前節のアウェイ愛媛戦に快勝し、連敗を回避した神戸は首位のままホームに戻ってくる。一方、鳥取は第３節の水戸戦の勝利から12試合白星に恵まれないままアウェイでの神戸戦。大方の予想では“空中戦”が勝負のカギを握っていると考えられている。前節の鳥取が６失点中の４点をヘディングで決められているからだ。そのゲームの鳥取のスタメンにはGK杉本拓也以外に180cm以上の選手がおらず。そのミスマッチを山形に上手く突かれてしまった。

逆に神戸は前節の愛媛戦で“高さ”という武器を有効に使った。相手GKのファインセーブに苦しんだものの、コーナーキックから田代有三やイ・グァンソンが決定的な場面を演出。岩波拓也のJ初ゴールの後、有田光希が決めた追加点も田代がヘディングで競り勝ったことで生まれている。ロングフィードを田代が落とし、セカンドボールを拾うサッカーをすれば、おそらく神戸が優位に試合を進めるだろう。

だが、鳥取がそう簡単に同じ轍を踏むとも思えない。チームを率いるのは、ヘディングの強さを誇っていた元日本代表の小村徳男監督なのだから。高さ対策は充分に心得ているはずである。
加えて、神戸の安達亮監督が警戒するのが神戸にゆかりのある人物たち。「廣田隆治とか、GKコーチの武田治郎とか、神戸を知っている人間もいる。特に治郎の見る目はすごかったしね。気をつけないといけない」。また、百戦錬磨のポポは「大敗した後の相手は必ず頑張ってくる。難しい試合になるだろうね」と楽観視はない。

ただ、今の神戸はチームスタイルも随分と変わった。堅守速攻やパワープレーというよりは、センターバックの岩波拓也やボランチのエステバンを軸にしっかりとビルドアップできるチームだ。鳥取が前からプレッシングをかけてきても、リトリートしてブロックを組んでも、順応できるだけのチーム力はある。
さらに、前節の愛媛戦で２ゴールを挙げた有田光希の台頭など、ここに来て選手層に厚みが増した印象だ。
その有田は鳥取戦に向けてこう言う。「（フィジカルコーチの）ブローロに“愛媛だけ”ってからかわれないためにも、鳥取戦に出たら絶対にゴールしたい。それにホームではまだゴールしたことがないので…」。昨季の愛媛時代、有田は鳥取からゴールも挙げている。いいイメージはできているというわけだ。

以上

2013.05.25 Reported by 白井邦彦