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【J2:第39節 山形 vs 岐阜】レポート:追いついた岐阜は「悪くない」勝点1を獲得。山形は逆転した試合をモノにできず、痛い勝点1に。(13.11.04)

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公式記録でもっとも顕著な差が見られたのは、直接フリーキックの数だった。山形の20に対し、岐阜は3。ファウルは相手にチャンスを与えることになる。また、戦術的な違いや試合展開によっても差が出るため、一概に良し悪しを判断できるものではないが、この試合、岐阜の守備は球際の厳しさが光っていた。

岐阜の前線にはスティッペと中村祐輝。2人の強さを生かしてボールを預け、多少パスがズレて相手に渡っても高い位置からプレッシングをはめていくことで逆に相手のパスミスを誘った。「相手は単純なロングボールだけやったし、スローインから逆サイドへ展開とか結構シンプルなやり方だったんですけど、なかなかそこで自分たちが、立ち上がりに抑えられなかった」(中村太亮)。まだ単発だった山形の序盤の攻撃は、準備が整った岐阜に跳ね返された。11分、中盤まで下りた山崎雅人の背後から関田寛士がプレッシャーをかけ、そこからボールが出たロメロ フランクにも連続してチェイス。結局ファウルを取られたが、リーグ戦では第6節以来の先発出場。新井辰也の出場停止でめぐってきたチャンスをモノにしようと、ゴール前に入ってくるボールを相手より先に踏み込んで跳ね返すなど、気持ちをアグレッシブな守備に乗せた。

山形は15分頃からようやく反撃に転じ、コーナーキックを立て続けに奪うなど主に左サイドから崩しにかかったが、逆に岐阜は24分、染矢一樹のクロスに中村祐とボランチの益山司が飛び込み、27分には美尾敦のフィードを相手ミスにも乗じて裏へ飛び出した中村祐がペナルティーエリアまでフリーで持ち込みシュートを放つなど、決定機を立て続けにつくっている。35分にも、ロングボールのターゲットとなった中村祐がサイドにさばき、染矢がシュートを放つシンプルな攻撃でコーナーキックを得ると、美尾が放ったアウトスイングのボールはペナルティーエリア内を抜け出すことなく、両チームの選手のどちらに収まることもなく競り合われていたが、中央でこぼれ球を拾った染矢が左奥の方向へ持ち出してそのまま左足でシュート。山形は守備の人数は多かったが、その間を縫い、視界が開けた瞬間に放ったボールは誰にも触れられることなく、内側からサイドネットを揺らした。「栃木戦もああいう形でこぼれてきて外したんですけど、今回も僕、そういうこぼれ球を狙ってた。いい感じでスルスル抜けていけたので、いいゴールだと思います」と染矢が自画自賛するゴールで岐阜が先制した。

リードを許したホームの山形は、岐阜の粘り強い守備を崩しきれずにいたが、40分、スローインからロメロ フランクがゴール前にクロスを上げ、直前のコーナーキックから居残っていた西河翔吾が飛び込んだ。ここはGK高木貴弘がパンチングしたが、クリアした先にいたのは山形の中島裕希。中島はゴールを空けて飛び出していた高木の股下に低く鋭いシュートを打ち込んだ。これはゴールマウスのライン上でカバーに入っていた木谷公亮がクリアし難を逃れたかに見えたが、至近距離まで詰めていた山崎の胸部に当たりそのままゴールマウス内へ。岐阜にとってはアンラッキーなゴールで試合は振り出しに戻った。

後半は山形が一方的にペースを握る。裏への動きを増やし、起点ができればそこから人数を絡めて崩し、フィニッシュまで。そうした勢いが50分、中村太の左コーナーキックからのオウンゴールを生み、山形が逆転に成功した。63分のコーナーキックでは途中出場の林陵平がマークを外してヘディングシュートを打ち込むなど、山形が圧力のままに攻め込む時間が続いたが、高木の好セーブでこれを防いだ岐阜は、58分に投入されたバージェが橋頭堡となる。バージェのフリックで染矢がスペースへ飛び出したことで得た65分のコーナーキック。マークを外した益山のヘディングをGK常澤聡がいったんは掌で弾くが、これをスティッペが押し込んで同点に追いついた。中島やロメロ フランクなどセカンドに反応する選手はいた。しかし、そこで防ぎきれなかったボールをさらに狙う選手がいた岐阜が、ここでは山形を上回った。

勝ち越し点を狙いながら攻めきれない山形は、ロングボールが増えてきた時間帯の78分、石川竜也をボランチに投入。「だんだん距離が広がってくるのをマイボールにするために、ボールを拾って簡単にリズムをつけるというところで意識はしてやりました」(石川)と中盤で収まることでボール保持の時間が一気に増え、相手ゴール前に押し込む展開までは持ち込んだが、「選手がよく走って耐えしのいでくれてよかった」(辛島啓珠監督)と体を張る岐阜から勝ち越しゴールを奪うことはできず、試合は2-2のまま終了した。

JFLでは同日、来シーズンのJ2ライセンスを持たない長野が2位以上を確定させたため、J3への降格はJ2の最下位1クラブのみとなった。最下位・鳥取との勝点差は3から4へ開いたが、この試合で得た勝点1について、染矢は「今日の勝点1じゃまだまだ全然予断を許さないし。そう思うと、3取りたかったですけど、でもアウェイでこういう難しい試合だったので、全体的には悪くはなかったと思います」と話している。

「非常にモンテディオ山形の歴史においても重要な試合の位置づけのなかで、両チームが体を張った結果が引き分けに終わってしまった」。会見で語る奥野僚右監督の声はいつになく力のないものに聞こえた。6 位・徳島との勝点差は5に縮まったが、今節を終えて徳島との間にはさらに2クラブが入り込み、順位は11位に後退した。リーグ戦はここからアウェイが2試合続き、残るホームゲームは最終節のみ。どのような状況でそのときを迎えているか。すっかり色づいた紅葉の落葉の状態と見比べる時期が、今年も来ていた。

以上

2013.11.04 Reported by 佐藤円
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