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【J2:第29節 岐阜 vs 水戸】レポート:連発した怠慢な個のミスによって生まれた完敗ではない大差。岐阜、痛恨の敗戦。(13.08.19)

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神戸を下した守備で、この試合も岐阜は立ち上がりから守勢に回った。水戸の入りは非常に良かった。変則の【3-5-2】を敷く水戸は、シャドーの橋本晃司とFW鈴木隆行の攻撃の要の2人を中心に、岐阜の守備のギャップに入り込んでパスをつなぎ、岐阜の両サイドバックを中に釣り出してからサイドを使い、そこからのセンタリングで決定機を作った。
開始早々の1分には左サイドを崩し、最後は鈴木隆が強烈なミドルシュート。14分には大きく空いた左のオープンスペースをMF輪湖直樹に突かれ、輪湖のセンタリングを鈴木隆にドンピシャヘッドを合わされる。さらにその直後には今度は右をDF鈴木雄斗に突かれ、センタリングを中央でフリーの橋本にヘッドで合される。いずれもボールは枠から逸れたが、立て続けに水戸に3つの決定機を与えてしまった。

岐阜も前線に残したバージェを起点に、ロングボールを中心に崩しにかかるが、高い位置を取った、輪湖と小澤司の両ウィングバックのケアに対応しきれなかったことで、水戸ペースから抜け出すことはできなかった。
特に水戸の左・輪湖への応対が甘すぎた。水戸の先制点もそこから生まれた。34分、輪湖が守備に回った染矢一樹に対し、エンドライン手前まで追い詰めたことで、左CKを献上。橋本が蹴ったCKを、ファーで鈴木雄にヘッドで落とされ、中央に走り込んだDF細川淳矢に体ごと押し込まれた。
岐阜にとっては痛い先制被弾。ラインをさらに高くし、中盤で数的優位を作って崩しにかかる水戸のペースに抜け出せぬまま、前半を終了した。

苦しい展開に後半、行徳浩二監督が積極的に動いた。ボランチの森安洋文に代え、杉山新を投入。左サイドバックだった益山司をボランチに移して後ろを3枚にし、杉山を右のウィングバックに、右サイドハーフだった染矢を左のウィングバックに、左サイドハーフだった美尾敦を樋口寛規とのツーシャドーにし、【3-2-4-1】にシフトチェンジ。有効活用されたサイドのスペースを埋めて、カウンターの起点を増やし、反撃に転ずる策に出た。
これが的中し、46分には左サイドを駆け上がった染矢のセンタリングを、ニアで益山が頭で合わせ、すかさず同点に追いつく。
これで勢いに乗った岐阜は、49分に右サイドを突破した樋口のセンタリングを、ファーでバージェがヘッドで折り返し、決定機を作るが、ギリギリでクリアをされる。直後には染矢が左を破り、樋口へマイナスのパスを送ると、樋口はカットインから強烈なミドルシュート。これは枠をそれたが、前半の水戸のお株を奪うサイド攻撃に、岐阜は完全に主導権を握った。

しかし、せっかくの流れで痛い失点をしてしまう。56分、ペナルティーエリア内でDF新井辰也が鈴木隆を倒し、PKを献上。これを鈴木隆自らが決めて、水戸が勝ち越した。このシーン、鈴木隆は自チームの劣勢を見て、バイタルエリアでボールを受けると、迷わずドリブルを選択し、強引に中央突破を仕掛け、入れ替わるように体を入れて、新井のファールを誘発させていた。まさに百戦錬磨のベテランが見せた『状況判断の妙』で、水戸が形成を一気に逆転させた。
だが、岐阜もこれまでと違って、やられたらやり返すという、チームとしての意思は消えなかった。62分の木谷の直接FKはGK本間幸司のファインセーブに合い、65分のチャンスはバーに嫌われた。
いい流れだった。しかし、またも集中力を欠いたプレーが試合の流れを一変させてしまう。74分、不用意なファールで相手にFKを与えると、リスタートではなかったにもかかわらず、全員が棒立ちになってしまい、いつもの橋本なら直接狙う距離だが、岐阜の怠慢なマークに気づくと、左サイドでフリーの小澤にパスし、小澤の縦パスに抜け出した輪湖に対し、ようやく岐阜のDF陣がボールに反応。そうなると多くの岐阜の選手がボールにつられて、ペナルティーエリアの中に入ってしまい、ペナルティーエリア外の中央ががら空きに。案の定、そこにダイレクトでマイナスのパスを通され、ドフリーの橋本がこれもダイレクトシュート。GKがはじいたこぼれ、交代出場のMF尾本敬に楽々押し込まれた。
このゴールで勝負は決まった。アディショナルタイムにはオフサイドトラップをミスし、またも怠慢な守備でPKを献上。このPKを交代出場の三島康平に決められ、1-4の敗戦。

この試合を一言でいうと、『残念な負け』だった。スコアは開いたが、はっきり言って岐阜の勝機は十分にあった。これまで大差の試合はあったが、その時は完敗という言葉がぴったりだったが、はっきり言って今回は勝てた試合であった。
ではなぜ、勝機はあったのに負けたのか。それは『個の拙さ』が完全に露呈したからだった。その指摘をする前に、今日の岐阜にはよかった点はあった。それ前節の神戸に対する勝利の時と同じように、状況に応じて全員が方向性を共有できていた。ミスによる失点だったが、守るべきところ、攻めるべきところを全員が把握して戦うことができた。それが証拠に、岐阜は後半だけで7回もの決定機を作りだし、2本はバー直撃だった。

だが、悪かった点は決定力不足よりも、前述したように個々の守備時の対応の甘さだ。今日で言えば、サイドでの守備の悪さ、鈴木隆のPKのシーンの対応のまずさ、杉山の退場のシーンも、ダメ押しの野垣内のPK献上も、個々の戦いで後手を踏んだ結果。完全に集中していれば防げた点数だ。

この事実を改善の余地と見るか、致命的な問題と見るかは、今後の彼らの戦いに懸っている。勝点で並んでいた群馬が勝利したため、最下位の順位は変わらず、さらに差が開いてしまった。結果的には岐阜にとって痛恨の敗戦。水戸の勢いはさすがだったが、完敗と感じないだけに、非常に納得がいかない敗戦だった。

以上

2013.08.19 Reported by 安藤隆人
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