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一覧へ【FUJI XEROX SUPER CUP 広島 vs 横浜FM】広島側プレビュー:異なるスタイルのぶつかりあいを制し、対横浜FM戦3年ぶりの勝利をつかめ。(14.02.21)
2月22日(土)FUJI XEROX SUPER CUP 広島 vs 横浜FM(13:35KICK OFF/国立)
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森保一監督にとって最大の難敵。それが、樋口靖洋監督率いる横浜FMである。リーグ連覇を果たした広島が唯一、2年間勝てない。しかも5試合で1分4敗・2得点9失点。
この数字ほど内容は悪くはないのだが、とにかく点はとれないし失点も重ねてしまう。必勝を期した天皇杯決勝でも、早い時間にサイドを突破され、セットプレーで叩きこまれての完敗。ボールを支配しても、富澤清太郎・中澤佑二・
栗原勇蔵が形成する強靭な壁を破ることができない。
間違いなく、広島に対して横浜FMは自信をもっているはずである。厳しいプレスでパスコースを限定させ、クサビのパスもそのタイミングを予測して佐藤寿人におさめさせない。サイドでも攻守にわたって数的優位を常に確保し、横からの決定機も許さない。たとえ突破を許しても最後の最後で身体を張り、ギリギリでも止めてしまう。
また、これが相性というものなのか、それはわからないが、対横浜FM戦になるとケガ人や出場停止、コンディション不良という状況が出てしまう「不運」も。今回のFUJI XEROX SUPER CUPにおいても、その「不運」は顕在している。今季、甲府から移籍したサイドアタッカー・柏好文は負傷で欠場が確定。強烈なドリブル突破を得意とする柏の存在は、横浜FMの堅守を突き崩すキーマンとも見ていただけに、彼の不在は本当に痛い。さらに、中盤のコーディネーターとして替えの効かない存在である森崎和幸も、キャンプ中で足首を傷めて出場が微妙。柴崎晃誠という実力者もいるとはいえ、彼が力を発揮するのは決定的なパスを出す攻撃能力。森崎和不在によって、守備の不安が増大することは否めない。
ただ、そういう条件を乗り越えても、横浜FMには勝利したい。勝って「今年は違う」という意識を彼らに植え付けないと、リーグでもまた苦戦が免れなくなる。
では、どういう方法があるのか。もちろん、今日のキックオフカンファレンスで森保監督が語った「自分たちのスタイルをぶつけて勝利する」のが、王道である。広島は相手に合わせてやり方を変えるチームではない。コンセプトもフォーメーションも、攻撃のやり方も守備の考え方も、相手の状況によって微調整はするものの、特別なやり方をやらないのが、広島の矜持である。
だが、その「自分たちのスタイル」が去年どおりだとは、限らない。キャンプで森保監督は、時間をかけてあるやり方を試していた。今までよりも最終ラインをあげ、コンパクトなゾーンを高めに設定する。その上で、前からボールを追い、高い位置でボールを奪ってハーフカウンターを仕掛けるやり方を、細かな指示を与えながら整備していたのだ。
「ベースはこれまでの戦い方。オプションとして考えている」と指揮官は笑う。だが、この時の練習では下田崇GKコーチに「GK目線での守備」を指導させ、多面的な視点から訴えつつ、考え方を浸透させていた。
以前の広島であれば、相手ボールになるとギリギリまで最終ラインを引いてスペースを消し、5-4-1のブロックを形成して相手の攻撃を待ち構えていた。だがそのやり方では、パスを使った攻撃がどうしても遅攻が中心となる。それでも崩せるのが広島のクオリティなのだが、チーム全体の守備が整備された横浜FM相手だと、得点をとるのは難しい。
広島が横浜FMに苦杯を続けているのは、5試合2得点という得点力不足によるもの。しかも、そのうち1点は青山敏弘の60mロングシュートであり、もう1点は左クロスからの崩し。中央をコンビネーションで崩す広島らしい攻撃での得点は、一つもない。真ん中を実力者たちに構えられてしまっては、中央突破は難しいのは当然だろう。だからこそ、昨年の鹿島戦で石原直樹があげた先制点のような、高い位置でボールを奪い、少ないタッチで一気にゴールに向かう形が欲しい。たとえそれが成果をあげなかったとしても「この形もある」と考えさせるだけで、横浜FMにも迷いが生まれる。裏を狙われる危険性もあるが、勝利のためには虎穴に入る必要はある。
「広島の独特なスタイルはリスペクトしているし、彼らにはシーズンを戦い抜く力がある。だけど、そんな広島に合わせることなく、横浜FMらしさを貫くことで、これまで成果をあげてきた。明日も互いのスタイルをぶつけあう戦いになるだろう」
キックオフカンファレンスでの樋口監督の言葉どおり、異なるコンセプトを掲げるチームのぶつかりあいは、戦いに奥深さと味わいを与える。国立競技場改修前最後のFUJI XEROX SUPER CUPにふさわしいハイレベルな攻防を期待したい。
以上
2014.02.21 Reported by 中野和也
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