浦和はホームで仙台を4ー0で退けたが、その快勝劇の中心にいたのは間違いなく李忠成だった。この日は2ゴール1アシストの大活躍。本人も「明日にも試合がしたいぐらい」と興奮が抑えきれないほど、抜群の存在感を放っていた。
李が決めた先制点は、新たな可能性を感じさせるものだった。40分、興梠慎三が反転しながらのトラップでマークを外し、狭い門を通す絶妙の縦パスを送ると、原口元気も反転トラップからスペースに置くような丁寧な縦パス。そこに飛び込んだ李がダイレクトで左足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。
パスルートは最も警戒される中央のラインを無理やりこじ開けて作り出したものだったが、それは高い技術でボールを完璧にコントロールできる興梠と原口がシャドーにいたからこそできた芸当であり、ゴールへの鋭い嗅覚を持つ李が前線にいたからこそ生まれた見事な崩しだった。今まであまり見られなかった縦のコンビネーションの切れ味は鋭く、指揮官も「もしかしたら選手たちが自分たちで話し合って、そういう形を実現したのかもしれません」と感心するほどだった。
2点目はカウンターから生まれたが、この場面では李の駆け引き上手なところが光った。前線で外に膨らむかと思えば中に入る仕草を見せ、そこからさらに突然足をストップ。この動きに相手DFはついていけず、李はフリーでボールをもらうと、すぐに原口にボールを預けた。これで相手守備陣の視線が原口に集まると、そのあいだに自分はスルリと相手の死角に潜り込み、ゴール前にできたスペースでリターンパスをもらって、最後は技ありのループ。アシストを決めた原口も「チュンくんがうまかった」と脱帽のゴールシーンだった。
そして宇賀神友弥が決めた3点目。これはクサビのパスを受けた李の逆サイドへの展開から生まれたものだったが、その流れは今週の練習で見せたそのままのパターンだった。違ったのは、練習ではクロスに持っていった宇賀神が、この日はカットインからシュートを選択した点だけだった。
李の活躍もあり、終わってみれば浦和の圧勝だった。ただ、内容的には完勝だったわけではない。仙台にも試合の流れを変えるチャンスはあった。
前半終了間際につかんだビッグチャンスでフリーの角田誠がシュートを決めていれば、後半をイーブンで迎えることができた。また、仙台は後半立ち上がりから攻勢をかけると、これが奏功。浦和の守備がバタバタしている間に何度か決定機を作れていた。この時間帯で同点に追いつけていれば、まったく違う試合になっていたかもしれない。
グラハム・アーノルド監督は「得点というのはサッカーの局面を変えます。こちらもそれなりにゴールできれば、局面が変わるチャンスはあった」と唇を噛んだが、決してこれは単なる負け惜しみではない。ペトロヴィッチ監督も「後半立ち上がりに相手にチャンスがありましたが、そこで1-1にされていたら試合はどうなっていたかわかりませんでした」と認めている。
ただ、仙台は、単に運が悪かっただけというわけでもない。後半立ち上がりから20分くらいまでは完全にペースを握っていたにもかかわらず、シュートまで持っていける回数は少なかった。その間、浦和は守備で結構危うい対応が随所に見られていたが、仙台はそれをうまく利用できなかった。
いるべきポジションに人がいなかったり、出すべきところにパスが出なかったり、イメージはできていても肝心のプレー精度を欠いたりしていた。ここまで得点力不足に苦しんできた仙台だが、この日も攻撃不振に泣く格好となった。
以上
2014.04.07 Reported by 神谷正明
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