試合後にガンバ大阪のDF岩下敬輔の話した言葉が、下位に低迷するG大阪と、首位を走る鹿島アントラーズの差を的確に示していた。
「後半の2失点目のシーン。ビハインドを追いかける僕らがボールを持ち、攻めている時間帯でも、鹿島は、ここぞというチャンスで、シュートを決めた選手以外にも3人くらいの選手がチャンスだと感じ、ゴール前に詰めていた。それに対して、うちは1試合の中で、そういうシーンに何人、人数を懸けることができていたか、とか。そもそも、そういうチャンスが何回あったのかと考えても、攻撃の迫力は明らかに足りていないなと。前の試合よりは少しはマシになったとは思いますよ。でも、そのマシのレベルがもっと、チームとして『ゴールをとるぞ』という感じになっていけば、後ろの選手ももっと身体を張らなきゃいけないってなるだろうし、逆に後ろの選手がもっと身体を張れれば、前の選手も俺たちが獲るぞ、ってことになるはずですからね。そういう意味でも全員がもっともっとやらなくちゃいけないと思う」
G大阪は長谷川体制での2年目、鹿島はトニーニョ・セレーゾ体制での2年目(注:過去には00-05年にも鹿島を指揮)と考えれば、おそらく、お互いにそれぞれのチームが掲げる戦術への頭での理解は深まっている。
その中で今日のG大阪なら、守備ではできるだけ高い位置でボールを奪うことを意識しつつ、攻撃ではできるだけコンパクトな陣形を保ちながら細かくパスを繋いでスペースを作り出し、FW佐藤晃大を起点にして中央やサイドから効果的に攻め込む。鹿島であれば「G大阪の選手に、その技術や能力を発揮できるスペースと時間を与えないことを意識しながら、それによって生まれるスペースを有効に使って攻め込む。リードした後半は、まずはまずは守備に対する規律を徹底する。相手がリスクを負って攻めてくることを予測した上で、効果的にカウンターを仕掛ける(トニーニョ・セレーゾ監督)」と、それぞれに狙いをもって試合に入ったのも同じだろう。
では、それに対して、頭だけではなく、身体が反応しているか、あるいは、パフォーマンスとして表現できているかと言えば、G大阪に関してはNOで、鹿島に関してはYESということになる。もちろん、これはどちらが先手を取るかも、その展開に影響を及ぼすと考えれば、先手を獲った鹿島がより優位に試合を運んだのは間違いない。だが、そうした試合展開や得点に関係なく、細かに1シーン1シーンで判断しても…例えば冒頭の岩下が話したシーンに代表されるように、試合の流れの中でそれぞれの『攻め時』『守り時』をピッチ上の何人の選手が感じ取り、共有し、実戦していたかで考えれば、明らかに鹿島が上回っていたのは事実だ。そしてそれが、今日の0-2、鹿島勝利という結果に繋がったということだろう。
この結果を受け、鹿島は変わらず首位を独走。それに対してG大阪は、順位を降格圏の16位まで落とした。もちろん、まだ序盤戦であり、優勝を語る時期でも、残留争いを意識する時期ではない。ただ、G大阪が12年に『J2降格』の屈辱を味わった最終節で、「今日負けことも残念ですが、リーグ戦は1年間の積み重ねが結果に反映される。1年を通して力が足りなかったということ」とMF遠藤保仁が語った言葉を今一度思い起こす必要はあるはずだ。
以上
2014.04.07 Reported by 高村美砂
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