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【J1:第4節 浦和 vs 清水】ペトロヴィッチ監督(浦和)記者会見コメント(14.03.23)

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●ペトロヴィッチ監督(浦和):
「スタジアムとこの会見場は全く環境が違います。スタジアムはまったく観客がいなくて、この中は人がいっぱいです(笑)。

無観客試合ということで、誰も経験したことのない状況の試合で、どういう風に選手が動くのか、試合が流れていくのか予想がつかない中での試合でした。もちろん、サポーターがいない中での試合ということになれば、ホームゲームを戦うチームが不利になるだろうと感じていました。

前半はボールを支配するけど、なかなかテンポが上がらず、中盤でのアグレッシブさが若干欠けていたように感じました。そういったゲーム展開は、相手にとって都合が良かったのではないかと思います。

相手はほぼチャンスらしいチャンスはなかったゲーム展開でしたが、再びCKから失点してしまいました。前半はテンポが上がらず、あまり危険なところにボールも入らず、サポーターがいないという影響があったのか、前半は練習試合のような展開でした。あまりオフザボールの動きもなく、危険なところにボールが入りませんでした。

後半は全く違った展開になりました。よりアグレッシブに、真ん中、外をうまく使い分けながら危険な攻撃を仕掛けることができました。ただ、問題はチャンスの数に対して得点ができなかったことです。

チャンスをしっかりとゴールに結び付けていくところは、チームとしてまだ上手くいっていないところです。それは鳥栖戦や柏戦も同じです。勝負所でしっかりとゴールに結びつけることが課題としてあります。今シーズンの5試合を見ても分かりますが、我々は相手の攻撃は比較的抑えることができています。今日も後半最後に1回、危険なチャンスを作られましたが、それ以外は相手を押し込んで、守備も攻撃も上手くいっていたと思います。相手は苦し紛れに長いボールを蹴り出すことが精いっぱいだったと思います。守備は今シーズンに入って安定してきています。そして攻撃も、真ん中と外をうまく使い分けながらスムーズな攻撃を仕掛けることができています。ただ、やはり最後のフィニッシュの精度が欠けているので、そこは今後の戦いの中で改善していかなければいけません。

Q:選手が冷静さを欠いていたというか、無理してやろうとしすぎた場面が多すぎたように見えたが?特に原口選手、槙野選手がそうだったように見えたが、監督からはどう見えた?
「1人の選手が長くドリブルするのは、時として周りの選手があまり動けていないというのはあると思う。ただ、後半は狙いを持って攻撃を仕掛けていたと思う。元気、マキはドリブルで相手を剥がすことに長けた選手であり、2人とも良いシュートを持っています。
相手は8人でしっかりブロックを作って守っていた、そういう状況の中でマキだったり元気だったり、右だったらセキ(関根貴大)だったり、非常にドリブルで相手を抜き去り、守備を崩そうとチャレンジしていました。そのチャレンジはうまくいっていた部分もあったと思うし、最後のシュートの精度が得点には結びつかなかったけど、狙いはしっかりとあったと思います」

Q:後半に完璧に崩されて勝ち越しゴールを奪われそうになった時に西川選手がセーブでピンチを阻んだシーンが象徴的だったが、去年までなら確実に2点目を奪われていたと思う。去年とは違うなと感じがするが?
「相手にほとんどチャンスを与えないけど、決定的なシーンを与えるというのはどの試合でも起こりうる。ただ、そういう場面で相手の決定機を必ずGKが止めて、最後にチャンスを決めて勝利するというのは良くある話。そういう部分はGKのクオリティというのもあると思います。仕事が少なくても大事な部分でしっかりと仕事をする、それがトップクラブのクオリティの高いGKだと思います。我々も今後、そういうことが続いていけば。
我々の6、7回の決定機は世界トップレベルの選手であれば、その内の3、4回は決めていると思います。元気は広島戦で最後に素晴らしいゴールを決めたと思いますが、今日は広島戦で決めたシチュエーションよりももっといい場面が3、4回あった気がします。ただ、今日は残念ながら決められなかった。もちろん改善していくようにチャレンジしていきたいし、ゴール前の最後のフィニッシュでもっと落ち着いてプレーする、そういうところを練習で働きかけていきたい」

