3月13日。神戸のDFリーダー北本久仁衛が肋骨腫瘍の切除術を受けた。翌日のリリースで発表された復帰までの目処は術後約3カ月。神戸の安達亮監督は当時「トップアスリートには非常に珍しいケース。でも、(切除術は)うまくいったと聞いていますので、少し安心しました」とコメントを残していた。
それから約4カ月後の7月上旬。いぶきの森球技場(練習場)には額に汗を光らせる北本の姿があった。ボールの感触を確かめるように、あるいは喜びを噛み締めるように、全体練習でも1つ1つを丁寧にプレーした北本。復帰間近を予感させたが、その1週間後の練習場に彼の姿はなかった。予想以上のリバウンドに苦しみ、再び別メニュー調整を余儀なくされたのである。
2回目の合流は7月下旬だった。7月24日の練習後には「(前回のリバウンドを踏まえ)とにかくこの1週間を乗り切れるかに集中しています。自分の誕生日(9月18日)くらいには復帰したいですね」とコメント。慎重に調整を続けた。
それからさらに1カ月が過ぎる。この間について北本は「(リバウンドで離脱した前回の合流時は)やっぱり早かったんじゃないかと悔やまれた。身体は動くけれど、まだ衝撃に慣れていないというか、手術の影響は感じた。でも、その中で現状を受け入れるしかない。とにかく心をポジティブにすることだけを考えた」と振り返る。結果的に、2度目の合流後は心配していたリバウンドもほとんどなく、8月5日の関西ステップアップリーグでは約20分ながら今季初の実戦も経験。着実に復帰の準備を進めてきた。
そして9月1日の第32節のアウェイ北九州戦で、北本は先発でピッチに立った。
「イメージ的には復帰は天皇杯(9月8日)くらいかなと思っていましたが、こうやってチャンスをくれた監督に感謝したいです。今季は公式戦に1回も出ていない中で、信頼して出させていただいて本当にありがたいことだと思います。ピッチに立った時は、今までのリハビリとかいろいろな思いも巡りましたけれど、もう過ぎたことです。あとはJ1昇格に向けて全力を注ぎたい。リーグ戦は残り10試合ですが、少しでも多く試合に出て、J1昇格に貢献できるように頑張りたい。今はその一心ですね」
安達亮監督は北九州戦の北本を「安定していたし、良かったと思います。守備ラインの中で、彼の存在感は大きかったです」と評した。そのにこやかな表情からは、復帰を心から喜ぶ想いがにじみ出ていた。
ただ、北本にとっての戦いはまだまだ続く。いや、やっと始まったと言ってもいい。成長を続ける岩波拓也やイ・グァンソン、金聖基に加え、6月に負った左ひじのケガから順調な回復を見せている河本裕之などがいる今の神戸で、センターバックのポジション争いはし烈。北本自身も「メンバー構成を決めるのは監督なので、僕はその選択肢に入れるように毎日の練習をしっかり取り組むだけ。そこに集中していきたい」と気を引き締めている。ここからが本当の勝負だ。
これからも、腐らず、おごらず、ひたすら前を向く“鉄人”の姿は、チームに“勇気”をもたらすに違いない。J1昇格レースが激しさを増す残り10節、神戸に頼もしい男が帰って来た。
以上
2013.09.05 Reported by 白井邦彦
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