新加入コンビの星原健太と風間宏希がゴールを挙げ、北九州がホームゲームでは2連勝を飾った。讃岐に先制点を許す苦しい立ち上がりとなったが、失点が契機となってシュートを量産。ミドルレンジかも果敢に放ち同点、逆転へと繋げていった。
勝点3を手にした北九州。柱谷幸一監督は「ゲーム内容は良くなかった」と振り返る。チーム全体のコンビネーションがまだ深まっていないことに加えて、ボランチの鈴木修人、右サイドバックの星原健太が今季初先発。パスミスや切り替えの面でばらつきがあったことは否めない。
27分に喫した讃岐の先制点もそうした連係ミスが絡んだ。讃岐は縦方向の浮き球や楔を臆することなく積極的に入れていたが、先制の場面でも綱田大志がふわりとしたボールを敵陣の左奥に狙った。ただこのボールはルーズで北九州守備陣が容易に返せるものとなってしまった。しかしヘディングで対応しようとしたサイドバックの星原と手を出したGK大谷幸輝とが交錯。中途半端に跳ね返ったボールを沼田圭悟がダイレクトで左足で振り抜いた。相手のミスでこぼれてきたボールではあったものの、「雨も降っていて滑るのであとは枠に飛べば入るかなと」と話す沼田の冷静さがゴールを引き寄せ、讃岐としてはJ2昇格後初の先制点を手にした。
勝利のために2得点以上が必要になった北九州。シュートへの意識が高まり、前節の札幌戦の惨敗をすすぐかのように鋭い攻撃に転じた。立て続けに渡大生がシュートを放ち、「ゴールに向かうプレーというのが何回かできた」と話す池元友樹にも積極性が戻ってきた。押し込んでいる中の38分、「(風間)宏希のパスが敵と敵の間に入ってきて、それで行けた」と話す星原が巧みなドリブルでブロックにほころびを作るとそのまま左足でミドルシュート。鮮やかに左隅を突いて北九州がゲームを振り出しに戻した。
後半も北九州が主導権を握る。しかし後半キックオフから10分ほどでアクシデントに見舞われる。センターバックとしてこの試合もリスクの芽を摘んでいた前田和哉が自ゴール前でのプレーで負傷してしまったのだ。一度はピッチに戻るがすぐに前田はプレー続行を断念、59分に宮本亨と交代した。ただ対人プレーに強みがある宮本は急ごしらえではあっても引き継いだポジションに難なくフィット。果敢な攻撃参加からもチャンスメイクした。
前田の交代とほぼ同じタイミングで北九州はFW原一樹も投入。原は高いキープ力を発揮し、低い位置で引き出したり相手のミスから得たりしたボールをドリブルでペナルティエリアにまで運び込んだ。追加点は70分。左サイドに流れたその原が「シュートフェイントを入れて」(原)、相手の守備バランスを崩すと、横パスを中央で受けた風間がミドルシュート。相手選手に当たってコースが変わり、逆転のゴールへと吸い込まれた。風間はこれがJリーグ初得点。「結果は自分のゴールだが、みんなで取った得点。もっと取っていきたい」と笑顔を見せた。
ゲームはこのまま動かず2−1で北九州が勝利。ホームでは2連勝となった。
もっともスコア以上に北九州がゲームを支配していたし、シュートチャンスも北九州が圧倒。より多くの点が入っていても決して不思議ではなかった。それが勝負の持つあやなのかもしれないが、「(2点目のあと)受け身になっていたので、もう1点取りに行くくらいのほうが良かった」という星原の言葉は北九州にとってポジティブな反省点だ。ゴールを追いかけることは勝利に繋がる。原点を思い出せた試合になったのならば、北九州は勝点3に加えてそれと同じくらいの価値ある収穫を手にしたことになる。
対する讃岐は開幕5連敗となった。終盤で足が止まっていたのは残念に思うが、1点を追いかけ、そして2点目を目指して、あえて危険なエリアにボールを送り込んでいる場面が多々あった。リスクを恐れて闇雲に長いボールを蹴るのではなく、スタイルの構築に向けて「チャレンジ」している印象を強く受ける。「何かしら負けた試合からでも得るものを取っていかないともったいない」とは高橋泰。信じるサッカーを実直に続けることでJ2を戦う基盤は必ず築かれるだろう。
以上
2014.03.31 Reported by 上田真之介
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