約4週間のブレイクが明けて、6月最初の公式戦、ヤマザキナビスコカップ準々決勝に臨んでいる浦和とＣ大阪。その第1戦では大阪長居スタジアムに乗り込んだ浦和が、興梠慎三の2ゴールでＣ大阪に完勝。貴重なアウェイゴールを2点奪い、大きなアドバンテージを持って、ホーム、埼玉スタジアム2002へ戻ってきた。引き分け以上、もしくは1点差での敗戦であれば準決勝への勝ち上がりが決まるなか、第2戦へと臨むことになる。

ただし、浦和のイレブンは、第1戦完勝後からすぐ、気を引き締め直す姿が目立った。「1つ1つのトラップでも、今日（第1戦）は割と前を向けて、プレッシャーもなかった状態でしたが、プレッシャーがあっても、ああいう丁寧なラストパスを出せるように、質を高めて、練習から取り組んでいきたい」と厳しい表情でコメントしていたのは、浦和の攻撃を司っていた柏木陽介。あくまで、第1戦の完勝が「相手もコンディションがよくなかった」からという見方は、チーム全体の共通認識だ。だからこそ、「次のホームの試合は、0-0でいいという気持ちは決してなく、勝ちに行くつもりでやらないと、勝てないと思うので。気を引き締めてやっていきたい」（興梠）

今回は、勝たなければいけないＣ大阪が、点を取るべく、攻撃的に来ることは、容易に想像できるだろう。浦和がそこをどうかわしながら、勝利に結びつけるのかは、見どころの1つ。第1戦では、「うまく（相手が前からの守備で）ハメにきていたんですが、阿部ちゃんと（鈴木）啓太と、ウチら3人が動きをつけて、ポジションを流動的にうまくやりながら、開いて（パスを）もらうときもありつつ、距離感を縮めて、3人で回せて、3人のコンビネーションが非常にうまく行っていた」というのは、浦和DF那須大亮。彼らからのビルドアップを軸に、第1戦同様にＣ大阪を押し込めれば、再び浦和のペースとなるはずだ。アウェイにて無失点で乗り切っているだけに、1点でも奪えば、浦和の準決勝進出の可能性は一層高くなるだろう。

そうはさせたくないのは、Ｃ大阪。厳しい立場に追い込まれているのは間違いないが、悲願のタイトルを目指すべく、3点以上のゴール奪取を目指して、敵地へと乗り込む。前回は相手にいいように攻め込まれたが、「相手の速い攻めを止めるため、まずしっかり戻ってポジションを取ること。その攻防があるから、両チームともチャンスを多く作る試合になるだろう。その切り替えで遅れてしまうと、後手をとってしまう。そういうところで決まるところは1つあるだろう」というのは、Ｃ大阪のレヴィークルピ監督。第1戦を上回るコンディションとプレーが、逆転勝利への必須条件だ。

「5-3というスコアでもいい。守っていてもしょうがない。もう一発勝負だし」というのは、Ｃ大阪のエース、柿谷曜一朗。彼を中心に、逆襲態勢は整っている。たとえ、どんなことがあろうとも、「選手があきらめたら、一番最悪なこと。相手が伸び伸びとプレーするようなことがあっても、『ナビスコやからあきらめよう』という姿を見せることは、絶対によくない。もちろん勝つ気でいくし、90分間やりきろうと、みんなで話した。中断前にいい終わり方をしていた分、その期待に全然応えられなかったし、『すみませんでした』という気持ちも込めて、やり返すしかない」と、桜色のイレブンは応援してくれるサポーターのためにも、全力を尽くす覚悟だ。「実質、この間、長居で、3、4回、点を取るチャンスがあった。それを確実に決めるようレヴィーにも言われている。個人的にはもっとシュートを打たないといけないし、僕とかエジノが点を取らないと勝てないので。またやられるかもしれないけど、それは承知のうえ。やられた分、やり返す。100％の力で臨みたい」と、想いはゴールと勝利のみだ。

果たして、この勝負、すんなりと浦和が2年ぶりのベスト4進出となるか。それとも、「レヴィーセレッソ」で幾度か見せた大逆転勝利で、Ｃ大阪が悲願のタイトル獲得へ望みをつなげるか。後半の90分も、その1プレー1プレーから、両監督の采配から、どんなシーンからも目が離せそうにない。

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2013.06.29 Reported by 前田敏勝