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【J2:第38節 東京V vs 北九州】レポート:守備が安定した東京Vが1−0辛勝でJ1昇格の可能性をつなぐ。北九州は10月未勝利に終わる。(13.10.28)

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「0で抑えて勝ててよかった」この一言に尽きるゲームだった。それを証明するがごとく、試合後の監督・選手は全員揃ってこのフレーズを口にした。それほど、いまの東京Vには「0に抑えること」「勝つこと」が大事な意味をもっているのだった。
10月に入り、4失点、3失点、4失点と続いた公式戦での大差敗戦が選手たちに与えていた精神的ショックは、あまりにも大きかった。日頃、東京Vの生え抜き選手らしく人一倍内容にもこだわりを口にする飯尾一慶でさえも、この試合前「いまは、内容より何より、結果だけが大事」だと、本当に珍しく割り切りを口にしたほどだった。そして、そのためには、「とにかくどんな形でも先に点をとらなければ」と、先制点の必要性をいつも以上に強調していた。
その、是が非でも欲しかった先取点がもたらされたのは、前半22分だった。中後雅喜の好CKを、ゴール前の混戦のなか高原直泰が体を目一杯広げて左足に当て、落としたところを「自分のところに来たのでラッキーでした」右足で強烈に叩き込んだのは、他でもない飯尾だった。決めた瞬間、右手に拳を強く握り締め、噛み締めるように静かに2度3度ガッツポーズ。「サッカーって、本当に難しいです」と、なかなか結果が出ず、責任を背負い込む苦しい胸の内を吐露していた主将が、チームに勇気を与えた。
結果として、この1点が決勝点となったという意味でも、非常に価値ある貴重なゴールだった。

無失点で終われた要因に欠かせなかったのが、石神直哉、刀根亮輔がDFラインに復帰したことだろう。「チームがここ最近失点していた中、刀根と自分が復帰して、そこでまた失点していたら意味がない」という石神の言葉は、自分が出たら、絶対に点はやりたくない」という刀根の思いとまったく同じだ。ケガでピッチを離れていた間、チームを外から見て「自分が入ったら」と、それぞれ感じていたことは当然あった。「(失点が多かった)ここ何試合かも、コーチングでどうにか防げた失点もいくつかあった。このチームでは僕は年上の方になるので、いろいろな状況でしっかりと声をかけようと意識はしていた」と、石神が積極的に周りに指示の声をかければ、刀根も「最近、最後の局面で体が張れてなかったように見えていたので、自分が出たらそれをしっかりやろうと思っていました」。それぞれが、自分のできること、やるべきことをしっかりと全うした結果が、完封勝利につながったと言えるのではないだろうか。再び定位置確保を目指す上でも、両DFにとって0封は最大のアピールにもなったことだろう。

また、もう1つ守備の安定に欠かせなかったのが、中後雅喜の存在だろう。「いつも通りのポジション(3-3-2-2の右サイドハーフ)だけど、ボランチ気味にプレーするイメージ」と本人が話していた通り、状況によっては、一見、鈴木惇とのダブルボランチのように見えるほど、「惇の横にいることが多かった」(中後)。どうしても使われがちとなる、アンカーの両脇へのケアに重きを置いたことによる結果だが、それがDF陣の負担も軽くした部分は当然あったに違いない。背番号8の無失点への貢献度も、大きかったのではないだろうか。

ただ、リーグ戦では3試合ぶりの勝利も、90分間を通した戦いについて問うと、飯尾は「決していい試合ではなかった」と切り出し、続けた。「いま、0で抑えることだったり、勝とう!ということだったり、良いサッカーをしようだったり、やるべきことがあまりにも多すぎる。もちろん全部目指したいけど、この状況では難しい。その中で、“勝つ”ことは最初に優先させなければいけない。その上で、内容を少しでも上げていく努力をしていかないとですね」。
5位徳島、6位長崎が敗れたことで、再び勝点6差となり、なんとかプレーオフ進出の望みがつながった。しかし、「一気に勝点9とか6とかがもらえるなら話は別ですけど、どう頑張っても最高は3。僕らにはその最高3ずつを1試合1試合しっかりと積み上げていく中で、上との差を1つでも2つでも詰めていくしかない」(巻)。次の富山戦(11/3@味スタ)も、最高勝点3のために全員で同じ方向を向いて戦うだけだ。

敗れた北九州は、「今月勝てなかった」(井上翔太)。先に点を奪い、主導権を握って自分たちのリズムに持ち込みたかったが、セットプレーによって失点を許してしまったことがすべてとなってしまった。決して崩されたわけではないだけに、悔しさもより強く残るに違いない。
また、攻撃面では、自分たちのサッカーが出来ているときの特徴ともいえる、小手川宏基の中へ切れ込んでいく動きがほとんど出せなかった。井上が「中が固かった」と、東京VDFの印象を語っていた通り、刀根と石神が戻り、中後が入って鈴木と共に固める守備のセンターラインによって、北九州の攻撃陣はボックス内でほとんどチャンスを作ることができなかった。
柱谷幸一監督は、中で勝負できないと見ると、サイドで起点を作れる森村昂太を入れ、サイドバックの多田高行を高い位置に出して突破し、2トップにボールを入れて好機を生み出そうとしたが、最後までゴールネットは揺らせなかった。
北九州も、今季大幅にメンバーが変わった1年目のチーム。いま、なかなか結果が出ていないが、「自分らがもっと変わって、次はホームなので、絶対に勝点3を取る気持ちでやって行きたいと思います」井上は努めて前向きに話した。

以上

2013.10.28 Reported by 上岡真里江
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