関東以西では花見のラストチャンスになりそうな週末。J1の各チーム(ACL組除く)は消費税と同じ数字、公式戦の“8”試合目(リーグ戦6試合目、カップ戦2試合)に突入する。リーグにおける各チームの力関係はリーグ戦を10試合くらいは戦わないとある程度現実的な順位としては出てこないと思うが、現時点の甲府は柏とG大阪に挟まれた13位。去年は背もたれがグラグラする15位の椅子に長い時間座っていて腰が痛くなったので、少しは背中を預けられる13位の椅子はボチボチな感じ。乗り込んでくる清水はカップ戦は2連勝でグループAの首位に立つものの、開幕戦こそ勝利したリーグ戦は1勝1分3敗で16位。他所から見れば「もう4年目か…」と時間の早さを感じるアフシン ゴトビ監督体制4年目としては、今を底として右肩上がりで階段を駆け上がりたいところ。クラブの歴史、育成力、熱く優しいファン・サポーターとスポンサーを合わせたクラブの“格”からすれば最低でも一桁順位にいなければ不満が大きくなるだろう。
去年はリーグ戦は2戦2勝、過去にリーグ戦で一度も負けたことがない甲府が相手だけに、今節はジンクス的にもちょうどいい相手と対戦することになる清水。静岡市周辺からは――高速道路で一気にという訳にはいかないが――距離的にも近く、駐車場が広い小瀬スポーツ公園に大勢のオレンジサポーターがバカ高いガソリンを消費してでも背中を押しに来てくれるだろう。なかでも一番押されているのがユース出身の長沢駿。Jユースカップ(05年)で得点王になって優勝したころは、シュートは上手かったが背の高さ(現在191センチ)が線の細さを強調していた。しかし、クラブのHPを見ると今の体重が80キロ。J2リーグ3クラブ(熊本、京都、松本)を渡り歩きながら経験を積んで成長してきたことを感じさせる。現在は仙台戦(カップ戦)、浦和戦、F東京戦、G大阪戦(カップ戦)と公式戦4試合連続ゴール中と、昨年の松本でのリーグ戦32試合出場3ゴールをJ1の舞台で超えている。この分だと2011年の熊本で挙げた8ゴールを更新することは確実な感じ。
2試合連続でセットプレーからの失点が続いているの甲府は、流れの中も含めて長沢とカップ戦はベンチスタートだったノヴァコヴィッチという長身選手へのマークでは高い集中力と臨機応変な対応が求められる。しかし、清水はサイドにもベンチにも大前元紀、高木俊幸、高木善朗、石毛秀樹、金子翔太ら個で勝負できるドリブラー・ストライカーがぞ〜ろぞろ。彼らにドリブル+ワンタッチパスのセットを使われるとかなり大変。後手を踏んでマークがズレたところを狙われてしまう。ずっと守り続ける気はないが、守備の意識は前線から高く持ち、連携しなければいいボールハントは出来ないだろう。元オレンジ戦士のDF青山直晃は、「同じ古巣といっても横浜FMは認められたいチームで、清水は勝ちたいチーム」という。横浜FMには第4節で勝利することができたが、勝ちたい清水に第6節で勝つことができるのか。青山のガッツのあるプレーに期待したい。
攻撃では盛田剛平がワントップで先発するのか、クリスティアーノが先発するのかがポイント。柏戦でクリスティアーノは足首を少し痛めており、城福浩監督は試合当日ギリギリまで決断を伸ばす可能性がある。甲府の(開幕戦を除いた公式戦)1点打線のうち半分はクリスティアーノのゴールだけに、彼が出場できなければ甲府の勝利の可能性も下がる。クリスティアーノが先発出場できる場合でも、盛田と同時に使うのか、盛田をベンチスタートにするのかでポジションは変わってくる。このあたりは、2点目が取れない甲府の難しいところでもある。最近はクリスティアーノと、四捨五入すると40歳になるオッサン2人(盛田、石原克哉)のゴールで勝点を積み上げている甲府だが、今一番決めてほしいのは大卒2年目の河本明人。惜しいシュートのコレクションは7つくらいになったので、そろそろ神龍が今季最初のゴールという願いを叶えてくれるはず。清水の長沢がゴールの感覚を掴んだのと同じように、河本にもJ1の舞台でガムシャラの中に一瞬の余裕を見出せる感覚を掴んでほしい。
例年なら中2日になるところだが、今年は中3日で迎えることができるカップ戦がある週のリーグ戦。コンディション的にはだいぶん回復できるだけに、両監督はベストメンバーをぶつけてくるはず。お互いに主力選手のほとんどが残留して(いい補強もできた)継続の強みを出せるはずのシーズン、ゴールデンウィークを挟んだ連戦を見据えてリーグ戦の2勝目は早く手にしたい。甲府は昨年喫したゴールデンウィーク明けからの8連敗のスタートが清水戦だっただけに、悔しい記憶をターボで思い出して強い意志と集中力に変えて清水を迎え撃ち、JFK甲府として次々と消してきたネガティブなジンクスをさらにひとつ消し去りたい。小瀬スポーツ公園の桜はだいぶん散ってそうだけど、青赤軍団はゴール裏もメインもバックスタンドも満開にして勝たせましょう。
以上
2014.04.05 Reported by 松尾潤
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