新潟は勝点33で11位。同39で6位の大宮を直接たたくことで、上位進出へ弾みが付く。中でも結果にこだわっているのがセンターバックの舞行龍ジェームズだ。ここ4試合連続でスタメン出場中と、定位置を手中にしつつある。今節を自身にとって初の無失点ゲームにすることで、終盤戦への手応えをつかむ。

舞行龍に少しずつ変化が現れてきた。ゲーム形式の練習では、今までになく大きな声でコーチングをする。ボランチや前線に守備のポジショニングを細かく指示。「やはり、声を掛けるのは大切。結果的に守りやすくなるので」。前節浦和戦では、マークの受け渡しが甘くなったところを突かれて失点し、0-1で敗れた。その反省から、早速コーチングを積極的に行い、コミュニケーションを密にすることに取り組んだ。

大宮はスロベニア代表のノヴァコヴィッチ、ズラタンのFW陣にチョ ヨンチョルと、前線にはポテンシャルの高い選手がそろう。隙を見せると、浦和戦の二の舞になりかねない。「自分のマークに集中し、周囲のマークも把握しながら相手を自由にさせない」。もともと対人の粘り強さと、競り合いには自信がある。受け渡しと、カバーを正確に行うことで「ゼロに抑える。もう失点したくない」。相手を封じ込めての勝利にこだわる。

第21節鹿島戦からスタメンに名を連ねている。22節川崎Ｆ戦からはフル出場が続く。ただ、この間、全ての試合で失点した。「終盤に疲れて、90分間集中力が続かないときがあった」。そういう時間帯で失点するときが多かった。コーチングを意識したのはそれを防ぐため。「声を出そうとすれば、自然と周囲を見るし、集中できるようになる」。最後まで神経を研ぎ澄ませておくためにも、指示を出し続ける。

期限付き移籍先の長崎では、今季序盤に負傷し、1試合しか出場していない。08年、成立学園から新潟に新加入。翌年から地域リーグ、JFLへ期限付き移籍が続いた。4年半ぶりに新潟に復帰するまで、Jリーグでのプレーは皆無に等しかった。

それでも違和感なくＪ1に順応している。「まだまだです」と言いながらも、「チームメートも対戦相手もレベルの高いプレーをする。やっていて楽しい」。気後れすることなく、自分を出す。「無失点で勝てば、さらに自信が付く。チームも自分も」。大宮戦を今後につながる一戦と位置付けた。

その大宮は、スロベニア代表の2人がポイント。W杯欧州予選から再来日したばかりで、コンディションに不安が残るが、そろって出場すれば高さ、強さは脅威になる。加えて前節の横浜FM戦で決勝点を挙げた渡邉大剛が好調。豊富な運動量を武器に、ボール奪取を繰り返してチャンスにつなげる。

前節で連敗を8で止め、小倉勉監督就任後の初勝利。雰囲気が一変した感がある。ここで連勝すれば、優勝戦線をかき回す存在になる。

新潟も上位を狙う上で連敗は許されない。大宮戦は2009年第7節（1-0）を最後に８試合連続勝ち星なし。この間、７分１敗とほぼ勝点を分け合ってきた。今節も競り合いは必至。勝負どころでの集中力が勝点３への分かれ目になる。

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2013.09.13 Reported by 斎藤慎一郎（ニューズ・ライン）