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【J2:第38節 岐阜 vs 栃木】レポート:内容で勝った岐阜は、PK1本に泣いた。接戦を制した栃木は6位以内を視界に捉えた。(13.10.28)

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栃木の松本育夫監督が恐れていたことが現実の物となる。降格が懸っている岐阜はそう易々と勝てる相手ではない。なぜなら、「選手個々の気持ちの持ち方には強いものがあるはず」(松本監督)だからだ。指揮官が戦前にそう警鐘を鳴らした通り、21位の岐阜は立ち上がりからJ2残留に向けて持てる限りの力を発揮した。内容では圧倒的に10位の栃木を凌駕したのだ。サッカーに判定勝ちがあるならば、ジャッジは確実に岐阜を勝者に選んだはずだ。しかし、互いに負けられない一戦で勝ち切ったのは、5戦無敗と勢いに乗っている栃木だった。
「ひとつのファウルで試合が決まってしまった。そこは歯痒い」
そう唇を噛んだのは新井辰也。後半に隙を突かれて献上したPKを、クリスティアーノに決められてしまった。栃木は苦しみながらも僅差の試合を物にした。6戦無敗で6位・徳島との勝点差は、ついに4にまで縮まった。プレーオフ圏内をはっきりと視界に捉えた。
3分にファーストシュートを放ったのは栃木だった。出場停止のサビアに代わり1トップに配されたクリスティアーノが高い位置でボールを奪い、パスを繋いだ近藤祐介がフィニッシュに持ち込んだ。その後もゴール前に迫る回数は栃木が勝ったが、先に決定機を作ったのは岐阜だった。スティッペの左クロスをファーサイドで染矢一樹が頭で合わせる。マーカーの菅和範の死角から放ったシュートはゴールマウスを捕らえる。だが、ボールに勢いはなく、GK榎本達也に確保されてしまった。

逸機してからも流れは岐阜の手の中にあった。長い芝と向かい風に手を焼いた栃木とは対照的に地の利を活かし、セカンドボールを拾いまくっては中盤の攻防で優位に立つ。2−2のドローに終わったものの、2度も同点に追い付いた前節の横浜FC戦のいい流れを継続できたと言える。だが、主導権を握った割にはシュートに至るケースが少なく、記録したシュート数はわずかに4本に留まった。それでも、38分にFKから新井が、39分にはスローインから染矢に得点機が巡って来た。攻撃のリズムを掴みきれなかった栃木も、前半の最終盤に山形辰徳のクロスからクリスティアーノがゴールに襲いかかる。両チームともに先制機があったが、チャンスを引き寄せられずに前半が幕を閉じた。

「立ち上がり集中して入ること」。ハーフタイムにそう辛島啓珠監督の指示を受けた岐阜は、後半序盤の攻防で優勢に回る。9分にはCKからスティッペが落としたボールが再び染矢の前に転がる。今度こそ。期待感は高まったが、またしてもボールはGK榎本の手中に収まった。ボールを奪うまではいいが、その次のパスの質が向上しなかった栃木は、菊岡に代えて高木和正を投入。高木がバランスに気を配ったことで徐々に盛り返し、23分には近藤のスルーパスから廣瀬がGKと1対1の絶好機を迎える。ワンチャンスで流れを引き戻してゴールを取り切れるのが、今の栃木の強みなのだろう。GKに廣瀬のシュートが阻まれてから1分と経たぬ間に、パウリーニョのスルーパスに反応したクリスティアーノがPKをゲット。これを冷静にクリスティアーノが沈め、栃木が欲しかった先制点を得る。

ビハインドを負った岐阜は前線に長身選手をズラリと並べる。リスクを負ってパワープレーを敢行してきた岐阜に、松本監督は慌てずに対応策を講じた。西岡大輝をピッチに送り出し、5バックにして波状攻撃を凌ぎ切ったのだ。35節・松本戦(2−2)ではリードを守りきれなかったが、この日はきっちりと逃げ切りに成功した。「1−0で勝てばいいという形にさせてもらった」。老獪な松本監督が選択した割り切った戦術を選手が忠実に遂行したことが、最終的に勝点3を得られた一因となった。

横浜から持ち帰って来た勝点1の価値を高められなかった岐阜。残留を争うライバルの鳥取が敗れただけに、差を拡げておきたかったが思うに任せなかった。ただ、「前の横浜FC戦もそうだが、チャレンジしている中でいい形ができている」(美尾敦)。特にセカンドボールへの執着心は非常に強く、それゆえに自分達の時間帯が増えている。あとは仕上げの部分の精度を高めるだけだ。短期間で劇的に改善することは困難だが、改善する努力はできる。美尾は言う。
「相手云々や星勘定は誰かがやってくれる。一日一日、練習に取り組むだけだと思う」
残り4試合でも今のサッカーを継続できれば自ずと結果は付いてくるはずだ。肝心なのは、土壇場でぶれないこと。深まりつつある自信を胸に、下を向くことなく、最後まで悔いなく戦い切りたい。

松本体制で2度目の完封勝利を飾った栃木。松本監督は球際の競り合いなどに注文を付けつつ、「私のサッカーでは1−0の勝ち方が一番望ましい」と結果には一定の評価を与えた。これまでは大味な試合が目立ち、撃ち勝つイメージがすっかり定着した栃木だが、岐阜戦では一味違い守り勝つことに成功した。これまで攻撃陣が爆発してくれたことに感謝するかのように、守備陣が粘り強い守備を披露できたことは小さくない。攻撃はミズモノと言われるように、いつも複数得点が取れるとは限らないからだ。

事はシナリオ通りに運んでいる。次節(11/3)は勝点差4に迫った5位・長崎との直接対決だ。
「失うものがない分だけ追う方が優位だと思う。向こうはJ2参入1年目だけど実力があるチーム。リスペクトするところはするけど、僕らには勢いがある。自信を持って次に向けて準備したい」
福岡時代にJ1昇格を経験している山形の言葉には説得力がある。次もチャレンジャーとして、思い切り長崎に挑みかかりたい。

以上

2013.10.28 Reported by 大塚秀毅
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