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【J2:第42節 横浜FC vs 水戸】レポート:ピッチ上での状況への対応能力で上回った横浜FCがゴールラッシュを見せ、3連勝で今シーズンを締めくくる。(13.11.25)

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横浜FC、水戸ともに14勝13分14敗の勝点55で迎えたシーズン最終戦。昇格プレーオフ争いには関係のない試合ではあったが、だからこそ、今シーズンに両チームが取り組んできたことの真価をプロとしていかに表現できるかが問われる試合だった。水戸・柱谷哲二監督が「今シーズンの悪いところが全て出た試合」と振り返る一方で、横浜FC・山口素弘監督が「立ち上がり30分は寝ていたが、やらなければいけないことを思い出した」と述べたように、ピッチ上で2つの対応力を見せた横浜FCが4ゴールの圧勝劇を見せた。

柱谷監督は「2点目のところで勝負あった」と振り返ったが、前半のアディショナルタイムのラストプレー(45+2分)での横浜FCの2点目と、後半立ち上がり(47分)での横浜FCの3点目は、ゴールの時間帯という意味で水戸のモチベーションに大きなダメージを与えることができた。しかし、この2ゴールを生んだのは、最初のゴールの前後に見せた横浜FCの対応だった。

上記の山口監督のコメントにも象徴されているように、立ち上がりは水戸のペースだった。前節の京都戦同様、水戸は持ち味の局面での厳しい守備で横浜FCのパスワークを寸断する狙いを持っており、立ち上がりは効果を持っていた。ここで横浜FCは最初の対応を見せる。プレビューでも取り上げた高地系治の「裏に蹴ることが悪いことではないので、状況判断をもっと良くしたい」というコメントの通り、前へのプレッシャーを掛ける水戸の背後へ走り込む内田智也へのロングパスを見せることで、水戸の前後のバランスを失わせる。30分の小野瀬康介から内田へのパスは、ゴールへは繋がらなかったが伏線となった。そして、32分に中島崇典から同じような裏へのロングボールが内田へ。その対応でミスをした水戸DFから内田がボールを奪うと、小野瀬、三浦、武岡優斗と右サイドへワイドに展開し、そのまま武岡が先制点を奪った。水戸のプレッシャーに対して、縦の幅と横の幅を見事に使った対応が生んだ先制点だった。

「1点目でだいぶ気持ちがほぐれた」と山口監督が振り返ったが、単に気持ちがほぐれただけでなく、ここで横浜FCはポジション修正という第2の対応力を見せる。「僕が1つ前に出て、カズさんと並ぶ感じになってからリズムが出てきた」(高地)というように、4-1-4-1のフォーメーションに変更し、三浦と高地で水戸のダブルボランチから自由を奪っていく。「ボランチのところが持たされてしまった」と柱谷監督は振り返ったが、これで横浜FCが主導権を奪い、先に書いたダメージの大きな2点に繋がった。2点目は、1点目と同様、裏へのパスに反応した大久保哲哉からのクロスに内田が飛び込んだもの。3点目は、逆に左サイドに展開し、高地の絶妙のクロスに大久保が高い打点で合わせたものだった。
そして締めくくりは57分の高地のゴラッソ。契約満了が発表された永井雄一郎とのパス交換から、前に出ていた水戸GK本間幸司の位置を確認すると芸術的なループシュートをゴール右にたたき込んだ。その後、柱谷監督が「あきらめず最後までがんばってくれた」と述べたように、水戸もゴールへの意識を強め76分に得たPKを鈴木隆行が決めて1点を返すものの、全体としては横浜FCの良さが出る形で試合は4-1で終了した。

横浜FCにとっては、状況に合わせて4-4-2と4-1-4-1を使い分けることを含めて、今シーズン目指していたことの一端が最終戦で表現できた試合だったと言える。終盤になって高まってきたチーム力は、優勝というチームの目標からするとその実現が遅すぎたが、一方で、来シーズンの雪辱に向けたスタート地点となったのではないだろうか。ゴールを重ねるたびにキャプテン・シュナイダー潤之介と喜びを分かち合う結束力は、この横浜FCのベースとして来シーズンに活かしていかないといけない。1つになったニッパツ三ツ沢球技場は横浜の財産だ。

一方の水戸は、冒頭の柱谷監督の言葉にあるように悪い面が出てしまった悔しいシーズンの締めくくりとなってしまった。しかし、指揮官は「ポゼッションとロングボールの判断が良くなった」と今シーズンの収穫も口にした。あと1勝に迫った勝ち越しは今シーズンも達成できなかったが、水戸にとっても今シーズン得た収穫を1つでも来シーズンに積み重ねていくことが、クラブの成長につながっていくことは間違いない。

横浜FC、水戸ともに、来シーズンもクラブは継続していく。水戸は柱谷監督の続投が発表され、横浜FCも正式発表はされていないが、山口監督の続投が示唆されている。最終戦は締めくくりだけでない。来シーズンは、この試合から始まる。来る春をまた楽しみにしたい。

以上

2013.11.25 Reported by 松尾真一郎
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