今季のJ1で5位と、上位戦線で奮闘するＣ大阪。第93回天皇杯初戦となる2回戦では、関西学生リーグ1部に所属する関西大学と対戦する。最近では第91回でベスト4、第92回でベスト8と、着実に成果を上げているＣ大阪だが、欲しいのは悲願のタイトル。第83回以来の国立競技場での決勝進出を目指して、新たなる戦いに挑む。

しかしながら、Ｃ大阪の現状は厳しい。日本代表の柿谷曜一朗、山口螢、韓国代表のキム ジンヒョンといった、リーグ戦全24試合に出場している攻守の軸が不在。また、負傷で長期離脱を強いられている吉野峻光に加え、高卒ルーキーながら抜群の存在感で今季のチーム躍進を支えてきた南野拓実、そして、『レヴィーセレッソ』の象徴といえる左サイドバックの丸橋祐介もケガにより欠場を余儀なくされる。今夏、補強を行わず、少数精鋭の布陣で戦ってきたＣ大阪だが、今週は練習生やＣ大阪U-18の選手も加えなければ紅白戦が行えないほどで、苦しい台所事情のなかで天皇杯初戦に臨まざるを得ない。

それでも、「ベストメンバーとは言えないが、素晴らしい強いチームを送り込むことはできる」と胸を張るのは、Ｃ大阪のレヴィークルピ監督。「選手は、自分がどれだけいい選手なのか、しっかりと見せてくれないといけない。チーム全員に、『しっかり準備するように』という話しを、今日（6日の練習で）もしたところだ」と、イレブンの奮起を促す。

チームトップスコアラーの柿谷（14得点）、2番目にゴールの多い山口（6得点）がいないなか、注目したいのは、前線での先発が濃厚な杉本健勇。今季はJ1で20試合に出場するも、先発は6試合のみ。得点も第10節浦和戦の1ゴールのみと、ここまでは自他ともに満足のいかない結果となっている。ただし、最近では途中出場から指揮官の起用に応える活躍も見せ、得点に絡むだけでなく、守備でも奮闘する姿が目立っているだけに、状態が上向きの今、爆発力を期待せずにはいられない。

「メンバーも抜けているなか、やるのはピッチに立っている選手であり、僕たちなので。ましてや相手は大学生ですし、絶対に負けたらいけないし、よく（天皇杯でＪクラブが）大学生に負けるというのがありますが、それは絶対にあってはならないこと。プロとしての意地を見せないといけない。それを結果で残したいし、1点で満足するのではなく、2点、3点ととどめを刺したい」と、モチベーションもすこぶる高い。ただ、「守備から入るところは、相手がどこであれ、関係ない。もちろん自分たちから仕掛けてボールも取りに行くところも出てくると思いますが、まずは守備からしっかり入って、攻撃につなげたい」と、今季リーグ最少失点を誇る、Ｃ大阪好調の要因となっているチームディフェンスの大事さも、忘れてはいない。杉本をはじめ、選手たちがリーグ戦での勝ち方をそのままに発揮できるかが、勝利への鍵となってくるだろう。

一方の関西大学は、リーグ戦前期ではあと2試合を残して12チーム中、5位。8月の総理大臣杯では、優勝した流通経済大学に、準々決勝で0-1と惜敗している。それでも、天皇杯大阪府代表決定戦ではライバルの大阪体育大学をPK戦の末に破ると、1回戦では岐阜県代表のFC岐阜SECONDを2-1と下し、前回第92回でのＧ大阪戦に引き続き、2年連続J1クラブとの試合に挑戦することになった。

これまでも数多くのＪリーガーを輩出している関西大学。今季は、元Ｃ大阪監督、元日本代表DF都並敏史氏の次男である都並優太（4年）が主将を務めているのをはじめ、Ｇ大阪、神戸でプレーし、元神戸監督でもある和田昌裕氏（現神戸副社長）の次男である和田篤紀（3年）が司令塔としてプレー。また、ストライカーには関西大学第一高校時代に全国選手権でも活躍した久保綾祐（4年）が名を連ね、ユニバーシアード日本代表DF寺岡真弘（4年）なども含め、楽しみなメンバーが揃っている。昨年、Ｇ大阪に敗れた悔しさを晴らすべく、今回はジャイアントキリングを狙ってくるだろう。

「初戦が一番、どのチームも、アマチュアとやる時は苦しむというか、難しい試合になると思うので。集中して全員が気持ち入れてやりたい。油断しないようにやらないといけない」と、気を引き締め直したのは、Ｃ大阪の主将、藤本康太。この想いがイレブンにも伝わっているのか、6日の練習ではいたるところで激しいマッチアップが見られ、Ｃ大阪のチーム自体も公式戦4試合ぶりの勝利へ気迫が満ちている。果たして、Ｃ大阪がＪのプライドをしっかり見せつけるのか。それとも、関西大学が波乱を巻き起こすのか。試合は、ともに馴染み深い場所、キンチョウスタジアムにて、8日15時からキックオフされる。

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2013.09.07 Reported by 前田敏勝