色々な意味で、非常に楽しみな一戦だ。
まずは神戸というチーム自体、今季は面白いチームに仕上がっている。これまでの神戸といえばどちらかといえば武骨な守備とカウンターが主たる武器の、フィジカルなイメージが強かった。だが今季は、小気味よいポゼッションと攻撃へのアイデアが見える印象だ。2012年に指揮を執った名古屋の西野朗監督も「良いチームになっていると思う。今までのスタイルではなく、ポゼッションをしっかり作れて、その中でいろいろなオプションが取れる」と警戒心を強めている。名古屋もまたポゼッションを軸に戦うチームだけに、どちらの構成力とイマジネーション、そして崩しのアイデアが勝るかという真っ向勝負は、単純に見ていて面白いゲームになる。
名古屋にとっては相手DFラインに増川隆洋がいるというのも楽しみの一つだ。2005年から9年間名古屋でプレーし、2010年のリーグ優勝にも大きく貢献。その年のベストイレブンに選ばれた際には、関係者の誰もが驚きと喜びに満たされた。長身で豪快なプレーとは裏腹に分析力に長けたクレバーな選手であり、ホームだけでなくアウェイ側の記者からも「アウェイ側のコメントが欲しければ増川。本当にいい人です」と言われた好人物。昨季のホーム最終戦ではチームを去ることを公にしていなかったものの、涙を流し別れを惜しんでいたことは忘れられない記憶だ。小川佳純も「相手にマスさんがいるのは面白いですよね。この前の阿部(翔平)ちゃんもそうでしたけど。まあ、身体ごとぶつかっていきますよ(笑)」と対戦を楽しみにしていた。それは名古屋の元同僚たち全ての思いであり、増川にとっても同じことだろう。ケネディとのエアバトルなど、想像するだけでも大迫力である。
そして名古屋のメンバー構成にも注目が集まる。3日前のヤマザキナビスコカップではリーグ戦のスタメンから9名を入れ替えたが、起用された若手・新人が躍動。望月嶺臣をはじめ数名は今節でのメンバー入りを期待させるだけのプレーを見せていた。また右サイドバックとして3戦連続出場を続けていた田鍋陵太が、気管支の不調で水曜日の練習に参加しておらず、回復の状況次第では代役の起用もあり得る。その場合は刀根亮輔か森勇人が候補となるが、ナビスコでの起用を踏まえれば森が一歩リードといったところか。リーグ連勝中の好調のチームに、下剋上を期して加わる若手が加わった時、どのような化学反応が起きるのかは実に楽しみである。
試合展開に目を移せば、名古屋はまず守備に力を割くことになりそうだ。神戸のマルキーニョス、ペドロ・ジュニオール、シンプリシオのブラジルトリオは強力無比。特にサイド突破で図抜けたスピードとテクニックを見せるペドロ・ジュニオールへの対応は、相手の攻撃の起点を潰すという意味でも重要になってくる。右サイドでプレーすることの多い選手だけに、左サイドバックの本多勇喜には、前節のレアンドロ・ドミンゲス同様に粘り強い対応が求められるだろう。老獪なマルキーニョスと田中マルクス闘莉王の対戦も、味のある攻防となりそうだ。
忘れてはいけないのは、神戸の才能ある若手たちへの対応である。10番を背負うゲームメイカー森岡亮太は昨季以上にスケールアップした感があり、そのパスセンスとシュート力には注意が必要だ。西野監督も教え子の成長に「森岡も成長している。神戸の攻撃は多彩になった」とマークすべき一人に挙げている。左サイドで溌剌としたプレーを見せる松村亮も好選手で、彼の突破力と攻撃のアイデアに後手を踏むようであれば、名古屋の防戦は必至。右サイドバックのチョイスも含め、西野監督の戦略・采配も勝敗を左右する大きな要素となる。
名古屋の攻撃面には大きな問題はなく、むしろ日々連係が深まっていく中で、次はどんな攻撃を見せてくれるかという期待感の方が大きい。ケネディ、玉田圭司もそうだが、注目したいのは2列目の2人。得点こそ決めていないが、ここ2試合でシュートチャンスを増やしている枝村匠馬と、大宮戦ではロングドリブルからの見事なゴールを決めた小川佳純だ。特に小川のシュート精度は現在のチームではナンバーワン。シュート練習では枠を外すことはほぼなく、しかもそのほとんどを決めている。中央突破の細かいパスワークも増えてきた中で、彼ら2列目のゴール前の加勢は必要不可欠なもの。流れるような攻撃を構築し、勝利につながるゴールを見せてほしいものだ。
ともに良好なチーム状態の中、神戸は連勝、名古屋は3連勝を狙う。名古屋は勝てば今季のホーム初勝利だけに、なおさらにモチベーション高くこの一戦に臨む。
以上
2014.03.22 Reported by 今井雄一朗
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