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【J2:第14節 東京V vs 神戸】レポート:ワンチャンスへ向け爪を研いだ高原の一撃で、首位神戸を撃破!(13.05.13)

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東京Vにとっては、とても意義ある1勝だった。相手が首位チーム、さらに、まもなく20周年を迎えるJリーグの開幕戦を戦った“ヴェルディ”が同じ“国立競技場”で戦うという条件が揃った、ある意味「ヴェルディしか絵にならない」ゲーム。その大舞台で一際輝いたのが、やはりこの男、エース・高原直泰だった。

ここ数試合、高原は自分がシュートを放つよりも、「どうしても周りを生かすプレーが増えていた」それを、三浦泰年監督も本人に直接話したという。「センターフォワードをはる彼が決定的なシーンにいるのが、やはりチームとして自然な姿だと思う中で、周りの選手を生かすプレーが多かった。それだけに、高原が決定的なところにいて、そこを(他の選手が)生かす動きというのがもっと出てきて欲しかった」。そんな助言もあったからだろう。いつも以上に見せたゴールへ向かっていく強い姿勢が、早速得点を生んだ。前半18分。ボランチ鈴木惇が高い位置でボールを奪うと、そのルーズボールを高原がさらい、ゴール目指して一直線。止めに来た相手DF5人目を交わしたところで倒されて得たPKを、自らで決めた。高原の個人技が生んだ先制点だった。

その後、後半に入ってすぐに同点を許すと、そこからは一瞬の気の緩みが即、失点につながりそうな緊迫した展開が続いた。そんな中迎えた85分、点取り屋としての天性の勘が働いた。「85分ぐらいに1回時計を見て、最後、ワンチャンスくると思ったので、自分の中でもだいぶ疲れていたのですが、体力を溜めて、最後のワンプレーが来ることを祈ってゴール前にいました」。その祈りが現実のものとなったのは、アディショナルタイムに入ってからだった。「森が良いボールをくれた」予感通りの“ワンチャンス”。「相手DFと、自分なりに駆け引きをしながら」ゴール前でフリーな状態で受けると、胸トラップから強烈なボレーを叩き込み、試合を決めた。
結果として、裏をとられた形となったDF岩波拓也(神戸)も、「やられた悔しさは大きい。以前、高原選手とはエスパルスの時に対戦したことがありましたが、その時よりも、はるかに状態が良いなと感じました。ポストプレーもヘディングも強くて、本当にイヤなFW。すごく勉強になりました」18歳は、素直に白旗を挙げざるをえなかった。
さらに、チームメイトの18歳・中島翔哉にとっても、高原の存在は学びそのものだ。開幕戦以来の先発起用で高原とコンビを組んだが、「言葉では表現できない凄さを感じる。なぜ、チームメイトからパスがくるのか。存在感ももちろん必要だし、それだけ信頼される高い技術が必要だと思う。それを僕も磨いていかないと」日本代表経験者と自らの差を真摯に受け止めていた。こうした、中島、岩波など未来の日本代表を背負っていくであろう若い選手が刺激を受けたのも、いかにこの試合の高原のパフォーマンスが充実していたかの証拠ではないだろうか。

だが、この決勝点が決して高原だけの力でないことは言うまでもないだろう。幸先よく先制したが、試合前に飯尾一慶が指摘していた通り、「先制したあとの戦い方が課題」だとも言えた。前節の群馬戦の反省から「先に点がとれると、その1点を守ろうとして、ついつい簡単に蹴ってしまう選手と、あくまでつなごうとする人と、バラバラになってしまう」ことが懸念材料ではあったが、この試合は相手が攻守ともJ1クラスだったこともあり、全員が1点では勝てるとは思っていなかったからかもしれない。2点目、3点目を奪うには、日ごろから続けている“自分たちのサッカー”、つまり、“つなぐ形”が最善策だという判断からか、攻める際に安易なロングボールを入れる場面はほとんど見られなかった。何より、決勝点のシーンがその象徴だったのではないだろうか。神戸にゴール前に攻め込まれ、なんとか弾き返すのが精一杯の展開、体力的にも限界が近づいていたはずだ。ゴールキックからようやく相手陣内にボールが入ると、鈴木、石神直哉、福井諒司らがしっかりとしたプレスでボールを奪い、飯尾につないで森という、最後までボールを大事につなぐ自分たちのスタイルを貫いたからこそ生まれた決勝ゴールだった。
また、守備面での奮闘も目立った。空中戦ではJ2屈指ともいわれる田代有三との競り合いを、井林章はほぼ制し、田代に決定的な仕事をさせなかった。また、金鐘必も、たとえ交わされたとしてもその後のフォローが非常に素早く粘り強かった。チーム全体としても、何度か訪れた、全員が自陣に引かされて必死で猛攻を防ぐ展開を耐え凌げたことは、非常に大きかった。

逆に、神戸からすれば、その絶好のチャンスを逸機したことがこの結果を招くことになってしまった。49分という早い段階でポポのPKによって同点に追いつき、その後は優勢に進める時間も少なくなかった。「少し乱暴な戦い方」と、安達亮監督は表現したが、長いボールを前に入れ、徐々にリズムをつかむ戦い方は有効だった。だが、後半76分小川慶治朗、89分都倉賢と、2本のシュートがポストを叩くなど、“ちょっとした”運に泣かされる形となってしまった。「前節のG大阪戦の勝ちの意味がなくなってしまった」と、神戸の選手たちは悔しさをあらわにした。
第4節以来、これが2つ目の黒星となった神戸だが、いぜん首位は変わらない。この負けを、さらにそつがないチーム作りのきっかけにし、のちに「決して無駄な敗戦ではなかった」と言えるようにしたいところだ。

反対に、首位チームから勝点3をもぎとった東京Vも、決して余韻に浸ってはいられない。中2日後には、先日積雪で流れたアウェイでのvs松本山雅戦が待っている。「もう今から次への準備が始まっていると思う。この勝ちを無意味にしないためにも、次の松本戦は、今日以上に大事な試合になると思っています」GK佐藤優也の言葉が代表するように、チーム全員すでに気持ちは切り替わっている。

以上

2013.05.13 Reported by 上岡真里江
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