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【J2:第5節 京都 vs 札幌】レポート:アレッサンドロのホーム初ゴールが飛び出すも札幌の粘りに合い、京都ホーム今季初勝利はお預けに。(14.03.31)

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京都と札幌の一戦は互いに狙いと持ち味を出し合いながらも双方譲らず引分けとなった。

メンバーは、京都が前節と同じだったのに対し、札幌はボランチに宮澤裕樹が復帰した。
ゲームは、序盤から札幌が京都の背後を狙う展開に。開始早々の5分に札幌は左サイドを砂川誠が駆け上がるとクロス。中央は京都もマークがついていたものの裏に抜けると河合竜二がノーマークでシュート。完全な形だったがゴールライン上で京都DFバヤリッツァがクリア。京都としては九死に一生を得た。23分にも札幌は右からのアーリークロスに中央が飛び出し倒されてFKを獲得するなど、鋭い飛び出しで決定機を作ろうとする。
京都も45分に自陣右サイドで押込まれていた場面から押し戻し速攻を仕掛け、右サイドからアレッサンドロが押し込むも、オフサイドという惜しい場面を作った。

後半、京都がスコアを動かす。56分にCKのこぼれから、ジャイロが中へ入れるとアレッサンドロが腿でトラップ、落ち切らない所を振り抜いてシュートを決める。京都が1−0と今季初の先制を奪う。
これで札幌も攻めるしかなくなり、68分には中盤からの縦パスから、ゴール前の混戦、そして最後は石井謙伍がシュートを放ち、さらに75分にも右サイドから前線、左へとつなぎゴール前へ。これはオフサイドにはなったが札幌も執念を見せる。そして78分、CKからこぼれたボールをゴール前の宮澤がシュート。それが内村圭宏に当たりコースが変わって京都ゴールのネットを揺らす。札幌が1−1の同点に持ち込む。
その後は互いに攻め合う展開になるもゴールは生まれず、結局1−1の同点で終わり、京都はまたも今季の西京極初勝利はお預けとなった。

試合後、札幌・財前恵一監督は引分けについて「悔しい気持ち」と口にしたが、同点に追いついた内容に「納得」と感想を口にした。
正直、札幌としても今節の評価は難しいだろう。ショートカウンターの形は出来ており、前線の動き出し、さらには後半のGK李昊乗のキックをしっかりと攻撃につなげた点はストロングポイントが出せたのではと感じさせた。だからこそ勝ちたかっただろうが、先制したのは京都で、そこから追い付き逆転するのも、難しい仕事であるのも確か。こうした複雑な試合内容を一言で評価するのは難しいだろう。
逆に言えば、その中で先制した京都の集中力は高く評価されて然るべきだ、とも言える。

京都は、次に向けてのポイントも出たのではないか。それは、今の段階では「ポジショニングの向上」、に集約しても良いのではないか。

前半、札幌のショートカウンターを受けた京都。だが、決定機を作られた5分のシーンからは中央でのマークも比較的出来て、しっかりと対応していた様に観えた。前半、ラインが下がることでバイタルを使われ回されたが、そこから奪い返すシーンも随所にあった。だが、攻撃に繋がらなかった。
或いは、サイドにボールを送り、狭くなり動きも出なくなったので後ろに下げると札幌の前線の守備網にかかり、スムーズにプレーが出来なくなってしまった。この辺りの改善点として「ポジショニングの向上」を挙げたいのである。

昨年まで指揮を執っていた大木武前監督はパスがつながる状態について「パスは受け手だ」と看破した。ボールを持った選手の判断や技術を云々する以前に、受け手が顔を出すなり、動き出して送る場所を示すなりしろ、ということだ。
それが不十分だからボールを運べなかったのではないか。今季の京都はピッチを広く使い相手を動かして要所を突いて行くサッカーだ。だが、「パスを受けられるポジショニング」が取れなければボールは前に運べないだろう。
さらに掘り下げるなら、大木前監督は練習中に「パスを出したら動け!動かないにしても体の角度を変えろ」と選手に声を飛ばしていたことを、筆者は記憶している。パスを出して動くというのは今節、特に山瀬功治が攻撃時に欠かさずやっていたと思う。だがポイントは「角度を変える」だろう。
例えばセンターバックが同サイドのサイドバックにパスを送り、そのリターンを受けるとする。シンプルなリターンパスだが、その間にセンターバックが状況をもっと広く見渡せる角度を持っていたら次の展開は変わるだろう。さらに言えば、幅広く、そして素早く展開する為に周りがどれだけ「ポジショニング」してくれているか、となる。

パスを受ける、或いはパスを通そうとする「ポジショニングの向上」で希望もあった。左サイドバック比嘉祐介はこれまで以上にボールを受けようという意識が強かった様に観えた。前半、GKオスンフンにボールが入った時、いつもの様になんとなく動き出した、と思ったら一歩二歩広がってポジションを取ってボールを受けていたが、非常に好感が持てた。そこから、もう一度ボールを預けて広くポジションを取り直しても良いし、山瀬を一番外にしてボールと相手を動かすこともできるだろう。何よりもまずボールを受けようという意識をはっきりと表現したのは高く評価したい。
石櫃洋祐は試合後「もっとボールを支配したい」と口にしていたが、筆者もそう思うし、それは出来ると思う。ただそのためにボールを受ける「ポジショニングの向上」は必須だとも思う。後は選手の、練習での「何を向上させないといけないか」という意識の部分にかかってくるのではないか。
長くなってしまったが、こうしたことがすぐ出来るとは正直思っていない。でも、挑戦していく価値は十分あると信じているし、選手もそう思っているのではないかと信じたいと思う。

以上

2014.03.31 Reported by 武田賢宗
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