公式戦８戦未勝利。
だが、その８試合の内訳を振り返ってみると、AFCチャンピオンズリーグ準々決勝第２戦、灼熱のリヤドでアルシャバブを相手にアウェイゴールの差でベスト４進出を果たした２−２のドローは、限りなく勝利に等しい試合であり、J1第２６節のＣ大阪戦も厳しい日程の中、内容的には評価されるべき引き分けだった。また、直近のヤマザキナビスコカップ準決勝第２戦横浜ＦＭ戦も０−２で敗れたとはいえ、第１戦を合わせた１８０分をトータルした戦いと考えれば、４点のリードを生かしながら決勝進出に向けて最低限の試合運びをしたと言える。
もちろん勝っていないのは事実だし、「内容は良い」などと楽観視するつもりもない。ただ、悲観したところで結果を変えることはできない。大事なのはこれからだ。
幸い、選手たちのモチベーションは非常に高い。リーグ戦では中位に甘んじ、来シーズンのＡＣＬ出場権獲得が厳しい状況であるため、「またあの舞台に帰るために天皇杯で必ず優勝する」と選手たちは相当意気込んでいる。５７日間で１５試合というタイトな日程の乗り越え、「みんなのコンディションも整ってくるんじゃないかな」と田中順也が話すように疲労のピークは過ぎ、ここから徐々に調子は上がっていくと思われる。

迎えるのは現在J2で８位の岡山である。プレーオフ圏内の６位までは勝点５差。その差を縮め、ひっくり返すためにも今回の天皇杯３回戦に勝利し、勢いをつけてJ2の最終局面へ向かいたいところだろう。それに６位以内を確保し、晴れて“J1昇格”となれば、今回の柏戦は来シーズンの戦いを測る上でまたとない絶好の機会となる。
前節の長崎戦は最後の最後に追い付かれ痛恨のドローとなったが、その前の週に行われた第３５節の千葉戦では、岡山の真骨頂がいかんなく発揮されていた。ポゼッションこそ千葉に支配されていたものの、各選手が粘り強く戦い、堅い守備と鋭いカウンターから３点を挙げ、難敵を退けた。
岡山はもともとハードワークのできるチーム。９月には荒田智之が戦線に復帰、さらに夏の補強で金民均と清水慎太郎が加わり、押谷祐樹を含め決定力を持ったストライカーを有するとあって、術中にはめれば上記した千葉戦のように一撃必殺のカウンターで仕留める強みを持つ。

試合の構図としてはボールを持つ柏に対し、岡山がブロックを形成しながらカウンターを窺う展開が予想される。柏には第２５節磐田戦、第２８節川崎Ｆ戦で、引かれた相手を攻略し切れなかったという課題があり、それについては「厚みのある攻撃を仕掛ければ相手も守り切れないと思う。パスを回し、サイドからクロスでチャンスを作る。セカンドボールもボランチが拾う。そういううちのサッカーをすることが大事」と田中順也は引いた相手を攻略するポイントを語った。
気をつけなければならないのは、前傾になった背後を狙う岡山のカウンターである。そこはボランチの大谷秀和、栗澤僚一がバランスを取りながら逆にセカンドボールを拾い、カウンターの芽を摘むことで逆に２次攻撃につなげたいが、おそらく柏も３バックを敷き、各選手がマッチアップし合うミラーゲームになると見ている。そうなれば仮にカウンターを浴びたとしても、単純に１対１の局面で相手を上回りさえすれば、自ずと流れを引き込むことはできる。

また、忘れてならないのが仙石廉の存在である。柏のアカデミーで育ち、工藤壮人、酒井宏樹らとともにクラブ史上最多６名のトップ昇格を果たした“ゴールデンエイジ”、その年代のキャプテンを務めたＭＦだ。
「同期のことはいつも意識しています。特に廉は小４の時からずっと一緒にやってきました。いつか、また一緒にプレーしたい気持ちもある。廉も成長した姿を見せたいと思っているだろうし、僕も廉に成長した姿を見せたい。気持ちの強い選手なので、試合になったらガッツリくると思う」（工藤）
「同じボランチとしてどれだけ相手の意表を突くプレーができるか。そこが鍵になると思います。廉君はプレスに行けばいなされるし、行かなかったら出される。僕がボールを持ったらすぐに潰しにくるでしょうね。僕もＡＣＬで多くの経験を積んだので、成長した姿を見せたいです」（茨田陽生）
工藤と茨田も、そう言ってかつてのチームメイトとの対戦を心待ちにしている様子だ。

単に天皇杯のタイトルを狙うというだけでなく、８戦未勝利のストップ、ＡＣＬ出場権獲得、プレーオフ圏内へ向けた弾み、そして旧友との邂逅と、お互いに様々な思惑が交錯する一戦となる。

以上

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現在（15日14:12時点）の状況は、柏 57569票 vs 12585票 岡山
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2013.10.15 Reported by 鈴木潤