12月29日(日) 第93回天皇杯 準決勝
横浜FM 2 - 0 鳥栖 (13:06/日産ス/22,630人)
得点者:86' 兵藤 慎剛(横浜FM)、90'+4 中村 俊輔(横浜FM)
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鳥栖ボールでキックオフ。いきなりロングボールを放り込み、直後には丹羽竜平が右クロスを入れる。続く4分にもカウンターから豊田陽平のパスを受けた左の金民友がフィニッシュ。序盤はリーグ戦を含め、ここ7試合負けなし(6勝1分)の鳥栖が、勢いの片鱗を見せた。守備でも相手のサイドアタッカー齋藤学に対して鋭い出足と人数を掛けた守備で仕事をさせない。
その後もボールを奪った直後に両サイドハーフが裏を狙い、そこにロングボールを送る鋭利なカウンターやアーリークロスを放り込む速攻が何度か見られた。ただし、鳥栖ペースで試合が進んだかと言えばそうではない。「(いつもと)違う雰囲気の中で、いつもやれていることがやれなかったとすごく感じた」と藤田直之が言ったように、どこか“力み”が感じられた。そのためどちらかと言うと、攻め急ぎで慌てた印象を与えた。ハーフタイムで尹晶煥監督も「自分たちのミスで相手にボールを渡してしまっているから注意すること。力が入りすぎているので、もっと落ち着くこと」という指示を出していた。
一方の横浜FMも前半は、なかなかいい形の攻撃が見出せない。前記のように齋藤のドリブル突破が鳥栖に封鎖されると、攻撃の糸口が見つけられずにいた。期待を集める1トップの藤田祥史も孤立した準々決勝・大分戦の反省から「兵藤(慎剛)と(齋藤)学になるべく(自分の)近くに来てもらうように話した」そうだが、簡単に修正は効かず。前線でボールが落ち着かず、攻め切る場面が少なかった。
その結果、前半は0−0。「堅いゲーム」と言えば聞こえがいいが、単純にお互いチャンスを創出できなかった。その証拠に前半のCKの本数はともに0本。それは攻撃の圧力が弱かったことを意味しているだろう。
それでも、後半にゲームに動きが出てくる。横浜FMは、後半の頭から右足首を痛めた栗原勇蔵に代わってファビオを投入。「途中から入ると相手の方が体が温まっているし、ゲームのリズムに入っているので、どうしてもその差が出る」(ファビオ)影響から、対峙した豊田陽平が競り合いのシーンで優位に立つ。71分には藤田直之の左ロングスローから豊田が頭で繋ぎ、最後は途中出場したばかりの水沼宏太がダイレクトシュート。横浜FMはドゥトラが辛うじてブロックし、難を逃れた。その後も73分にこぼれ球を拾った豊田のミドル、74分の左クロスから水沼がゴール前に飛び込むシーンが見られるなど、鳥栖ペースになった。
だが、横浜FMはそこで耐え忍んだ。「向こうの(攻めの)形で押し込まれつつ、セカンドボールを狙われた。そこで点を取られなかったのが大きい」(中村俊輔)。ファビオも「少しやっていくなかで、自分も(試合の)リズムに乗れた」ことで本来の身体能力の高さを見せつけ、豊田とのエアバトルを制圧。相手のロングスローもファビオがたびたび跳ね返した。
すると、延長戦の気配も漂い出した86分、ついに均衡が破れる。奈良輪雄太の縦パスを藤田が丁寧に落とし、最後はフリーの兵藤がプッシュ。これで勝負あり。90分+4分にカウンターから中村が加点し、2−0で締める。2年連続準決勝敗退の横浜FMが“三度目の正直”で、元日の「国立行き」のチケットを手にした。
以上
2013.12.30 Reported by 小林智明(インサイド)
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