リーグ後半戦の初陣で守備を立て直すはずが、横浜FCに3失点を喫して瓦解した栃木。開始16秒で先制点を献上しているようでは、堅守を軸に戦うチームが勝機を手繰るのは難しい。昇格を争うライバル達に引けを取らずに積み上げた勝点をフイにしたのは、「自分自身に負けてしまったこと」(クリスティアーノ)が原因だった。今季まだ一度もしていない連敗回避に、背番号11は闘志をみなぎらせている。
「ここが人生の転換点になる、というくらいの気持ちを持って挑む必要がある。相手が引いてこようが、どんな手を使ってこようが、それを潰すだけだと思う」
前節の不甲斐ない敗戦と4戦未勝利のモヤモヤした感情を、同期対決となる富山戦で一気に吹き飛ばしたい。
「得点機を作れなかったことが一番の問題だった」
そう語る松田浩監督は開始直後の失点よりも、ボールを支配しながらミスを繰り返し、相手に脅威を与えられなかった攻撃面を前節の反省点として挙げた。ボールを奪い、パスは回せた。ところが、アタッキングサードでのパスとクロスの質に乏しく、シュートに至れないシーンが何度も目に付いた。また、ゴール前でのアグレッシブさも希薄だった。富山は序盤から果敢にプレスを掛け、局地戦を挑んでくることが予想される。それに対して安易にボールロストせずに、しっかりとビルドアップし、サイドチェンジを駆使してゴール前へボールを運べるかが鍵になってくる。的確な状況判断で相手をはがし、ゴールが視界に入り打てると踏んだら積極果敢に打つ。その意識と精度が、今節は求められるはずだ。
堅守・栃木を悩ませている頭痛の種は、言うまでもなく止まらない失点だ。ここ4試合だけで計10失点。今週のトレーニングでGK榎本達也は、「今までやれていたことがやれていない部分が多い。もう一度、原点に戻ろうよ」と守備陣に話したと言う。特に強調したのは、ボールへのアプローチだそうだ。
「今のうちは人はいるけどアプローチに行けずに、ファウルをしてそれが失点に繋がっている。ボールに対してアプローチする球際の強さを出さないと、セカンドボールワークで自分達にボールが転がって来ない。アプローチに行ければ、次の選手が横ズレしたり、チャレンジ&カバーしてボールを奪える」
いくらコンパクトにしても、ボールホルダーへの寄せが緩ければ意味がない。横浜FC戦の3失点は、いずれも寄せが半歩甘かった。リーグ屈指の組織的な守備を機能させ、失点を食い止めるためにも、原点に立ち返り球際で激しさを見せる必要がある。
栃木と同じく富山もここ1カ月、勝星に恵まれないジレンマを抱えている。前節は上位の千葉を相手に持ち前の切り替えの速さを活かし、思うような試合運びができたが1‐2で敗戦。その原因を掘り下げればソ・ヨンドクのPK失敗が象徴的なように、チャンスを作りながらも得点機を逃したことに行き着く。轍を踏まないためには確実に決定機を物にする必要があり、その機会を増やせる舩津徹也と出場停止明けの朝日大輔が富山のキーマンになるだろう。両者とも豊富な運動量をベースに、2列目からの飛び出しを得意としている。ソ、キム・ヨングン、大山俊輔等がキープし、舩津と朝日が果敢に追い越しを掛けることでゴールに迫りたい。対栃木戦の相性は良くないが、その分だけ勝てば上昇のきっかけになる。ハードワークを貫き、白星を引き寄せたい。
「怪我人が多い中で試合に出ている選手が危機感を持たないと勝てない」(高木和正)
安易な失点に加えて戦力が整わないことも、栃木が勝ち切れない要因の1つになっている。ボランチの大量離脱の次は、左サイドバックが同時に2人も欠けた。スクランブル態勢は続き、台所事情は極めて苦しい。だが、試合は待ってくれないし、諦めるわけにもいかない。なんとかこの難局を乗り切り、プレーオフ圏内を死守しなければならない。そのためには高木が言うように、起用されている選手が指揮官の期待に応える必要がある。この試合が最後、というくらいの強い気持ち、そしてJ1昇格への覚悟を、ホーム“グリスタ”でサポーターに示すような試合がしたい。
サポーターは待ち焦がれている。引き締まった試合を。相手を無失点に封じる本来の姿を取り戻すことを。
以上
2013.07.06 Reported by 大塚秀毅
J’s GOALニュース
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