あの感動と興奮と歓喜を再び――
G大阪という高い壁を乗り越えた栃木は、ミッドウイークの天皇杯3回戦でJ1の横浜FMに挑む。先のG大阪戦のようにJ1経験クラブを打破した実績はあるものの、これまで公式戦でJ1クラブを打倒したことは一度もない。その悲願達成を果たすべく、栃木はニッパツ三ツ沢球技場に乗り込む。
相手のキーマンは、言うまでもなく中村俊輔。背番号25は低迷していた名門を引っ張り、28試合を消化した時点で2位につける原動力となっている。栃木は今週のトレーニングで中村対策を入念に行い、2試合連続のジャイアントキリングを目論み、万全の準備を整えた。手抜かりは一切ない。
天皇杯の醍醐味である下剋上の鍵を握るのは、中盤の要であるパウリーニョだ。先日の遠藤保仁に続き、国内屈指の質を誇る中村との対戦を心待ちにしている“闘将”は、意気込みをこう語った。
「とにかく、ワクワクしています。以前から中村選手のファンだったので。若い頃、ブラジルでウイニングイレブンをやっていた時、自分で好きな選手を選べるモードでは必ず中村選手を選んでいたんですよ。日本代表でもプレーしていた中村選手と対戦できるのは嬉しいし、リスペクトもしています。でも、全力でプレーするし、全力でボールを奪いに行きたいと思っています。自分の前を通すつもりもありません!」
前線に留まることなく、ピッチを漂うように動いてはあらゆる局面に顔を出し、味方にボールを供給する中村。神出鬼没ゆえに捕まえにくい選手ではあるが、パウリーニョはキ―プレイヤーを潰すことで味方に勇気と自信を与える気構えでいる。その思いにブレはない。
中盤の攻防で優位に立ち、奪ったボールを前線のブラジル人に預け、効率良くゴールを奪う。思い描いているプランが、形になりつつある結果重視のサッカーが忠実に遂行された時、またひとつ栃木のクラブ史に新たな歴史が刻まれることになるだろう。
以上
2013.10.14 Reported by 大塚秀毅
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