今季終盤に向けて調子を上げ、12年ぶりのタイトル獲得に意欲を燃やしている清水エスパルスに挑戦するのは、現在JFL5位のツエーゲン金沢。清水にとっては、2回戦の藤枝MYFC戦と同様にJ3参入を目前にしている相手との戦いだ。

ツエーゲン金沢は、今年2月にJリーグ準加盟を承認され、来年から始まるJ3への参入が有力視されている石川県最大のクラブ。石川県金沢市を拠点とし、石川県全域をホームタウンとして戦っている。1956年に誕生した「金沢サッカークラブ」を母体に、2006年にＪリーグ入りを目指して「ツエーゲン金沢」としてリスタート。「石川からＪリーグへ、石川から世界へ。」をキャッチフレーズに、地元の熱い支援に支えられてJFLに昇格した2010年には、元日本代表FW久保竜彦を加えるなど、大型補強を敢行。その後も着実に力を蓄え、ここからJFLの順位を上げて2位以内で今季を終えれば、J2に昇格する可能性も残している（現在J2ライセンスの審査中）。
チーム名の「ツエーゲン (Zweigen)」は、ドイツ語で「2」を意味する“Zwei（ツヴァイ）”と「進む」を意味する“Gehen（ゲーン）”から作られた造語で、「チームとサポーターが共に進んでいく」という意味を込めている。また金沢弁の「強いんだっ！（つぇーげん！）」という意味も含まれている。
そして今年の天皇杯では、J2の横浜FCを1-0で下す金星を挙げ、J1“オリジナル10”の清水への挑戦権を獲得した。金沢の基本システムは3-6-1（あるいは3-4-3）で、JFLではパスをつないで攻撃的に戦うサッカーを展開しているが、やはりJ1の清水に対しては5バック気味にしっかりと守って、そこからのカウンターで勝機を見出すという戦い方が現実的だろう。清水は5バックの相手を攻めあぐねる試合が多く、金沢としてはそこが最大の狙い目。まずは失点を0に抑えることが、勝利のために一番の近道になる。
……というのが第三者的な見方だが、金沢が自分たちのスタイルを貫き通そうとする可能性も十分にある。JFLでは28試合で45得点を決めている金沢の真っ向勝負を、ぜひ観てみたいと思っているファンも多いことだろう。

一方、清水のほうは、先制点を取れるかどうか、それがどの時間帯に決まるのかが大きなポイント。前節の広島戦では、相手のスーパーゴール2発が決まって1-3で敗れたものの、内容的にはけっして悪くなく、「5バックの守備を何度かコンビネーションで崩して決定機を作れていた」とゴトビ監督も胸を張る。同じことができれば、金沢からゴールを奪うことも可能なはずだ。
問題は、その「いつも通り」を出せるかどうかだ。「この前（藤枝MYFC戦）も下のカテゴリーの相手に苦戦しているし、絶対に気持ちの緩みを出さないようにと思っていたとしても、どこかで相手のペースに合わせてしまったり、普段とは違う自分たちが出てきてしまったりしやすいと思います。だから練習からしっかり緊張感を高めて、良い準備をして、しっかりとした気持ちで試合に入ってくことが大事」（高木俊幸）という部分が、清水にとっての最大のポイントになるだろう。
もちろん、今の自分たちの力さえ出せれば、「（天皇杯で）優勝できる力が自分たちにはついてきている思いますし、それを証明したい」（河井陽介）というのは、チームの全員に共通する思い。「ただ、まだ先は何も見えていないし、1試合1試合、目の前の試合を全力で戦うだけです」（河井）という共通理解もできている。あとは、自分たちがやるべきことをピッチ上でしっかりと実行するだけだ。

清水が早いうちに先制点を取れれば、金沢も打ち合いに応じなければならなくなり、そこで金沢の攻撃がどこまで通用するかという面も含めて、両チームのサポーターにとって観て楽しい試合になる。また、0-0の時間が長くなったり金沢が先制したりすれば、時間ごとに清水の焦りが増す中で、緊迫感やプレッシャーなど精神面の要素が大きくなって、それはそれで大いに醍醐味がある。
いずれにしてもリーグ戦では味わえない見応えが、たっぷりと詰まったゲームになることは間違いない。

以上

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現在（13日12:09時点）の状況は、清水 37792票 vs 65187票 金沢
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2013.10.13 Reported by 前島芳雄