残留に向けて、もう1試合も落とせない重要な局面を迎えている岐阜。前節、山形にアウェイで「2-2の引き分けで勝点1を積み上げたことで、最下位の鳥取との勝点差は4になった。しかし、決して安心できる位置にいるわけではない。少しでも気を抜いたら、すぐに入れ替わられる位置にいるのも確か。今、チームはいい緊張感にある。もう落とせないことは、選手自身が良く分かっている。目の前の試合に集中し、チームとして戦うことが重要であることも。

ポイントとなるのが攻撃陣で、好調を維持するFWスティッペを中心に、いかに効率のいいショートカウンターを仕掛けることが出来るか。スティッペが前線でためを作れている時間帯の岐阜は、連動した良い攻撃が出来る。彼がためを作った時に、両サイドはもちろん、ボランチがいかに積極的に絡めるか。全体をコンパクトにし、スピードある染矢一樹やテクニックのある美尾敦の個人技を生かし、フィニッシュでは服部年宏や益山司らが顔を出せるか。岐阜はボランチの得点が少ないだけに、彼らがもっと絡んで来れば面白い攻撃が出来そうだ。

守備面では、前節の山形戦では失点に直結するようなミスが目立ったことが気になる。CB木谷公亮がディフェンスリーダーとなって、うまく統率がとれていただけに、ここに来てのミスは大きな痛手となる前に解消しないといけない。連携面の確認、特にファーストディフェンスからの連動の確認を十分にし、この試合では不用意なミスはなくしたい。

対する愛媛は前節の水戸戦で引き分け、ここ5試合で2勝1敗2分けと安定した戦いを見せている。キーマンはチーム最多の8得点を挙げている、攻撃の要・加藤大だ。三菱養和SCユース時代から、広い視野から繰り出される多彩なパスと、果敢な裏への飛び出しには定評があったが、プロの世界でもまれ、周りを生かすプレーと自らが生きるプレーのメリハリがつき、チャンスメーカーとしてだけでなく、自ら決めきる力もついてきた。ここに好調なMF東浩史が絡むと、破壊力が増すだけに、岐阜はここの連携を寸断することと、加藤を自由にさせないことがポイントとなる。ただ、守備面に不安がある。ここ2試合で5失点と失点が多く、どこまで守備を立て直せるかにも注目したい。

いよいよ泣いても笑っても後3節。残留という絶対使命を果たし、来季への希望につなげるべく、もう落とせない戦いが続く岐阜。守備面の連携の確認と、ボランチからのビルドアップを実行し、山形戦のようなミスで落としてしまうような戦いは避けたい。
岐阜という街に、J2クラブという貴重な火を消さないためにも、チーム全体、スタジアムが一体となった総力戦を期待したい。

以上

2013.11.09 Reported by 安藤隆人