残り6試合となったJ1リーグがおもしろい。勝点3差のなかに上位4クラブがひしめき合い、なおかつ、今節は4位の鹿島と3位の浦和が直接対決で雌雄を決する。ただでさえ盛り上がる対戦が、勝った方が優勝を賭けた争いに生き残るサバイバルマッチという要素を帯びてやってきた。リーグタイトルを狙える位置で両者が激突するのは07年以来となる久々のこと。さらに昨季まで鹿島に在籍していた興梠慎三が、浦和のエースFWとしてカシマスタジアムに乗り込んでくるとあれば、自ずと試合はヒートアップする。東日本大震災以降、初めて観衆が3万人を超える勢いで前売りチケットが売れている。
鹿島は現在、公式戦4連勝と波に乗る。失点の多さはらしくないが、攻撃陣がそれをサポート、4試合で12得点を奪う破壊力を見せて順位をあげてきた。ただ、14日(月)の天皇杯・京都戦は決して褒められる内容ではなくトニーニョセレーゾ監督が激怒。選手たちの頭には、少なからず、この浦和戦のことがひっかかっていたようだ。
対する浦和はリーグ戦、ヤマザキナビスコカップ、天皇杯を並行して戦っていたこともあり、16日(水)の天皇杯では先発全員を入れ替えて臨んだ。しかし、山形の前に2−3で膝を屈している。こちらも1つのタイトルを落とす可能性よりも、この試合を重視したことがうかがわれる。互いにこの試合に賭ける気持ちは強い。
ただ、昨シーズンから浦和の指揮官に就任したペトロヴィッチ監督の前で、鹿島は一度も勝てていない。昨季からリーグ戦では3連敗と分が悪い相手なのだ。その要因としては、システムのかみ合わせが悪いことが上げられるだろう。浦和は、4バックの相手を崩すことを極めたシステムを採用、5人の選手を前線に並べてくる。それに対して自分たちのシステムを変えるチームもあるが、鹿島はそうした選択肢を持たず、いつもの形を崩さずに相手を凌駕することを狙う。自分の長所が消してまで相手の長所を消すことを優先するのではなく、あくまで相手の長所を消しつつ自分たちの長所を生かすのだ。
しかし、すべてがうまくいくはずもない。
「場面、場面でうまくいくところ、うまくいかないところが出てくると思う」とは本山雅志。それを覚悟の上で、「みんなで相手の長所を消すことをやっていきたい」と話す。
選手達の自信になっているのが前回対戦した第11節の前半の内容だ。ポゼッションを特徴とする浦和に対して簡単にくさびのパスを許さず、逆にゲームを支配した。
「後半はパワーダウンしたけれど、あれを続けられれば。みんな、イメージはできていると思う」
左サイドバックの中田浩二は、良いイメージを持って試合に入れると話す。
右サイドバックのレギュラーである西大伍が2試合の出場停止中。今節もF東京戦同様に、伊東幸敏が起用されるだろう。「こんな、良いチャンスはない。ここで良いプレーができれば相当自信がつく」と伊東。これで先発は2度目と経験は浅いが、F東京戦では堂々としたプレーを披露した。浦和は左サイドの攻撃が持ち味でもあるため、伊東のパフォーマンスが試合を左右する部分も多いだろう。
鹿島は、今季のリーグ戦でホーム負けなし。11勝2分と圧倒的な力を発揮している。大事な一戦をホームで戦える利を生かしたい。
以上
2013.10.18 Reported by 田中滋
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