●曹貴裁監督（湘南）：

「2週続けてホームでビッグクラブと言われるレッズさんと名古屋さんと試合をしたわけですが、最後の最後まで声援をいつも頂いているサポーターの皆さんには本当に感謝したいです。今日は先発をすこし代えて、また途中からというかたちで出してやってみたが、1点取られても下を向かずに追いついた姿勢とか、湘南のスタイルというか、相手がどこであれ自分たちの力を出し切るんだということでいうと、勇敢に戦ってくれたと思います。ひとりの選手が3，4人ドリブルで抜いてゴールにねじ込むことはまだまだできないかもしれないが、それを助けるチャンスを作り続けることであれば、選手たちが前期アウェイでよく分からないまま90分終わってしまった展開をしっかり受け止めて、今日やってやろうという気持ちでやってくれたことはよかった。こういう選手たちを指導できてすごく幸せという言い方はおかしいが、よくやってるなと言ってやりたいです。ただ試合には勝ててないし、まだ順位も全然上げられていないので、次は天皇杯がありますが、またみんなでいい競争をして、我々のスタイルを、残り6試合と天皇杯でさらに上のレベルに持っていくのが僕の仕事だと思う。選手たちと話し合いながら、いいゲームをして勝点3を取る、そういうチームにしっかりしていかなければいけないと思っています」

Q:攻めていた前半の内容を思うと、先に1点取れていればと思うが？
「去年からずっとそんなことを訊かれてなんと答えていいか分からないが、FIFAのルールでゴールの幅があと2mずつ横に広がったら入るかなと思うような試合で、いいかたちで狙い通り崩せたが、まだまだ足りないんだなと。ただそこまで何度も何度も行かない限りうちは点が生まれないし、セットプレー1回取って190cmの選手が4人入っていくわけにいかないので、その姿勢は評価してあげたいと思います。おっしゃるとおり前半に点を取れればもうすこし違う展開になったかなと思いますが、それは日々努力するしかなくて、シュート練習をたくさんやって入るなら毎日シュート練習やりますがそういうわけにいかないし、この大観衆のプレッシャーとか今置かれている位置とかを含めての一本のシュートだと思うので、ぼくも一緒になってちょっとしたところを乗り越えたいと思います」

Q:GKアレックスサンターナ選手を久々に起用した狙いは？
「ブラジルから来て慣れる間もなく試合に出て、やってやるぞという気持ちが強すぎて冷静な判断がない時期もあったので、ベンチに置いたりしていたが、日本の風土やスピーディーなサッカーに慣れてきたのも練習を見て分かっていた。安藤が悪かったわけではなく、この名古屋に対しても含めて、GKも競争だよというメッセージを選手たちに与えるために代えた部分もあります。よくやってくれたと思います。

Q:決定力に至るまでにほとんどミスがないように見えたが、何か練習の中で変えた部分やとくに注意して選手に伝えたことは？
「J1で一番苦しんだのが、後ろからボールを運ぶ時にクリアで逃げてしまうプレーが多い。うちはクリアがたぶんJ1で一番多いが、俺はクリア練習なんか一度もしたことがなくて、それはJ1のプレッシャーにまだ慣れない。今日もありましたが、ヘディングでクリアするのか胸でコントロールして持ち出すのか、それは後ろの選手にとって目に見えないところですごく勇気が要って、その練習をたくさんしているつもりです。手を変え品を変え。だから守備の練習は1〜2割しかしてなくて、ほとんど攻撃の練習をして、選手に自信を持たせながらやっていくというスタンスでやっている。それがようやく半分過ぎて、勝点を稼げるようになってきて、選手もそれが成果として出てると分かり出すと、あるポイントでふと自分は運べるんだとかパスを出せるんだというところに戻れる。本当にJ1の試合経験が彼らのそういうところを育んでいることは間違いないです。だから逆にいま集中力のないクリアミスをしたら周りからしたら何やってるんだよという空気になるし、選手同士でそういうことを許さないこともひとつ大事なことなので。取られた場面も何回かありましたが、あれを取られるからボールを蹴っちゃえ、では次の試合も同じことしか起きなくて、ラッキーで勝つしかない。そういうのはやっていて自分として好きではない。何か成果や課題を選手が感じて次に進んでいくことが、言わせてもらえれば僕の監督としてのスタイルだと思っている。おっしゃるとおり開幕の時よりは随分よくなったが、まだこうしてほしいというのはたくさんあるので、それは選手に落としていこうと思います」

以上