ガラッ、ガラッ、ガラ、ガラ、ガラー!その音が耳に届くだけで、誰がミックスゾーンに現れるのかがわかる。音の主は西岡大輝である。西岡は常にクーラーボックスを片手に練習場をあとにする。
「お前、荷物が多いよ!」
「今日はどれだけサカナ釣れた?」
チームメイトからそんな声を掛けられても全く意に介さない。彼はなぜ重い荷物を毎日、飽きもせずに運び続けるのか。その理由を問うと、西岡は笑みを浮かべながらこう答えた。
「松田直樹さん(故人)の本にも載っていると思うんですけど、松田さんはケガをしないためのコンディション作りを心掛けていて、僕も同じことをやっていたんです。しっかりやっている人はやっていたんだなあと思いましたね。松田さんの本に載っているトレーナーの方とは、大学時代からずっとトレーニングをやっていたんですよ。ケガをしたら元も子もないですし。今は意識的にケガをしないための体作りに取り組んでいます。ただ、メニューがきつ過ぎて…。自分の中でやり過ぎてしまう部分もあるんですよね。夏場はきつかったんですけど、夏を過ぎればそれほど乳酸も溜まらなくなるので、ケアをしっかりやることで結果を出したいですね」
もちろん、西岡が釣りに行っているわけではないことはわかっていたが(栃木が海なし県だからではない)、パーソナルトレーナーが組んだメニューをチームでのトレーニング後に黙々とこなし、そのケアのために自宅でアイシングをしていたとは思ってもみなかった。
出場機会を求めて広島から栃木に期限付き移籍で加入したセンターバックの西岡だが、ここまで出場したのはわずかに3試合。そのうち先発した2試合は前半だけで交代させられている。本職ではないボランチと左サイドバックでの出場だったにしても、後悔ばかりが募る結果しか残せていない。本人もそのことを自覚しており、「ここまでJ1昇格のために何も貢献していないので、ここから結果を出していきたい」と、終盤戦に向けてモチベーションを高めている。
天皇杯2回戦の福岡戦(9月7日@栃木グ)は、雷雨により延期された愛媛戦の4日前に開催される。9月11日(水)に愛媛戦が行われるため、栃木は「ターンオーバー制」を採用して福岡戦に臨むことも考えられる。そうなれば、これまで控えに甘んじていた西岡にも出場機会が巡ってくるかもしれない。極秘トレーニングの成果を発揮し、これまで味わってきた屈辱を倍返しできる場が与えられるのだ。ここで奮い立たないわけにはいかない。J1昇格には直接関係のない試合だが、チームのために戦うことに変わりはない。
天皇杯3回戦進出の原動力となった西岡が、クーラーボックスと共に笑顔でミックスゾーンに現れるのを待ちたい。その時、“相棒”は軽快な音色を奏でていることだろう。
以上
2013.09.05 Reported by 大塚秀毅
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