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【J1:第25節 柏 vs 磐田】レポート:磐田、10試合ぶりの歓喜! 今季初、アウェイで勝点3を得る。前節と同じミスを繰り返した柏は必然の敗戦(13.09.14)

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監督から強く焚きつけられ、普段以上に高いモチベーションを持って臨むからだろう、残留争いの渦中にあるチームは、得てして立ち上がりに猛ラッシュを仕掛けてくる傾向にある。だからこそ、栗澤僚一は「入り方を間違えちゃいけない」と試合前には警戒を強めていた。

しかし、序盤は磐田の猛ラッシュが柏を飲み込む。「今日はみんな気持ちが入っていた」(駒野友一)。前からアグレッシブに仕掛け、球際では激しく奪いにかかる。そこには磐田の残留へ懸ける強い思いが感じられた。そんな姿勢は得点をも呼び込む。グイグイと柏を押し込み、そこで得た2つのCKからだった。5分に菅沼駿哉、7分には前田遼一が決めて磐田が2点を先取した。

磐田にとって、完璧な立ち上がりである。
スポーツでは「成功」と「失敗」の経験は、しばしばプレーに大きな影響を及ぼす。成功体験が多ければ、それは自信の積み重ねとなり、一般的に言われる“勝者のメンタリティー”に姿を変える。だが、反対に失敗の記憶が蘇ることもある。同じ過ちを犯したくないと思うのは人として当然であり、過去に磐田は2点をリードしながら勝てなかった試合が2つあった。したがって、「この2点のリードを死守しなければ」と無意識のうちに感じたのか、「相手の前線の出入りに対して、あまりにもボランチを下げてしまった」(関塚隆監督)というように、全体のラインが極端に下がってしまった。
バイタルエリアに人が密集してスペースを消していたとはいえ、ラインが引きすぎたゆえにセカンドボールを拾えず、柏の波状攻撃を浴びた。さらに関塚監督が「サイドからボールを入れられた時のサイドバックと中盤の受け渡しがもうひとつスムーズじゃなかった」と振り返った通り、隙のないブロックを作って柏の攻撃を抑え込んだわけではなく、危ない場面も多かった。サイドを割られ、1点差に詰め寄られると、その後は全体に焦りが生じたのか、バタついた様子を見せた。

磐田のシステムが予想に反していたこと、そこに集中力の欠如が重なり、手痛い2失点を食らった柏だが、そんな磐田の“トーンダウン”を徹底的に突いていけば、試合をひっくり返すチャンスは十分にあったはずだった。引いた相手に対し、攻撃陣全員が前で張って停滞する事態を避けるため、「起点になる動きを考えた。相手も混乱していた」と工藤壮人がパスを引き出す動きで周囲へ気を利かせるなど、放り込み一辺倒で可能性の薄い攻撃を仕掛けるのではなく、幅を持たせながら攻撃に厚みを加えた。引いた相手へのボールの出し入れの仕方は、この試合での評価できる部分である。
また、柏はここ2年で2点差をひっくり返した逆転劇という試合を何度か演じている。56分、田中順也が決めて1点差にした時は、その成功体験やスタジアムの雰囲気もあり、チーム全体に「行ける」という追撃の雰囲気が漂っていた。
磐田にすれば前がかりの柏に対し、カウンターから3点目を奪いたいという目論みはあったとは思うが、狙い通りには行かず、ジリジリと柏の圧力に押し込まれる苦しい時間帯が続いた。

どちらに転ぶか分からない試合を決定づけたのは磐田の3点目である。
63分、あわよくばカウンターにつなげたいが、まずはリスクを回避したいとの思いが滲み出ていたクリアを前線に向かって大きく蹴る。そこで山崎が直向きに追い、近藤直也にプレッシャーを掛けて競り勝ち、ボールを奪い取ると、その千載一遇のチャンスを逃さず前田がゴールを決める。2点をリードしながら勝てなかった試合では、3点目を奪えなかったことが大きく響いただけに、勝利を手繰り寄せる意味で貴重な1点となった。
事実、再び2点差になってからは1点差の時に垣間見せた焦りの色は消えた。押し込まれても集中を切らさずに最後の最後では体を張って守り、柏のビッグチャンスがGKの正面を突いたという幸運にも助けられたが、結局は体を寄せてフィニッシュの精度を微妙に狂わせたから「正面を突かせた」とも取れる。

集中を欠いた立ち上がりに2失点し、1点を返して反撃ムードに包まれたのも束の間、ミスからボールを失い3失点を許し、万事休す。柏にとっては、前節の鹿島戦の再現とも呼べる一連の試合の展開で、同じ失敗を繰り返したゆえの必然の敗戦である。つまり、前節の経験が何も生かせなかったということであり、この敗戦は重く受け止めなければならない。
柏が前節の失敗を繰り返したのに対し、磐田は過去の失敗と教訓を生かすことができた。さらに試合の入り方、集中力、アグレッシブな姿勢、運動量など、様々な部分において柏を上回っていた。柏の敗戦が必然なら、磐田の勝利もまた正当な結果である。10試合ぶりに白星を手にし、今季初めてアウェイで手にした勝点3。残留に向け、大きな足掛かりをつかんだ。

以上

2013.09.14 Reported by 鈴木潤
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