Jリーグ史上初のホーム未勝利に終わった大分。大会は違えども是が非でもホームで勝利し、気持ちよく次のステージに向かいたい、そんな思いがチーム内に満ちていた。しかし、今季のリーグ戦でタイトルを逃した横浜FMも、悔しい思いをさせたサポーターに恩返ししたい気持ちは同じ。互いに一歩も引かぬ展開となった。
試合の序盤は、中村俊輔を中心とした横浜FMが主導権を握った。中村がボールに触れれば触れるほど、得点の臭いを醸し出すが、それでも大分は懸命に最終ラインを高い位置に保ち、コンパクトな守備からカウンターを狙った。
スコアレスではじまった後半は、互いに決定機を作れぬまま時間だけが過ぎたが、やはり大分にとって横浜FMの壁は厚く高かった。72分に2度対戦したリーグ戦と同じように警戒していたセットプレーで失点。「キッカーが日本No.1で、中で合わせる選手もサイズがあって強い選手がいる。止まったボールを正確に蹴り、ドンピシャで合わせられたら、マークが付いていてもなかなか対抗できない」と田坂和昭監督が振り返ったように、相手を誉めるしかなかった。
ただ失点後、明らかに横浜FMに傾きかけていた試合の流れを大分が取り戻せたのには、様々な理由がある。
まず、大分がこの試合に対して持っていた勝利へのこだわり。「J2降格が決まった不甲斐ないリーグ戦のけじめ」(森島康仁)とばかりに森島、木島悠の投入で息を吹き返す。83分には木村祐志のCKを森島が頭で合わせ同点に追いつくと、そこから大分の怒とうの攻撃が続く。今季最もエキサイトな展開でゴールを目指し、勝利への執念を見せた。また、今季限りで大分のユニホームを脱ぐ選手の花道を飾ってやりたい――その思いはピッチに立つ選手からも、スタンドを埋めたサポーターからも痛いほど伝わってきた。
だが、現実は甘くなかった。狙いとする組織的な守備、サイドのスペースから効率よくボールを前に運ぶスピードに乗った速攻で一気にゴールを目指す。何度も横浜FMゴールを脅かすが、「勝ち切れないのが今の力」(高木和道)だった。
勝負は延長にもつれると、試合巧者の相手にまたもリードを許し、そのまま逃切られ今季を終了。試合後には、今季限りでチームを去る宮沢正史に盛大なコールが起こり本人も涙する姿があった。そして、これまでの3年間チームを引っ張ってくれたキャプテンの花道を飾ってやれなかったと数人の選手も涙を流す姿が、やけに印象に残った。
延長戦の末に勝利した横浜FMは、これで3年続けてベスト4入り。試合後どの選手にも浮かれた様子はなく、リーグ戦でのラスト2試合で失速した失意を解消するには優勝しかない、と選手は口々に話していた。樋口靖洋監督も「今日の試合もセットプレーで流れが変わると思っていた。いい形で取れたが、失点は修正しないといけない。あと2つなんで最後のタイトルに挑戦したい」と喜ぶ様子はなく、次の試合に目を向けていた。
以上
2013.12.23 Reported by 柚野真也
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