●ペトロヴィッチ監督(浦和):
「正直なところ、前半は満足できない出来でした。テンポも上がらず、パスの強さも弱く、ミスも非常に多い前半でした。ゴールや攻撃の形は良かったのですが、テンポが非常に遅い展開でした。後半は神戸戦と同じような入り方をしてしまい、後半立ち上がりに相手にチャンスがありましたが、そこで1-1にされていたら試合はどうなっていたかわかりませんでした。
後半はリードしている中で、残りの30分くらいから、下がるのでなく前からプレッシャーを掛けてボールを奪いに行こうと選手たちはやってくれました。それが得点に結びついたと思います。よりアグレッシブに相手のゴールに近い位置でボールを奪うことができれば、危険な形を作ることができます。それが後半残り30分のプレーであり、我々の強さでありアグレッシブさです。60分までのプレーが悪いとは言いませんが、我々が目指すサッカーではありませんでした。残り30分のサッカーが浦和のサッカーです。1点目の後に続けて2点目、3点目、4点目とアグレッシブに得点を取りに行くのが我々の目指すサッカーです」
Q:1点目は非常にすばらしいゴールだったと思うが、これまでにない直接ゴールを狙う形だった。あれは練習してきたものか?
「選手に聞いてみようと思いますが、最終的にピッチの上で判断するのは選手であり、そこが大事なところだと思います。もしかしたら選手たちが自分たちで話し合って、そういう形を実現したのかもしれません。練習の中でも、相手がこう来たらこうするという風なフレキシブルな判断をトレーニングしてきている。前半は特にサイドからの攻撃が機能しなくて難しかった。ただ、サイドが機能しない中でも、真ん中で崩せて得点できたのは良かったと思います。(興梠)慎三はまだシャドーで不慣れなところがありますが、彼はもっともっと危険なプレーができる選手だと思っています。3人のコンビネーションを高めていくにはまだ時間がかかると思いますが、その片鱗が今日見られたと思います。あのポジションができる選手はウメ(梅崎司)、(原口)元気、チュンソン(李忠成)、慎三がいるので、真ん中3人の組み合わせはこれからも増えていくと思います。もっともっと危険なトライアングルになっていくと思います」
Q:最後の30分に目指すべきサッカーができたきっかけは?
「リードすると守備的になるのは、日本だけでなくヨーロッパでよくあるパターンです。私が指導するチームは1点取ってもアグレッシブに行くサッカーでないといけないと思うが、これまでも1点を取ると下がってしまっていた。これは興味深い疑問だが、選手が1−0でリードすると若干恐がるのかわかりませんが、1−0でリードしている時に相手がドンドン来るので、そのリードを守り切れるわけではないと私は思っています。だからこそ、継続して前からアグレッシブに守備をしていくことが必要だと思っています。今日も点を取った後、少し守備的な状況が見られたけど、ベンチから私も『前から行け』と言っていたし、それがもしかしたら積極的に行くことに繋がったのかもしれません。
以前、私がプレーしていた時の話ですが、1−0でリードしている中で、相手がドンドン攻撃的に来て、キャプテンがFWに代えて守備的な選手を入れてくれと言って、監督がわかったとストッパーに代えてFWを入れたところ、そのチームは2点目を入れて勝利したというおもしろいことがありました。
1−1に追いつかれたら、メディアの批判に晒されます。監督はなぜリードしている中で選手を代えたのかと。それはハンブルクで起こった話です。ハッペルという監督で、マガトが当時のキャプテンでした。マガトは監督にそう言ったけれども、ハッペルさんはFWの選手を入れたといった話です。
私自身は常に守備的な考えと戦っていこうと思いますが、なかなか(通訳の)大輔とコーチには勝てません。相手CKで私は3枚(攻撃に)残したいと言っていますが、コーチ陣は常にそれはノーだと言っています。相手がリスクを負えば我々も負う、ただ我々は失点が多かったという事実がありました」
Q:興梠と李の縦の関係の評価は?
「興梠はまだ不慣れで、少し考えながらプレーしている感じがあります。今、練習のなかで3人のコンビネーションを作る時間がなかなかないのですが、今後練習を積み重ねるうちに、元気を含めた3人の関係はもっと良くなっていくと思います。慎三がシャドーの動きに慣れてくれば、おそらく3人のうち誰がどこに入ってもできるような、そういう関係が作れるのではないかと思います。それぞれの選手が自分で打開できるので、3人は危険な選手になるでしょう。今後は2トップといった選択肢も考えられるのではないかと思います。広島時代は佐藤寿人とウェズレイが2トップで、2シャドーに1ボランチを置く非常に攻撃的な形をやっていました。そういった選択肢も考えられないことはないと思います」
以上
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