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【J1:第29節 仙台 vs 名古屋】プレビュー:ともに最終ラインの要を出場停止で欠くチームが、現指揮官の6年目に集大成を見せたい試合。(13.10.19)

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今節にユアテックスタジアム仙台で対戦する仙台と名古屋は、いずれも2008年からチームを率いる指揮官が、6年目の今年でひとまず監督の座を離れることとなった。「6年目の監督同士が残り6試合のところで当たる…6に縁があるわけではないでしょうけれど」と冗談交じりに言う手倉森誠監督は、「ピクシー(ストイコビッチ監督)にとっても自分にとってもリーグ戦は残り6試合。激しいゲームになるでしょう」と展望する。

2004年のコーチ時代から仙台に在籍してきた手倉森監督、1994年から2001年まで選手として名古屋に在籍してきたストイコビッチ監督。それぞれが監督となった2008年から2013年までに作り上げてきたチームの“集大成”をこの終盤戦で示したいところ。そしてこの一戦は、直接そのスタイルがぶつかることとなった。
両チームにとって痛いのは、仙台が鎌田次郎、名古屋が田中マルクス闘莉王という最終ラインの要を出場停止で欠くことである。両者が今季に何度も悩まされてきた、負傷による選手の出入りというものも影響するかもしれない。しかし見方を変えれば、こういう状況でもこれまでに積み重ねてきたものをピッチ上で披露できるかどうかが、指揮官と選手、あるいはサポーターやクラブ全体の力の見せどころではないだろうか。

アウェイチームの名古屋にとっては、守備のみならず攻撃面でも存在感の大きい闘莉王の欠場は痛い。しかし彼が抜けてもセンターバックには増川隆洋やルーキー牟田雄祐が構えており、この大型DFたちが中央をしっかり守ることで、これまで磨いてきた大外からのサイド攻撃を狙ってくるだろう。最前線のケネディに両サイドのクロスを送り、それが直接チャンスにならなかったとしてもこぼれ球に玉田圭司や藤本淳吾が先に触れればチャンスは増える。高さだけでなく永井謙佑の速さもある。

このように分厚い攻撃が予想される名古屋に対し、鎌田を欠く仙台がどう耐えられるかがポイントのひとつとなるが…第10節の対戦時に決勝点を挙げた角田誠は「個人対個人の戦いではなく、チームとしてコンパクトに、組織的にプレーすることが重要」とみている。こちらでひとつ空席となったセンターバックには、ここしばらくボランチを務めていた彼が下がって渡辺広大とコンビを組みそうだ。こちらも中央を固めて梁勇基や太田吉彰を軸としたサイドからの攻撃を支えたいところだが、角田は「センターバックとしては、ラインを高めにすることが大事だと考えています」という。
そのこころは、前線からの守備と連動すること。そして最終ラインを押し上げて前後をコンパクトにしてこそ、ボールを高い位置で奪うことも、その後の攻撃でサイドと中央のどちらも選択肢とすることも、可能になるということだ。
これが実現すれば、仙台にとっては相手の攻撃時というピンチを、自分達にとってのチャンスに転換できる。「相手が攻撃でオープンになったときに自分達がコンパクトにできれば、ボールを奪ってすぐにスペースを突ける」とは手倉森監督。二年連続二ケタゴールを狙うウイルソンのように、スペースを察知する力が高い選手の多い仙台にとっての狙いどころというわけだ。もちろん、名古屋が攻撃時に押し切ることもありうる。それぞれの思惑のもと、「互いのアタッキングサード(ピッチを三分割した際の相手ゴール手前)での精度を見せつけ合う試合」(手倉森監督)となるだろう。

両チームは現体制下で培ってきたものを、この終盤戦でもしっかり表現できるか。それは、現指揮官が去ったあとも続く、クラブチーム作りにつながっていくことでもある。そのことを踏まえつつ、今節もJリーグを、そこにあるフットボールを、楽しもう。

以上

2013.10.18 Reported by 板垣晴朗
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