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【J1:第1節 川崎F vs 神戸】プレビュー:大久保嘉人はもちろん、色々な得点パターンを持つ川崎Fの攻撃的スタイルに注目。苦手の神戸を相手に、公式戦連勝スタートでシーズンを始めたい(14.03.02)

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古巣との対戦を前に、大久保嘉人はあふれるモチベーションを隠そうとしない。

開幕前のキャンプ期間中から、大久保はマイペースでコンディションを上げてきた。一次キャンプで40%から始まった仕上がり具合は、2月9日に行われた二次キャンプの神戸との練習試合を終えて50%に上昇。ACL貴州戦を前にした2月23日の練習時には「オレの(神戸戦にかける)モチベーションは半端無いから。26日の(貴州との)試合が終わって100%になるかな」と話し、強くこの神戸戦を意識してきた。

そんな大久保について中村憲剛は「いつも以上に気合が入るだろうし、やってくれるでしょう」と期待を込めつつ「そこにいつもどおりにサポートするだけで全然大丈夫。やりますよ。一緒に。一人でやってるわけではないからね」と発言。大久保がどうであれ、チームとして普通通りにプレーするのだとの認識を示した。

と、こんな話を書くともしかしたら大久保と中村とに強烈なマンマークを付けるチームも出てくるかもしれない。ところが川崎Fにしてみると、そうすればそうしたでいくらでも対処のしようがあるチーム作りを行ってきた。

例えば貴州戦を振り返ると、前半8分に新加入のパウリーニョがセットプレー崩れではあるにせよ強烈なミドルシュートを放ち、GKを慌てさせた。後半73分には右サイドの小林悠からのマイナスクロスに合わせ、シュートを放つ決定機に顔を出した。こうしたパウリーニョの動きについて中村は「やっぱり俺ら(中村、大久保)が(相手DFを)引っ張れるから(中盤が)開くと思うんですよ。(そういう意味では大島)僚太もそうだし、あそこ(バイタルエリア)からバシバシ決められるようになるとうちとしてはもっと楽になる。そうするとパウロ(パウリーニョ)と僚太にも(プレスに)行かなければならないし、そうしたら今度は俺らのところにスペースができるようになる」と述べる。引いて守るつもりはなくても、守らざるをえない攻撃を川崎Fは実現しており、相手がそうなるのは川崎Fにとっては想定内。エリア内に人数を揃えた相手であっても、それを崩さなければならないと口をそろえる。

また中村の言葉になるが、面白いように相手を押し込んだ前半の攻撃についてすごかったと伝えると”そうじゃない”という表情で「けど、見てて肝心のペナルティエリアの中にはあまり入れてないからね。俺らの中ではそれがちょっと不満なんです」と話す。つまり「もっと最後のところの精度。アタッキングサード、バイタルのところから先のところの精度をオレも含めて上げていければ、もっと面白いように作れる。相手は取れないから、自陣に下がるけど、そんなのお構いなしにシュートチャンスを作れるようになると思う」と述べるのである。そしてそのためには「技術ももちろんそうなんだけど、大事なのは目と頭(目で見て頭で判断する。つまり、認識)」なのだと断言する。今季風間監督は常々「技術は意識の中にある」と話してきた。すでに身に付けてある技術を、どう引き出すのか。そのために必要な物は「意識(認識)」以外にないのだとの立場を取ってきた。そしてその風間監督の言葉を受け、選手たちの口からそうした言葉が出てきてるというこの状況をもって、川崎Fの仕上がりはいいと言える。だからここで話を大久保にまで巻き戻すが、大久保を抑えこもうとしたとしても「うちに関しては、どこでも点が取れる。みんなが相手に対して恐怖感を与えられる選手が多い」(中村)というチームに仕上がっているのである。

風間監督の理論をチーム全体が理解して共有することで、川崎Fは強さと内容とを兼ね備えた試合をしようと意気込んでいる。チームとしての完成度は日々高まっており、これに神戸が対向するのは簡単ではないだろう。そんな神戸はマルキーニョス、シンプリシオ、ペドロ・ジュニオールとブラジル人選手を総入れ替えしており川崎Fの選手たちも警戒を怠ることはない。

たとえば井川祐輔は「選手が入れ替わって元気な選手がいる。マルキーニョスもいい選手ですし、侮れない」と表情を引き締める。また田中裕介は試合展開について「CBにプレスをかけて来るのかボランチに来るのか、リトリートしてくるのか、どうですかね」と警戒していた。しっかりとした守備組織を作る安達亮監督のことである。例えばCBにプレッシャーをかけるのであれば、FWマルキーニョスのスイッチをきっかけに、2列目以降に並ぶ選手が連動した守備を見せる事になるはず。先発が予想されるシンプリシオ、チョン・ウヨンのボランチコンビを含め、高い位置でボールを奪い取り、小川慶治朗やペドロ・ジュニオールが連動したショートカウンターが攻撃の柱の一つとなりそう。

ただ、貴州戦の川崎Fがそうであったように、たとえ前からプレスをかけてきたとしても、川崎Fはそれを外す方法論を身に付けている。そんな川崎Fの最終ラインに対し、神戸が深追いするようなことになると、自らの首を締めることになりかねない。井川はもちろんジェシも、正確なパスを前線に出すだけの技術を身に付けているからだ。もし仮に神戸が前からプレスをかけるとなると、中盤の間延びを警戒し、神戸は最終ラインをある程度高めに設定しなければならない。そうなると、大久保、レナトはもちろん、ラインの裏に抜ける天才的な感覚を持つ小林の嗅覚が生きてくる。前からのプレスを外されるリスクを考えると、神戸とすればラインをある程度下げてセーフティーに試合を進める方が安全。川崎Fのような攻撃的なチームとの対戦では、そうしたセオリーに従って試合を進めたとしても批判されることはないのではないかと思われる。そうやって川崎Fに攻めさせておいて、カウンターでマルキーニョスや小川を使う攻撃の方が効果的なはずだ。アウェイの戦いでもあり、リスクと安全との兼ね合いである程度割り切って守る戦いの時間が長くなると考えるのがセオリーだろう。もちろん川崎Fは、前述のとおり、自陣の前を固める相手を崩す方法論も身に付けている。いずれにしても、攻める川崎F、守る神戸という図式で試合が進む可能性が高いものと思われる。

と、ここまで川崎F有利の視点で原稿を書いてきたが、昨季の川崎Fはこうした試合で星を落としてきた。筆者だけかもしれないが、"負ける気がしない"などと油断していると、足下を掬われかねない。明日の川崎Fには、面白くて強いサッカーを見せてくれることを期待しつつ、試合終了のホイッスルが吹かれるまでは、油断だけは避けたいところだ。

なお、神戸には川崎Fから移籍の杉浦恭平が所属しており、出場することとなれば久しぶりの等々力での試合となる。もしそうなった場合、彼がどのようなプレーを見せてくれるのか、注目したい。

ということで、川崎FにとってはACLの勝利に続く公式戦連勝スタートがかかる大事な試合であり、その川崎Fに神戸がどう立ち向かうのかが注目される試合となりそうだ。

以上

2014.03.01 Reported by 江藤高志
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