Q:関根選手がJリーグでは初出場だったが、評価は?
「関根選手は若いけど、若いというだけでチャンスを得られたわけではありません。彼はチーム始動からキャンプでも素晴らしいプレーを続け、練習でも素晴らしいプレーをしていたからチャンスを得ました。彼は今日、良いプレーをしましたが、若い選手を評価するには慎重にならなければいけない。関根選手に関しては、まだまだ学ぶべきことが多い。戦術、判断、コンディション、フィジカルでもまだまだ足りない部分はある。ただ、浦和レッズとしては、関根という若いタレント、将来を見越せる選手をしっかりと評価している」

Q:無観客の中で試合をしたことに対する感想、サッカー界での差別に関する考えは?
「私にとっても、やはり無観客試合は初めての経験で、62000人は入るであろう大きなスタジアムにまったく観客がいない形で試合を行うのは、非常になんとも言えない感覚でした。練習試合のような雰囲気が漂う公式戦だったけど、なかなか公式戦という感覚を得ることができないゲームでした。そういう中でのゲームは、ホームチームに不利だなと感じていました。

差別問題に関しては、もしかしてそのことを話せるのは私かもしれないと思っています。私自身、37年間ほぼ外国で生活をしています。自分の生まれたところではないところで生活をしています。生まれ育ったユーゴスラビアはもう存在しない。オーストリアの国籍を持っていますし、30年間オーストリア人です。差別というのは残念ながら、どの国にもある話です。オーストリアで、私の名前は典型的なドイツ語圏のものではないので、外国人、という方ももしかしたらいるかもしれない。そういったことはあり得る話です。

私の妻はスロベニア出身だが、ユーゴスラビアのある時代にスロベニアでプレーしている時に知り合って結婚しました。ユーゴのなかでも言語が違う。セルビア語とスロベニア語は違う言語です。私がスロベニアでプレーしている時は『お前はスロベニアに何しに来たんだ』と言われたこともあります。セルビアで生まれたけど、違う国で生活することが長いので、セルビアに帰れば『どこの国の人だ』と言われるだろうし、どこに行っても受け入れられないこともあります。

クロアチアでもプレーした経験がありますが、クロアチアとセルビアの関係は犬猿の仲なので、クロアチアでプレーした時は非常に大きな差別を受けました。ただ、最終的には、私はどの国に行っても、そういった差別から勝利することができました。私自身、どういう風に差別と向き合ってきたか。そういうものに打ち勝ってきた要因は、差別を受けながらも、その人に対するリスペクト、愛情を忘れなかったことだと思います。今、非常に厳しい状況にクラブは置かれていますが、原因を作った人間に対しても私は愛を忘れないようにしようと思います。どんな状況であっても、私は人を愛し、人をリスペクトしていこうと思っています。

8年間、日本で生活していますが、日本の中にもそういった差別的な考えを持っている方はいると思うし、私に対しても外国人ということで差別的考えを持っている人もいるかもしれないが、そういう人にも私の姿勢は変わらず、愛を持って、大きなリスペクトを持って接していこうと思います。その人がそれで考えを変えてくれればと思いますが、変わらなくても、私の姿勢は変わらない。私は40年近く外国で過ごしていますが、どこにいても人を尊重する気持ちを忘れない。それが私の考え、向き合い方です。

どこの国から来ても、アメリカ人でも、日本人でも、良い人もいればそうでない人もいることは分かっています。出身国で差別するのは残念だが、世の中は間違った方向に少しずつ向かっている感じがします。将来を担う若者たちが少しでも良い方向に進んでくれることを私は願っています」

以上
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