第15節・岐阜戦、3対1で迎えた80分過ぎ、柱谷哲二監督はウォーミングアップをしている近藤岳登をベンチに呼びました。
水戸は3対1でリードしていたものの、岐阜に押し込まれ、勝負はどちらに転ぶかわからない状況が続いていました。その緊迫した局面で呼ばれた近藤は第11節・横浜FC戦以来の出場に向け、勢いよくベンチに飛んでいきました。しかし、交代直前に柱谷監督は考えを変え、近藤を再びウォーミングアップに戻し、尾本敬を投入することとなったのです。
その後、“近藤ならでは”の光景が見られました。ベンチから戻ってくる近藤に控え選手たちが歩み寄り、頭をなでなで。近藤も泣くふりをしていました。その直後、スタンドから笑いが起こったのです。
試合出場とはならなかったものの、「笑いが取れたのでよかったです」と近藤。やはり、彼には常に“笑い”がついて回るのですね。
「神戸では笑いを極めたので、水戸ではサッカーを極めたいと思います」「好きな言葉は水戸黄門」などなど新体制会見で語り、爆笑を誘った近藤。「このチームは暗いから明るくしてもらいたい」と柱谷監督から要求されたように、プレーヤーとしてはもちろん、ムードメイカーとしての役割も期待されて水戸に加入したのです。
今季、開幕からなかなか水戸は波に乗れず、チームの状態はよくなりませんでした。昨季までなら沈みがちになってしまいそうなところでしたが、近藤がいつも明るく笑いを振りまいてきたおかげで雰囲気が悪くなることなく、今に至ることができています。選手たちは「ガクさんの存在は大きい」と声を揃えます。
いかに近藤がチーム内で愛されているのか。岐阜戦のワンシーンに表れていました。
しかし、あくまでそれはサッカー選手としてのプラスアルファの部分。やはり、ピッチに立ってプレーでチームに貢献したいという思いが強いことでしょう。
岐阜戦後、「笑いが取れたのでよかったです」と口にはしましたが、その表情には悔しさがにじみ出ていました。
まだ戦術になじみきれておらず、第15節終了時点で6試合の出場にとどまり、満足いく結果を残すことはできていませんが、必ずプレーでスタジアム中を笑顔にしてくれる日が来ることでしょう。その時こそ、近藤自身、本当の笑顔を見せてくれるはずです。
これだけ笑いを振りまいてきた近藤に対し、笑いの神様が裏切るはずがありません。最高のタイミングで微笑みかけてくれる。そう信じてやみません。
以上
2013.05.21 Reported by 佐藤拓也
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