松本のホーム開幕戦で試合を支配したのはアウェイの長崎だった。試合後、「最悪のゲームだった」と岩上祐三は表情を強張らせ、飯田真輝は「自分たちの良さはあまり出せなかった」と唇を噛む。しかし、「内容はともかく引き分けだった。負けていない」(船山貴之)のも事実。両チームともに均衡を破るチャンスはあったが、それを生かしきれずにスコアレスドロー。真っ向勝負は勝点1ずつの痛み分けとなったが、それも妥当なものであった。
フォーメーションはホームの松本とアウェイの長崎、お互いに3−4−2−1を敷いた。松本は左ウイングバックに玉林睦実、長崎は1トップに佐藤洸一と3バックの左に下田光平を前節から替えて起用したが、これでスタイルそのものが大きく変わるわけではない。7分にはワンツーで裏に抜けた田中隼磨が、10分には神崎大輔がスローインからクロスに繋げてゴールを脅かす。戦前の予想どおり、ボールの落ち着かない展開となる。その後も目まぐるしく攻守は入れ替わり、お互いがカウンターあるいはセットプレーで得点をうかがう。その過程で流れを掴んだのが長崎。アグレッシブに前に出る姿勢を強めてホームチームに圧力をかける。松本もその圧力を跳ね返したいところだったが、セカンドボールが思うように拾えずに後手に回る。「ボール保持者にプレスに行けない。我々らしくなかった」と反町康治監督が振り返るように、やや消極的な場面が目立った。
0−0で迎えた後半も我慢比べの様相を呈した。前半同様にセカンドボールを拾えていた長崎が好機を作るが、松本もチーム全員が地に足をつけて対応。松本は後半から「後ろが重くならないように中盤でプレスをかけるという狙い」(反町監督)で、前へ比重をかけるために岩沼俊介をアンカーに配置する3−5−2にシフトしていたこともあり徐々に流れを引き寄せる。58分にはフィードからラインの裏に抜けた船山からサビアがボールを受けるが、ここは山口貴弘がストップ。その5分後には田中隼磨のボール奪取から決定機を作ったが、岩上のシュートは枠に飛ばず。75分にも勢いに乗った田中からのマイナスのパスを飯田と船山が押し込もうとするも長崎守備陣が体を張ってセーブ。前半に比べ、明らかに前への推進力は高まった。
流れは松本。ここで長崎は交代策に賭けた。残り時間10分を切った81分、高木琢也監督は「松本さんと同じシチュエーションにしよう」とフィジカル勝負を挑むべくヘディンガーの水永翔馬を投入。佐藤洸一と先に投入されていた小松塁と合わせて、180センチ超の大型フォワード3人が前線に揃い踏み。“ゴールを奪って勝点3を持ち帰る”という強烈なメッセージをピッチへと送ると、直後から長崎のセットプレーが続く危険な雰囲気に。一方は配置換えで、もう一方は選手交代策で活路を見出す。まさに知将同士のせめぎ合いとなった。しかし、この日お互いに欠けていたのはフィニッシュの精度。ゴールネットを揺らす機会はありながらも、最後まで揺れることはなかった。ストロングポイントは存分に発揮したものの、痛み分けに終わった。
0−0という結果から分かるように、溜息で終わる場面も多かったのも事実。それでもアルウィンに駆けつけた14048人が最後の1秒まで懸命に声援を送り、ピッチ上の選手たちを鼓舞した。試合の感想については百論噴出するだろうが、その光景は悪くないものであった。
以上
2014.03.17 Reported by 多岐太宿
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