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【第93回天皇杯 決勝 横浜FM vs 広島】広島側プレビュー:今こそ、負の歴史を払拭し、新しい物語を紡ぐ時だ。広島、1969年以来の戴冠へ、全てを懸ける。(13.12.31)

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広島にとっての天皇杯決勝は、そのまま屈辱の歴史である。その歩みを、列記してみよう。
1996年元日/●0-3 名古屋
1997年元日/●0-3 V川崎
2000年元日/●0-2 名古屋
2008年元日/●0-2 鹿島

すべて、敗戦。それどころか1点もとっていないし、2点以上失っている。試合内容的にも、ほとんどいいところがなかった。唯一、2000年の名古屋戦前半は希望を抱かせたが、後半、当時高校生だった森崎和幸と広島史上最高クラスに位置するリベロ・ポポヴィッチを欠いたことで失速。ドラガン・ストイコビッチの歴史的な、美術館に展示したくなるようなゴール(天皇杯の歴史を振り返る時に必ず放映される、あのゴールである)で沈没させられた。
前身の東洋工業時代から数えれば、今大会を含め62回の出場、通算122勝、14度の決勝進出はいずれも歴代最多を誇る。だが1969年に立教大を下して優勝して以降、7度の決勝でいずれも敗退。1970年、連覇に挑んだ東洋工業は釜本邦茂率いるヤンマーに敗れた。1978年は後にドイツでプレーした尾崎加寿夫がいた三菱重工に敗戦。1987年のマツダは、後に数多くの名GKを育てたディド・ハーフナーや織田秀和(現広島強化部長)、小林伸二(現徳島監督)、松田浩(前栃木監督)らを擁し、ベンチには現広島監督の森保一もいたが、ラモス瑠偉を中心とする読売クラブの南米サッカーに屈した。考えてみれば、14度の決勝進出のうち優勝は3度しかなく、元日の国立決勝は1勝7敗。まさに「負の歴史」が綿々とつながっている。

ただ、1965年から70年、東洋工業が日本リーグの6年間で5度制覇するという黄金期を迎えたことがあるが、その時の天皇杯では3度優勝。1965年と67年はリーグとの二冠を達成している。だが1970年、リーグ王者として臨んだ天皇杯決勝で敗れて以降、東洋工業・マツダ・サンフレッチェ広島と続く歴史は、苦闘の歩み。1978年はリーグ6位、1987年の日本リーグは秋春制だったが、そのシーズンでマツダは二部に降格。サンフレッチェになって以降は、読者の皆さんもご存知のとおりだ。

森保監督は「過去と今とでは、チーム状況が違う」と語る。
「今まではリーグでは結果を出せていないにも関わらず、勢いに乗じて決勝に進んだ。でも今季はリーグでもタイトルをとり、勝つべくして勝っている」
過去の優勝チームを振り返っても、栄光をつかんだのは実力者たちだ。Jリーグと天皇杯の「ダブル」は過去3度(鹿島2度、浦和)しかないが、前回の柏にしても、前々回のF東京にしても、やはり力を持っていたチームである。勢いで決勝には進出できても、実力がなければ元日は勝てないのだ。
そういう意味で言えば、広島と横浜FM、どちらが勝ってもおかしくない。なにせ、リーグ戦首位と2位との対決。1993年のJリーグ開幕以降、初のケースだ。どちらにとっても、相手にとって不足はない。
ここでもう一つ、負のデータを記載しておけば、森保一監督就任以降、広島は一度も横浜FMに勝利していない。1分3敗。今季もホームでは1−3で完敗を喫し、アウェイでは齋藤学のスーパーゴールに打ちのめされた。横浜FMの堅い守備にコンビネーションを封じられ、攻めに出たところでボールを失い、鋭いハーフ・カウンターで仕留められる。相性の悪い相手である。
これだけマイナスのデータがそろっているからこそ、選手たちは熱く燃える。
「横浜FMには一発があるし、中村俊輔さんもいる。だけど、付け入る隙はあると思う」とは西川周作の言葉。「自分たちはここまで、たくさんのジンクスを破ってきた。いい舞台が待っているし、歴史に名前を刻みたい」と決意をにじませる。ミキッチも「我々はリーグ連覇という困難な事業をやってのけた。天皇杯の負の歴史を塗り替える時がやってきている。勝者のメンタリティも存在しているし、自分たちのスタイルを維持していけばいい。横浜FMに勝てていないことは確かだが、逆に言えば今季勝てなかった彼らを倒せるチャンスを得たと考えている」と言い切った。
互いにやってくることはわかっている。広島のメンバーは、今ここで明記しなくても、おそらく誰もが想像しているとおりだろうし、横浜FMも出場停止の選手をのぞいては現時点のベスト布陣を整えてくるだろう。

最高の舞台は整った。2014年1月1日に向け、東京は今、静かな時を迎えている。熱狂は、もう、すぐそこまできている。

以上

2013.12.31 Reported by 中野和也
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