去る19日、クラブとして初めて挑んだヤマザキナビスコカップでも、徳島はJ1の高く厚い壁を痛烈に思い知らされた。普段バックアッパーとなっている選手たちが起用されたことももちろんあったが、それを差し引いても対戦した新潟とはプレー内容に大きな差が存在。終了間際に諦めない姿勢を実らせチームの今季初得点こそ記録したものの、それ以外ではほとんど自分たちのサッカーをさせてもらえなかったと言わざるを得ないだろう。

そのような一戦を挟んで再びリーグに戻る徳島だが、迎えるこの第4節もチームは相当厳しい戦いを強いられそうである。
対する柏は開幕前の予想に反して苦しいシーズンスタート。徳島同様にリーグではまだ白星を挙げることが出来ていない。それだけに、アウェイであっても彼らはとことん勝利にこだわり、開始すぐからエンジン全開で来ることが大いに予想される。ヤマザキナビスコカップで浦和に競り勝った勢いをそのまま持ち込んで、これまでの足踏みを取り返す勝利を得るべく猛進してくるはずだ。そしてその柏について言えば、攻撃陣の個の力は間違いなくJ1でも屈指のもの。レアンドロ ドミンゲスやレアンドロ、さらには田中順也に工藤壮人と、居並ぶアタッカーは皆容易に止めることなど出来ないスケールの力量を持ち、その優れた能力によって誰もが試合を決められるだけの働きが出来る。

そうしたことからこの一戦、徳島としては、どれだけ我慢強く守り続けられるかが全てであろう。徳島はこれまでのリーグ3戦でいずれも前半のうちに先制されリードを許してしまっているが、それほど多くのチャンスが作れるわけではないだけにやはり「先に失点するとどうしても試合が難しくなってしまう（斉藤大介）」。それはもちろん今節も同じで、だからこそ早い時間に先制点を奪われることは何としても防がねばならない。しかしここで向かい合う柏の攻撃陣は前記したような強者たち。危険度は相当なものである。そう考えると徳島に求められるのは当然、これまでの反省を活かして粘りをより強め、しっかり堅守を維持し続けることだ。

その上で具体的な守備対応としては、人に対しもう一歩寄せることが不可欠と思われる。リーグ前節の横浜Fマリノス戦、またヤマザキナビスコカップの新潟戦でもそうであったが、徳島は人への寄せに少々距離が感じられた。そのため思ったほど圧力がかからず、相手のプレー精度を下げられなかったことで、中盤から自陣バイタルエリア付近でも難なくボールを繋がれ失点するに至っていたと言えよう。もちろん不用意に寄せ過ぎれば、入れ替わられ置いていかれる危険がある。とは言え、能力の高い柏の攻撃陣たちに間合いを開けることは出来ない。特に最終ラインの橋内優也、福元洋平らは慎重な中にも勇気をもってもう一歩寄せ切り、激しく彼らを潰していかなくては。

リーグは開幕3連敗で、すでに失点も二桁にまでなっている。状況としてはかなり厳しく、それゆえ選手たちも大きな苦しみを感じていることだろう。だが、自分たちをもう一度奮い立たせ、それによって戦いに変化を起こせばきっとこの現状を抜け出せる。ホームサポーターの熱い声援も力にして徳島には何としても意地と頑張りを見せてもらいたい。

さて、このゲームは『ドミンゲス兄弟対決』としても大いに注目を浴びている。ただ偉大な兄・レアンドロに挑戦する弟・クレイトンはいたって冷静。「前節90分間出場したことでコンディションはさらに上がってきている。このゲームに関しては個人的なこともあるが、まだチームとして今季勝点3を取れていないので、今はそれだけを目指して頑張りたい」と、フォアザチームに徹する姿勢を見せていた。それだけに、兄との比較は関係なく、背番号10には期待が膨らむ。

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2014.03.22 Reported by 松下英樹