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【J2日記】北九州:大学に情報集積拠点オープン(14.03.18)

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北九州市立大学に開設されたアーカイブの一部。九州リーグ時代の資料やサポーター作成の刊行物、歴代のユニフォームなども並ぶ

壁面に看板を掲げて正式オープン。ギラヴァンツ北九州・横手敏夫社長(右から3人目)も駆け付けた

「ギラヴァンツ北九州アーカイブ」を記念して行われたシンポジウムで講演する愛媛県立図書館の天野奈緒也さん

アーカイブの開館に携わる北九州市立大学 都市政策研究所の南博准教授。「J2白書2012」では、本城の雨天の多寡について見解をうかがった

ちょっと先の、いや、ずっと先の未来のお話。たとえば2054年。40年後だから北九州担当の私は生きていたら、ステレオタイプな面倒なおじいさんになっていることだろう。ある日、近所の子どもがやってきてこう言う。「じいちゃんって昔、ギラヴァンツのこと書いてたんでしょ。あんときってどんな人いてさ、どんなことがあったの?」。そうだなぁ…。(今でも)記憶力の曖昧な上田おじいさん。選手の顔は思い出せるけれど、どんな戦績だったかとか、すでに旧スタジアムとなっているだろう本城陸上競技場の姿などを思い出せず、「うーんとだなぁ。なんというか、その、こういう感じだったんだがなぁ」ともがいている。「ああ、ちゃんと資料を順序立てて整理していれば」。時すでに遅…

時すでに遅くなかった。「兄弟決戦」の余韻がまだ残る2014年3月17日、北九州市立大学北方キャンパスにある都市政策研究所に「ギラヴァンツ北九州アーカイブ」が開館。マッチデープログラムやイヤーブック、関連書籍などを体系的に収集する情報のターミナルとして歩み出したのだ。
開館時点ですでに我らが「J2白書」を含む400点ほどの資料を収集。オフィシャルの刊行物以外にもサポーターや行政が手掛けた印刷物、新スタジアム建設関連の資料、ユニフォームやポスターなどギラヴァンツ北九州に縁のあるものがずらりと並んでいる。こうした収集拠点は各地の公立図書館やスタジアムに併設されているものが多いが、大学に設置されるのは北九州市立大が初めて。同研究所准教授の南博さんは「市民や学生に活用してもらい、地域活性化や関連研究の促進に役立てたい」と話している。
開館日の3月17日には同大でシンポジウムを開催した。基調講演では愛媛FCのアーカイブを設けている愛媛県立図書館の司書・天野奈緒也さんが、2010年代から急速に広まってきたアーカイブのうねりを説明。「スポーツツーリズムの資源となる可能性もある。いかに継続させるかが大事で、インターネットや写真、映像など扱いにくい資料をどうするかも課題」と現状を分析し、「それぞれの得意なところがやってくことが大切。北九州は大学に開くので大学の強みを生かし、資料を生かした研究と大学生のアイデアを生かしてほしい。孫やひ孫の代まで続くものを、楽しみながら作っていって」とエールを送った。

サッカークラブの資料を集積するアーカイブが最初に開設されたのは、さいたま市立東浦和図書館で1997年開設。全国に広まったのは2010年代になってからだった。
天野さんをはじめとする有志が集まって2010年に「Jリーグと図書館の連携研究会」が発足。この年はワールドカップと国民読書年が重なり、JFLを含む16クラブ72図書館の関係者が参画した。愛媛のほか潮来市立図書館、さいたま市立大宮図書館などが相次ぎ開設。北九州の周辺では現在、鳥栖市立図書館、福岡市総合図書館にも併設されているほか、与那城ジョージ監督が指揮を執るJ3秋田の関連コーナーは由利本荘市中央図書館に開設されている。
連携研究会は2011年に「図書館海援隊サッカー部」(フェイスブック:https://www.facebook.com/japan.football.library)と改めたのだが、ちなみにこの集まりのエンブレムとロゴは能田達規先生の制作ということで、J2白書&J2日記のすてきなイラストを寄せていただいている能田先生との縁がここでも繋がったのである。

ギラヴァンツ北九州アーカイブの開館は平日午前9時から午後5時。北九州市立大学北方キャンパスは小倉駅からモノレールで約15分(競馬場前駅下車)。北九州空港を発着するエアポートバスの一部も「競馬場・北九州市立大学前」に停まるので、アウェイサポーターの皆様も試合前後の金曜日や月曜日などに“敵”を知るべく、寄ってみてもいいかもしれない。

そんなこんなで40年後の上田おじいちゃんは、「2014年の春はなぁ、柱谷兄弟決戦があって1−0で勝ったんじゃよ。点を決めたのは原一樹選手でだな、場所は本城だったんじゃが、よう晴れててのぉ…ぐだぐだうだうだ」と言っていることだろう。近所の子どもは「やべっ。このじいちゃんに聞かなけりゃよかった。あと何時間話すんだろ」と思っているに違いないが、きっと世代を超える幸せな未来を、アーカイブは運んできてくれるはずだ。
久々の長文となった。これにて失礼。

以上

2014.03.18 Reported by 上田真之介
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