋の選手たちは守備への意識を高めているのも確かだ。広島戦で失点につながるパスミスをした大武峻は冷静な分析も交えて危機感を口にした。
「中学生以来ですね、5点も取られたのは。大学時代、J1のチームを相手にしても5失点はなかったんですが。浦和戦も広島戦と同じようにやればやられます。浦和のFWは自分が抑えたとしてもどこかで得点してくる選手たちです。チームとして失点を抑えなければ自分も抑えたことにはならない。やりづらいフォーメーションなんです。僕たちの4バックに対して、相手の前線は5人いるイメージで、駆け引きが難しい。でも、ここが僕らが上に行くか、下に行くかの重要な試合になります。勝てば調子も上がるけど、負けるとズルズルいきかねない」
およそ特別指定選手のセリフではないが、彼の言うことは正しい。主将の田中マルクス闘莉王も「こうした経験と失敗をして這い上がるのが大事。修正も微調整もできる。このままじゃいけない。研究されてもその上を行かなきゃいけない。5失点は引きずっているかもしれない、でもいる選手たちでやるしかない」と若いチームの奮起を求めている。

浦和といえば闘莉王が古巣対決となるのだが、実は他にも因縁を引きずる選手はいる。左サイドバックの本多勇喜がそうだ。同期の磯村亮太、後輩の矢田らとともに、ユース時代の高円宮杯で1−9の大敗を喫しているのである。当時の相手には今や日本代表クラスのアタッカーとなった原口元気や山田直輝がいた。普段は飄々として柳に風の男も、浦和に対しては燻る思いを秘めている。
「DFは5失点もすれば、それは危機感も感じますよ。他のポジションよりも直接関係してますから。それに僕なんかは浦和には9失点してますしね。原口は逆サイドでマッチアップはしなかったけど、浦和戦は嫌な思い出なんです。だからここで勝って、払拭したい。ただ、この前のようなミスの多さがなければ、連敗は止められると思います。攻撃をしっかり終わることですね。そうすればカウンターもないし、守備は変な取られ方をしないことを詰めていきたいです」

さてその浦和だが、名古屋戦を前にしてチーム状態は上向きだ。開幕5戦で2勝2敗1分とイーブンの成績だったが、前節の仙台戦を4−0と快勝。この試合では李忠成が移籍後リーグ戦初ゴールを含む2得点の活躍を見せ、復活の狼煙を上げている。特にカウンターの際の柏木陽介とのコンビネーションは実にスムーズで、ハットトリックのチャンスも一度や二度ではなかった。万能型の興梠慎三、ドリブラー原口、パサーの柏木に加え、スピードとシュート力を兼ね備えるアタッカーが覚醒したことで、浦和の攻撃は多彩に破壊力を増している。セットした攻撃では攻撃的DF槙野智章と左ウイングバックの宇賀神友弥の攻撃力にも注意を払わなければいけない。両名ともに今季すでに1得点しており、その決定力自体はもはやFWの選手だ。彼らのオーバーラップこそが、名古屋の大武の言う「5人」の正体。1トップ2シャドーに加え両サイドの選手たちに対するケアをいかに整理して臨めるかも、名古屋にとっては大事な準備となってくる。

そして試合の肝となるのは、名古屋のバイタルエリア周辺である。前節の広島戦では、2シャドーがうまくマークできなかった上に、相手ボランチへの対応の遅れが致命傷を生んだ。浦和でいえば柏木と阿部勇樹あたりを、いかにスムーズな守備の連係で自由にさせないかは悩みどころになってくる。磯村によれば相手ボランチの位置によって名古屋のボランチ2名が受け渡していくとタイムラグが生じてしまい、大武もそのギャップを突かれたと振り返っていた。選手が感じていることは当然西野監督とても承知しているはず。ここにいかなる策を授けてくるか、あるいは選手たちが最良のバランスを見出すか、目を凝らしておきたいゾーンだ。

名古屋は何としても3連敗は避けたいが、浦和は逆に前節からの勢いをさらに加速したいところ。攻めて勝つアイデンティティーを持つ両チームだけに、前節よりもよりオープンな展開となること必至。浦和は突き抜けられるか、そして名古屋は踏みとどまれるか。スタンドも2色の赤に染まる赤と赤との一戦は、今回も白熱したものになりそうだ。

以上

2014.04.11 Reported by 今井雄一朗
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