「そりゃあ全員であれだけ守れば、やられないと思います」
試合後、柿谷曜一朗がサバサバとした表情で言った。首位・横浜FMに対して、C大阪は柿谷1人を前線に残して10人で守る割り切った戦い方で臨み、現在のリーグ最少失点数チームとしての威厳は見せたと言えるだろう。ただし、試合前のC大阪ゴール裏に掲げられた横断幕には「タイトル獲るなら勝ち以外ない」と書かれていただけに、サポーターにとっては消化不良な結果だったに違いない。
一方の横浜FMサポーターもしかり。長い時間ボールを支配し、20対8とシュート数でも圧倒しながら、得点シーン以外の決定機は少なく、もどかしかったと思われる。
それでも3万5000人以上で埋まった日産スタジアムが、沸かなかったわけではない。まずは得点シーン。11分、C大阪の左コーナーキックを一度は横浜FMが防いだかに見えたが、クリアが小さく、目の前のこぼれ球を山下達也が蹴り込んだ。だが、横浜FMはすぐさま追いつく。3分後にドゥトラが低空ミドル一閃、ボールは約30m誰にも触れることなく、ゴール右隅へ吸い込まれた。その勢いで横浜FMが立て続けに2度、ゴールを強襲。シューターは、ともにJ公式戦5試合ぶりの先発の富澤清太郎だった。17分にはCKからニアでヘッド。これはGKキム ジンヒョンの左手1本のスーパーセーブに弾かれる。その1分後には中村俊輔からの浮き球パスをオーバヘッドキックで捉えるも、ボールは枠外へ飛んだ。
C大阪のゴール裏を最も沸かせたシーンは、47分にあった。椋原健太の右アーリークロスがクリアしようとした中澤佑二の体に当たり、ボールはゴールの中へ…と思った刹那、GK榎本哲也にゴールライン上でボールをかき出され、決定機を逃した。それ以降は72分の新井場徹のゴール右隅を狙いすました右足シュート、途中出場したエジノの豪快ミドルもあったが、ビッグチャンスと呼べる際どさはなかったように思う。
このようにお互いのチャンスシーンを抽出したが、ゲーム全体を見渡すと膠着した時間が長かった印象が強い。蒸し暑さの影響もあり、横浜FMはアタッキングサードでの動き出しが少なく単調なリズムの攻めになり、そこでへばり付くC大阪ディフェンスを引き剥がすことができなかった。
片やC大阪も運動量が少なく、ボールを奪った後に押し上げ切れず、1トップ柿谷が前線でポツンと取り残され、孤立していた。
冒頭の柿谷のコメントには続きがある。「けど、どうしても攻撃のところで人数が足りないというのは、サポーターも満足してくれないと思う」。ディフェンスと柿谷との間をどう繋ぎ合わせるか。それが残り9節のテーマかもしれない。
横浜FMには結果以外で、収穫があったように思う。先に登場した富澤のことだ。本来の仕事であるアンカー的な役割もそつなくこなし、特に前半は読みの鋭さ、球際の強さで、相手の逆襲の芽をことごとく潰した。彼の完全復活により、好調時の中盤のバランスが整う。勝てなかったが、そう予感させる一戦だった。
以上
2013.09.15 Reported by 小林智明(インサイド)
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