前節の富山戦で、出場した公式戦での連続ゴールが5で止まってしまったが、ゴールを量産している渡大生選手。この結果は決して偶然ではなく、日々の練習の積み重ねと、彼の言葉を借りれば「ブレずにやって来た」精神力の賜物だと感じる。その練習の中のひとつに、彼が春先から取り組み、現在も続けていることがある。体幹トレーニングだ。今季クラブ初のフィジカルコーチとして、京都、新潟、大宮でも実績のあった吉満樹コーチが就任。キャンプから始まった二人三脚で肉体改造に励む姿は、今では珍しいことだと思わないほど、北九州の練習場では良く見る風景のひとつになっている。
ファンやサポーターの方は、すでにお気づきだとは思うが、渡選手の身体は昨季よりも、一回りも二回りも大きく感じることができる。
体幹トレーニングについて、渡選手に尋ねてみると「去年はすごく簡単に倒れていて、若いうちにやっておかないと、と思っていた。ちょうど今季から、フィジカルトレーナーの吉満さんがいるので、良いキッカケだと思ってやり始めました。特に言われたりすることはないですが、ゆっくりゆっくり吉満コーチの教えを丁寧に守ってやって行けば、何年後かに成果が出てくると信じてトレーニングをしているので、これからも継続してやって行きたい」と教えてくれた。
前半戦は、大幅にメンバーが変わったことにより、なかなか勝てなかったチームも、夏場以降調子を崩すチームが多い中、着実に勝点を奪い続けている。この要因として、最後までは走り負けない体力もそのひとつだと思い、吉満コーチに話を伺ってみた。
Q:今季から北九州で指導するに当たって、コンセプトや継続してやってきたことはあるのでしょうか?
「大きなコンセプトからすると、自分たちが持っている能力を出せるようにして行くことがあります。それに対して、どういう施術を入れて行くか。時には強い刺激を入れないと、持っているモノが出ない時もあれば、強い刺激を入れすぎると出ない場合もある。その辺を見ながら、トレーニングをしていっている。継続してやっていることは、体幹をいかに動かすか、上手く使えるかという所。上手く使えているからこそ、要はエネルギーの効率が良くなったり、末端に負担を掛けない。そういう力の発揮形態を目指してやってきました。そこを主題に置いてやってきたら、今現在ケガ人(リハビリ中の内藤洋平選手を除く)もないという結果になっています。だけど果たして、本来彼らが持っている力が全部出ているかというと、まだ足らないところがいっぱいあると思っています。その辺が難しいところですね。あとは調整のところで、この前選手たちにも言ったことがあります。例えばギターの弦を上手く調整するには、良い音を出すために弦をちょっと張ったり、張り過ぎている弦があれば、ちょっと弱めたりするでしょう。そういう作業が身体にも必要だし、大事かなとは思います。イメージとして、それらをみんなで感じながらやって行こうとは、冗談半分で言ったりしてますけどね。聞いてるか聞いてないか、分からない選手もいますからね(笑)」
Q:全体で行う時と、個人で行う時のメニューに違いはあるのでしょうか?
「練習前後にやっているパーソナルトレーニングは、各個人が強化したいところとか、ウィークポイント、ストロングポイントはそれぞれ違うから、それに対してのメニューを個人がやっています。チームでやっているのは根幹部だけというか、大きなところだけなんで、個人へのアプローチは1人1人変わってきますね」
Q:最近絶好調の渡大生選手ですが、どのように取り組んできたのでしょうか?
「大生の方から「もうちょっと体幹を鍛えたいんです」と申し出があって、こういう風にやっていこうと話し合った。まずは、選手がどうやってそのキッカケを掴むかが大事ですよね。そういう大生の思いに対してメニューを出すのと、それを見るのが僕の仕事なんで。自分で何かを改善したいと大生が思ってやり続けたことが、今ちょっとずつ出てきた。まだほんの少しですけど、キッカケが出てきているのかなとは感じています。これからの選手なんで、もっと良くなるだろうし、逆にやらなかったら全然良くならないでしょう。僕としては、まだ結果には出てないと思うんです。あいつの持っているポテンシャルは高いし、もっと能力を持っているんで。大生にはいつも言っているんですけど、いかに続けて行くことができるかだと。ただ彼は、根気良く続ける能力を持っている。これは素晴らしいと、いつも思っています。ゲームで調子や結果が出ても出なくても、彼は試合が終わった後に体幹を鍛えるのを今年ずっと続けている。その続ける力というのは、本人の大きな能力だと思っている。そういう面からも、ちょっとずつキッカケを掴んでいるのを感じますね」
Q:ひとつ心配なのですが、渡選手の持ち味であるスピードが損なわれることはないのでしょうか?
「その心配はしていないです。彼は、しなやかな筋肉と関節を持っているので、トレーニングによって、スピードが損なわれることはないですね」
短い時間だったが、普段のトレーニングと同じように、全く知識のない私にも選手たちと同じように、ゆっくりと丁寧に話して下さった吉満コーチ。
「継続は力なり」とは良く言うが、その成果が少しずつ出てきた、チームと渡選手。前半伸び悩んだ数字は、今確実に上昇中であることを実感している。
以上
2013.09.20 Reported by 坂本真
J’s GOALニュース
一覧へ【J2日記】北九州:先を見据えた改革〜渡選手と吉満コーチの取り組み〜(13.09.20)
始める前、ポーズを決めてくれた渡選手でしたが…
すごくキツそうな表情に変わりました
この日は、鈴木選手と一緒に行う渡選手
吉満コーチから指導を受ける、森村選手と冨士選手
練習終了後、個人トレーニングに励む選手の姿は珍しくない
今季、クラブ初のフィジカルコーチに就任した吉満コーチ。選手の肉体と意識改革に日々取り組んでいる
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