両チームともリーグ開幕3連勝、3戦連続無失点とスタートダッシュに成功した。だが、前節は鹿島がC大阪に0−2、横浜FMは甲府に0−1で敗れた。今節はお互い「再び上昇するためのきっかけにしたい」(横浜FM・小林祐三)に違いない。
鹿島は前節、C大阪相手に「歯が立たなくて負けたわけじゃない」(曽ヶ端準)。19分の早い時間帯での失点により、相手がカウンター狙いの兵法にシフトしたことが影響し、攻め切れなかった。今季若返ったチームは、そんな展開に対処するための処方箋を携えていなかったのかもしれない。ただし、「チーム全体としては非常に積極性を持ってアグレッシブさを出していました」とトニーニョ セレーゾ監督が話したように、決して下を向く内容ではなかった。ヤング鹿島はほろ苦い一つの経験を積み、今節どんな変貌を遂げるだろうか。
片やベテラン勢が主体となる横浜FMは、甲府戦で試合巧者らしさを見せられなかった。そこには言葉の微妙なニュアンスによる齟齬もあったようだ。
「(試合前の)私の話し方なのか、選手の受け止め方なのか、焦らないでやろうという言葉の方にウエイトがいってしまって、慎重なボールの出し方しかできなくなっていました」(樋口靖洋監督)。
アグレッシブさは見られず、動きの少ない“各駅停車”のパス回しに終始してしまった。ファイトしなければ、やはり勝てない。それはゴール裏に駆け付けたサポーターにも伝わり、試合後には久々にブーイングを浴びた。「ふがいない。こんな試合をやっていたらダメ」と、栗原勇蔵は自分たちに対して憤慨。険しい表情を崩さず、無言のままチームバスに乗り込む選手もいた。今節は間違いなく目の色を変えて、ピッチに立つはずだ。
鹿島にも言えるが、優勝するためにも連敗街道に足を踏み入れてはいけない。両チームにとっての仕切り直しの一戦は、ヒートアップ必至の予感が漂う。
その中で、重要人物を2人挙げたい。1人は鹿島のダヴィだ。「体がキレている。一人でドリブルして敵陣深くまでえぐり、点に絡む」と兵藤慎剛は警戒。とはいえ、エゴイストなわけではなく、時にはサイドに流れてチャンスメーカーになるなど、今季3得点中の遠藤康をはじめ、躍動する若手をバックアップ。試合の大勢を一人で決められるキーマンであることは間違いない。
横浜FMでは中村俊輔の名を挙げたい。今季、少し気になるのは彼のポジショニング。もちろん、甲府戦のように相手がベタ引きで守ると高い位置にいても、すぐ囲まれて潰される確率が高まる。よって、低い位置でボールをさばき、ビルドアップに関与するのは分かる。また90分間タフに走り、守備での貢献度も高い。だが、それでは相手に脅威を与えない。前節、前半のチームシュート数がゼロだったのは、彼の位置取りの低さの影響も多少なりともあったはず。やはり彼が高い位置で勝負してこそ、横浜FMの攻撃の魅力が増す。今節は齋藤学がケガで欠場濃厚だけに、中村が攻撃を牽引する必要性が高まる。背番号10のポジショニングに注目したい。
以上
2014.03.28 Reported by 小林智明(インサイド)
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