前節・神戸戦の後、反町康治監督は「特別なことは何も言っていない」と前置きしたうえで、「『0-7で負けたからといって、応援しないというサポーターはいない。逆により応援してくれるだろう』、『福岡戦は大事になる。これからの明暗を分ける試合だ。悔し涙は絶対に無駄にしてはいけない』と話した」という。

最終スコアは0-7。敵地ノエスタで完敗を喫したことで、8位へと後退。6位・長崎との差は勝点6にまで広がった。しかし、指揮官が言うように「0-1で負けても、0-7で負けても、勝点はゼロ」なのである。『勝点を取れなかった』というショックは点差関係なく同じと考える開き直りも、この状況下ではある意味で必要だ。今節は立ち直らねばならない大事な一戦となる。約1カ月ぶりのアルウィン開催となるリーグ戦で、選手たちを信じるファン・サポーターのためにも決意を見せないといけない。真価の問われる試合だ。

対する福岡も、ピッチ内外で試練を迎えている。ピッチ外の経営問題が明らかとなった件については外部の人間が詳しく触れるのは控えておきたいが、一方のピッチ内はというと、後半戦から負傷や出場停止などでメンバーの整わない苦しい状況が続いたこともあり、第26〜28節まで3連敗、第31〜35節まで5連敗と大きな連敗を重ね、ここまで13勝9分15敗で15位という状況だ。激しさを売りにするチームスタイルゆえに警告数は多く、今節は西田剛と金森健志が警告累積、プノセバッチが前節の退場により、それぞれ出場停止となる。また城後寿も骨折により戦線を離れており、主力選手を4人欠く形で今節を迎える。しかし、得点力のある坂田大輔と石津大介、中盤のキーマンである金久保順、最終ラインに控える古賀正紘と各ポジションに実力・実績のある選手を配置しており、「簡単に勝てる相手ではない」（玉林睦実）。アウェイとはいえ、開始直後からチーム一丸となって圧力をかけてくる展開が予想される。

松本としては、大敗の直後だからといって、違うサッカーをするわけにはいかない。開幕前のキャンプ時からしっかりと積み重ね、成熟させてきた“松本らしいサッカー”を今こそ貫き通さなければならない。前節は脚痛というコンディション不良もあり、「この1試合よりも、残り5試合が大切」と欠場した船山貴之も、痛みも和らいだことで「出る、出ないは監督が決めることだが、出るための準備はしている」と表情は明るく、今節での復帰が濃厚だ。「前線での落ち着きが必要だった」という神戸戦の反省を踏まえ、チームに貢献するために調整は出来ている。

全ては応援してくれる人たちのため――。お互いに勝利が欲しい一戦だ。

以上

2013.10.26 Reported by 多岐太宿