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【J1:第3節 甲府 vs 新潟】プレビュー:ようやくホーム・山梨中銀スタジアムで開幕戦を迎えることができる甲府。感謝の気持ちをこめて新潟を迎え撃つ(14.03.15)

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第1節はホームでの開幕戦になる予定が、大雪災害で国立競技場での開幕戦となった甲府。第3節にしてようやくホーム・山梨中銀スタジアムで開幕戦を行うことができる。むかし、越後の上杉謙信が塩を送ってくれて甲斐の領民が助けられたという話は有名だが、2月の大雪災害で山梨県が陸の孤島になったときは、新潟県が除雪車を派遣してくれて助けられた。上杉謙信が塩を送ってくれたときは、東海地方の今川氏と関東の北条氏が敵だったから塩が手に入らなくなったらしいが、今回は、2月16日に宮崎キャンプから羽田空港まで戻ったものの、大雪で山梨に戻れず、東京都内で足止めとなった甲府に対して、かつての今川領の清水がグラウンドを貸してくれるなど、県外から多くの助けの手を差し伸べてもらった。甲府市周辺であれば、ひと冬に数回、うっすら積もる程度の雪への用心のためにスタッドレスタイヤに履き替えるくらいの備えはするが、1メートルを超える雪にはまったく対応できなかった。しかし、ドカ雪に慣れている「新潟県」の文字が入った除雪車が道路の雪を吹き飛ばす光景を見た県民は勇気づけられたはず。新潟県以外にも災害時の相互応援協定を結ぶ長野県、静岡県、神奈川県などの自治体からも職員や建設業者の皆さんが大型の除雪車などの重機や救助ヘリで応援に来てくれたことに感謝してのホーム・山梨中銀スタジアムでの開幕戦を迎える。

便利なインターネットを使って昔の記事を読みふけると、J1に昇格したばかりの新潟も04年は中越地震でホームゲームを2試合国立と平塚で代替え開催したことが書いてあった。こういうことをしっかり意識した上で、甲府と同じく母体となる大企業の絶大な支援がない新潟がJ1に昇格して10年間も降格していないのは改めて素晴らしいと思う。2014年式のJFK甲府は3年連続のJ1を絶対目標にして、海のない県ながら2014年の荒波に漕ぎ出した。この甲府にとって来年のACL出場権を狙う新潟は目標となるクラブでもある。J1に昇格して以来10年間降格することなく、積み重ねてきた地方クラブの実績があっこそのACL出場圏内という目標設定。3度の昇格、2度の降格を経験してきた甲府もそうなりたい。新潟“市”の人口(約81万人)と山梨“県”の人口(約85万人)がほぼ同じなので、スポンサー獲得や集客では同じようにはいかないと思うが、これを目指さないと甲府のこれ以上の発展は難しいだろう。

今節の甲府のポイントはワントップの盛田剛平とサポートする選手のコンビネーションと決定力になる。前節、ジウシーニョが前日練習後に足首を痛めたため、急遽、盛田がワントップに入り、それまでワントップに入っていたクリスティアーノがジウシーニョのポジション(シャドー)に入る布陣でF東京に挑んだ甲府。結果は1−1の引き分けだったが、甲府から見れば“勝てた試合”と思える内容。見る人のポジティブ度合いにもよるが、開幕戦で鹿島に0−4で敗れたショックの大部分を払拭できる内容でもあった。189センチの盛田が効いたのだ。文字通り、ケガの功名みたいに思われるかもしれないが、宮崎キャンプからオプションとしてはやり続けてきた形。ただ、前半から90分間やるという認識では見ていなかった。相手があることなので、F東京で効いた盛田のワントップが新潟を相手に効くかどうかはやってみないとわからない。だが、効くだろうと信じている。それだけ盛田の質は高い。練習後の囲み取材で記者が、「新潟はF東京と違ってDFがガツガツ来ると思うけど・・・」と聞いたときに、「俺はF東京も来てたと思うんだけどね」と盛田が答えているが、その答えは3月15日に山梨中銀スタジアムに来ないと分からない。

もちろん、盛田一人でサッカーをやっているわけではない。J1の荒波で生き残るために――今年もJ1リーグで恐らく最低クラスのクラブ予算ながら――JFK甲府はできる限りのことをやってきた。しかし、それを結果に繋げるための最後の鍵を今は盛田が持っている・・・と言ってもいいだろう。FWとして1999年にJリーガー(浦和加入)になり、06年(広島所属時)にDFに転向してキャリアを伸ばしてきた盛田。FWとして最後に先発したのは大宮から広島に移籍した04年のセカンドステージ第12節の名古屋戦。DFに転向したのが06年で05年は先発出場はなく、ほとんど出場機会もなかった。FWとしての最後のゴールは04年のセカンドステージ第3節の柏戦。DFに転向後、リーグ戦では3ゴールを挙げているが、(J1:2ゴール、J2:1ゴール)、FWとしてのゴールを見たいし、甲府の盛田剛平としてのゴールを見たい。こういうことを言うと、盛田は「俺はFWとして点が取れなかったからDFになったの!」というが、チームの決定機を増やすことに大きく貢献するFWという生き方もあるし、セットプレーでは直接ゴールを狙える感覚もフィジカルは当然ある。名前は出しくいが、前線からのチェイシングでFWとしての生きる道を見出している選手もいるのだから、盛田のように、入ったボールを失うことが少なく、頭でも足でも胸でもワンタッチ・ツータッチで味方に繋げることができる技術とフィジカルを持つFWは貴重。04年当時の盛田が、大宮や広島でFWとしてどんな使われ方をしていたのか明確な記憶にはないが、今の使われ方が一番合っている様な気がする。あんまりプレッシャーを与えたくはないけれど、盛田剛平ワントップは決定機不足、得点力不足に慢性的に悩んでいる甲府の現状を大きく変える最大値だと思う。鳥栖の豊田陽平に向かってロングボールが蹴られると周囲の選手が、豊田がヘディングで勝つことを前提(信じて)に裏に飛び出すのと同じような効果がでてきそうな感じがする。甲府の場合はもう少し手間をかけることもあるが、主観に根拠はいらない。そう感じるから、こう思うだけ。去年の読売ジャイアンツのようにバンバン点が入るようになるとは思わないが、1試合平均1点未満だった甲府の打線が、1点以上になるポテンシャルはある。3月15日は山梨中銀スタジアムでそれを見ないと損。

川又堅碁、レオ シルバというスーパーな選手がいて、ACL圏内入りを目標にする以上、連敗は許されない新潟。前節は内容では悲観するものはなく、何にも揺らいでないと思う。0−2で敗れても、これもサッカーと切り替えれば問題ないチーム状態のはず。川又は去年は甲府に2戦で2ゴールなので今期の初ゴールは山梨で決める気満々のはず。ACL出場という新たな目標をクラブが言葉にして戦うシーズンの高揚感を楽しんでほしい。

以上

2014.03.14 Reported by 松尾潤
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