試合当日朝からの雨により、ピッチはびしょ濡れの状態に。立ち上がりはこのピッチコンディションに苦心する両チームの姿が見られた。
愛媛の布陣は【3-4-3】。「ピッチ状況が悪いということで、急きょスタメンを入れ替えて、戦術的にもはっきりさせて臨んだ。ある程度のシンプルなものにした」と石丸清隆監督が語ったように、当初は重松健太郎と1トップに、2シャドーを置いて来るかと予想されたが、前線を左から重松、190cmの長身FW渡辺亮太、加藤大とフラットに並べ、渡邊をターゲットにして、ロングボールから裏を突いて行く戦い方にシフトチェンジした。
それに対し、岐阜は守備面でどう渡辺に起点を作らせないか。攻撃面では前線の中村祐輝とスティッペのツートップが、相手3バックのミスマッチをどう突くか、3バック脇の両サイドのスペースを左の美尾敦、右の染矢一樹がいかに突けるかがポイントとなった。
岐阜の攻撃に意図は見られた。だが、ボールが止まり、思うようにパスが出せなかったのと、愛媛が左の三原向平、右の石井謙伍の両ウィングバックがポジションを低く取って、スペースを消しに来たのも重なって、なかなか思うような攻撃が組み立てられなかった。共に決定打を出せぬまま、迎えた33分、スリーバックの中央のアライールが負傷退場し、DFハン ヒフンが投入されるアクシデント。これで試合の潮目は変わるかと思われた。
変わると思われたと言っても、それは岐阜にとって優位に働くかと思われたのだが、結果は逆だった。交代直後こそ、岐阜が前への圧力を強めて、愛媛を押し込んだが、40分、カウンターを受けると、一番取られてはいけない選手に先制点を奪われてしまう。攻撃に転じた後で、岐阜の中盤が大きく間延びをしたとき、重松に対して、ノーチェックのまま前に持ち出されてしまう。そして彼に対するファーストディフェンスが曖昧になった瞬間、右サイドからダイアゴナルランでバイタルエリアのスペースに入り込んできたFW加藤大にパスを渡されてしまった。この瞬間、岐阜のDFラインは誰も加藤にチェックに行かなかった。重松に気を取られ過ぎて加藤を視野に捉えていなかったのか、誰かが加藤のチェックに行くと思ったのか、全員がリトリートをしてしまい、慌てて飛び込んだ時は後の祭りだった。結果、加藤の得意とするカットインからのドリブルシュートを決められた。
0-1。1点のビハインドで迎えた後半、岐阜は中村に代え、FWバージェを投入。岐阜はピッチコンディションを意識して、スティッペとバージェの2人の高さを生かすべく、ロングボールを多用した。それに対し、愛媛は前半低い位置にいたウィングバックを前に出したが、逆にそれにより愛媛の中盤は完全に間延びをしてしまった。54分、右サイドでDF杉山新がボールを持つと、そのままドリブルで中盤のスペースに仕掛け、裏に飛び出した染矢へスルーパス。染矢は一気にドリブルでペナルティーエリア内に仕掛けると、相手のファールを誘い、PKを獲得。これを染矢自らが決め、岐阜が同点に追いついた。
しかし62分、後半投入されたばかりのバージェが2枚のイエローカードをもらい退場。せっかく掴んだいい流れを、軽率なプレーで逆転ムードに大きく水を差した。
ここから愛媛は攻勢に出る。岐阜は前線にスティッペを残し、徹底したブロックディフェンスで応対。根競べとなる展開の中でも、岐阜はカウンターからMF益山司がポスト直撃のヘッドを放つなど、逆転の可能性を失わなかった。
試合はこのまま動かず、1-1のドロー決着。愛媛は10人の岐阜を最後まで切り崩せず、勝点3を逃した。岐阜も「11人でちゃんと戦ったら、もっとチャンスがあったと思う。愛媛は後半に運動量がダウンすると思ったので、後半にチャンスあると思った。PKで追いついて、流れは悪くない中で、自滅してしまった。そこは選手がしっかりと反省しないといけない」と辛島啓珠監督が語ったように、バージェがたった17分のプレー時間で退場をしてしまったことが痛恨で、こちらも勝点3を逃した。
共に『勝てる試合』を逃した一戦。特に岐阜にとっては勝てば残留がほぼ確定できるような状況に持ち込めただけに、悔やまれる敗戦だった。
「次もホームなので、そこで残留を決めたい」(服部年宏)。
勝って残留へ。この勝点1を意味あるものにするためにも、岐阜にとって次節の札幌戦は重要な一戦となる。
以上
2013.11.11 Reported by 安藤隆人
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